「エド?何してるんだ?」
ボーっと銀時計を見ている俺の横から、の声がして、慌てて銀時計をポケットにしまった。
「銀時計見てたのか?」
「あ・・・あぁ・・・」
動揺を隠せない俺の声は少し上ずっていた。そりゃ、の顔がアップで見えたから、俺だって動揺するさ。
「銀時計の蓋の裏に、決意の印があるんだよな・・・」
「!!」
思わず目を見開いた。何でが知ってるんだ?!驚きが隠せない俺を見ながらは更に言った。
「前に、ウィンリィに聞いたんだ・・・」
あの機械オタクめ・・・に余計な事吹き込んで・・・
「『忘れるな。11年10月3日』だろ。」
「あぁ・・・俺達が家を焼いた日だ・・・」
帰る場所はもうない。それを形にするために俺達は自分の住んでいた家を焼き払った・・・
「俺も・・・形にして何時も持ち歩いてる物があるんだ。」
そう言うとは、自分のポケットを探ってひとつのネックレスを取り出した。
「中見せるのエドだけだからな。お兄ちゃんにも見せたこと無いんだぞ。」
俺は、からネックレスを受け取った。中に入っていたのは二枚の写真
「この写真は・・・」
「俺とお兄ちゃんの写真。何時かお兄ちゃんを超える為にって・・・」
「もう一枚のは?」
「これはお父さん。」
それを聞いたとき俺は驚いた。父親の写真を持ち歩いているに。
「は・・・親父さんが好きだったんだな・・・」
「うん・・・・とても優しくて、温かくて・・・今のエドみたいな存在だった。」
の顔を見てみると、とても哀しそうな顔をしていた。これ以上聞いてはいけない。そう思った。だが、彼女はそのまま言葉を続けた。
「エドは、俺を置いていかないよな・・・俺の傍に居てくれるよな・・・」
「当たり前だ。俺はお前より先に死なない。ずっと傍に居る。」
「エド・・・ありがとう・・・」
そう言ったの顔は、無理に笑ってるように見えた。初めて会った時のような・・・そんな顔をさせたくない。そう思った途端俺の身体は、何時の間にかを抱き締めていた。
「絶対傍に居るから。お前に笑って欲しいし・・・」
「俺も、エドには笑っていて欲しい。」
俺の背中に回ったの腕に力がこもった。俺も、少しだけ強めにを抱き締めた。
――どんな時もお前と一緒に居る事を此処に誓う。
何時までも、お前の笑顔が見たいから・・・――
FIN
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