ボ――・・・・。


そんな効果音が似合いそうな一人の女性、少尉は、頬杖を付きながら一点を見つめていた。彼女の口には、今にも灰が落ちそうな煙草が。


4『微 熱』


少尉。」


ロイが呼んだのも気付かず。彼女の机の上には、山のように詰まれた仕事。


少尉!!」


「え!あ、はい。」


大声で呼ばれ、ようやく呼ばれているのに気付く


「どうしたんだ?仕事中にボーっとするなんて君らしくない。」


「ごめんなさい・・・」


俯いたに何か気付いたのか、リザが彼女の額に手を当てた。


「ホークアイ中尉?」


リザの行動に少し驚く。リザは彼女の額から手を離し一言。


「今日は帰りなさい。」


言い終わると、リザはを強制的に帰らせた。


「中尉・・・」


が帰った後、リザに話し掛けたのはハボック少尉だった。


「彼奴・・・具合でも悪かったんスか?」


「えぇ。少し熱があったから・・・酷くならない内に帰らせたの。」


恋人であるハボックが気付かず、親友と呼べるリザの方がの事を解かっていたのは、流石に彼もショックだった。


「少尉。貴方も帰ったらどうですか?」


リザの突然の申し出に目を丸くした。


「でも、仕事が・・・」


「こんな状態じゃ仕事にならないだろう・・・・」


リザとハボックの会話に割り込んできたのは、ロイだった。


「早く彼女の所にでも行って来い。後は私達が何とかする。」


「ありがとうございます!」


そう言うと、荷物を持ち、執務室を飛び出すように出て行った。




一方、家に着いたは・・・


「38℃・・・完璧風邪ね・・・」


ダルイ身体を引き摺りながら、ベットに潜り込んだ。


「中尉が早く帰らせてくれて良かった・・・」


そう、言うと早くも寝息を立てた。




数時間後、目を覚ましたの額に、濡れタオルが置いてあった。


「誰か来たのかな・・・?」


もぞもぞと起き上がる。ガチャリとドアが開いた。


「お、起きたか。」


「ジャン!何で?仕事は?」


「ん、中尉と大佐が帰れって言ったから。」


ハボックは、持っていたお粥をに差し出した。


「ありがとう。」


お粥を受け取り、近くにあるテーブルに乗せた。が顔を上げる前にハボックは額に手を当てた。


「熱は下がったみたいだな。よかった。」


微笑みながら、ベッド脇に腰を降ろすハボック。


「ごめんね・・・心配かけて・・・」


俯きながら彼女は言った。


「気にするなって。早く良くなれよ。」


ハボックは彼女の頭を撫でた。それで安心したのか、彼女の顔にも笑顔が戻った。


「早く食べないとお粥冷めちまうぞ。」


「うん。」


お粥を半分くらい食べたは満腹になったのか、手に持っていたレンゲを置いた。


「んじゃ、薬飲んで寝な。俺は此処に居るから。」


「ありがとう。ジャン。」


ベッドに横になりながら、ハボックに言葉を送った。


「あんま無理すんなよ?」


「解かってます。おやすみなさい。」


「おやすみ。


静かに寝息を立てるに、そっと口付けを送り、彼も眠りについた。




翌日、の風邪がうつり、休むハボックと、看病の為に休む彼女であった。東方司令部は二人分の仕事に追われていたとか・・・。




FIN