――ずっと傍に置いておきたい・・・
ずっと傍で守っていきたい・・・
君が居れば・・・他は何も・・・――


5『揺るがぬ意志』



「兄貴!!どうしたんだ?
んなぼーとして?」


リビングに入ってくるなり、が声を上げた。


「いや・・・何もないが・・・
何処か出かけるのか?そんな格好して・・・」


「なに言ってんだよ・・・今日は命日だろ?」


命日・・・か・・・忘れていたな・・・


「早くしろよ?表で待ってるから。」


そう言い残し、は早々に家を出て行った。


「もう・・・8年経つのか・・・」


両親の写真を見ながら私は呟いた。


「・・・色々あったな。」


昔の事を思いながら私は玄関に向った。


「兄貴遅い!!」


「すまない。」


「ほら、早く花屋に行こう。」


私の手を引っ張る
この行動だけは昔も今も変わっていない。




「母さん、父さん。今年も来たよ。」


そう言っては墓石の前でしゃがんだ。


「もう、8年だね・・・」


墓石の前には花束を置いた。


「父さん・・・母さん・・・何があってもは私が守る。」


「兄貴・・・?」


「絶対に戦争なんかにを行かせたりしない。
その為に、私は上に行くから・・・」


どんな事があってもを守る。


は・・・たった一人の家族だから。」


この決意だけは絶対に変わらない。
真剣に墓石の前で言う私の頭をは叩いた。


・・・?」


「まったく・・・馬鹿兄貴。俺は守られるほど弱くない。
俺だって・・・兄貴の事守りたいんだからな。」


少し照れ臭そうには言った。


「俺にとっても大切な・・・家族なんだから。」


。」


「んじゃ、母さん、父さん。また来年来るね。
ほら、兄貴行こう?」


「あぁ。」


墓石に背を向け、私達は歩き出した。


「妹に守られたら終わりだな・・・」


に聞こえないように私は呟いた。


「何か言ったか?」


「いや。何でもない。」


「あ、そうだ!!」


急に声を上げたに驚く。


「どうした?」


「今日の晩飯どうしようか?」


「・・・何でもいい。」


何を言い出すかと思えば・・・


「何でも良いじゃ、作りようないだろう?」


「今日ぐらい外食でも良いのではないか?」


「外食ぅぅぅぅぅ?」


不満げなの声。


「そんなに嫌なのか?」


「嫌じゃないけど・・・」


「ならいいじゃないか。」


「・・・今日だけだからな。」


不貞腐れたようなの顔。
そんな彼女の頭を撫で、私達は手を繋いだ。


「私のオススメの店に行こうか?」


「デートで使ってる店とか、やだかんな。」


鋭い突っ込み・・・ι


「大丈夫だ。
の好きなデザートも沢山あるぞ。」


「ホント!!」


「あぁ。」


パァっと明るい表情に変わる。


「んじゃ、早く行こうぜ!!」


「だから、引っ張るな。」


に強く腕を引かれ、転びそうになった。
この時間が私にとって一番大切な物かもしれない。



――何があっても守っていきたい。
私達は・・・たった一人の兄妹だからな。――




FIN