「兄貴!!どうしたんだ?
んなぼーとして?」
リビングに入ってくるなり、が声を上げた。
「いや・・・何もないが・・・
何処か出かけるのか?そんな格好して・・・」
「なに言ってんだよ・・・今日は命日だろ?」
命日・・・か・・・忘れていたな・・・
「早くしろよ?表で待ってるから。」
そう言い残し、は早々に家を出て行った。
「もう・・・8年経つのか・・・」
両親の写真を見ながら私は呟いた。
「・・・色々あったな。」
昔の事を思いながら私は玄関に向った。
「兄貴遅い!!」
「すまない。」
「ほら、早く花屋に行こう。」
私の手を引っ張る。
この行動だけは昔も今も変わっていない。
「母さん、父さん。今年も来たよ。」
そう言っては墓石の前でしゃがんだ。
「もう、8年だね・・・」
墓石の前には花束を置いた。
「父さん・・・母さん・・・何があってもは私が守る。」
「兄貴・・・?」
「絶対に戦争なんかにを行かせたりしない。
その為に、私は上に行くから・・・」
どんな事があってもを守る。
「は・・・たった一人の家族だから。」
この決意だけは絶対に変わらない。
真剣に墓石の前で言う私の頭をは叩いた。
「・・・?」
「まったく・・・馬鹿兄貴。俺は守られるほど弱くない。
俺だって・・・兄貴の事守りたいんだからな。」
少し照れ臭そうには言った。
「俺にとっても大切な・・・家族なんだから。」
「。」
「んじゃ、母さん、父さん。また来年来るね。
ほら、兄貴行こう?」
「あぁ。」
墓石に背を向け、私達は歩き出した。
「妹に守られたら終わりだな・・・」
に聞こえないように私は呟いた。
「何か言ったか?」
「いや。何でもない。」
「あ、そうだ!!」
急に声を上げたに驚く。
「どうした?」
「今日の晩飯どうしようか?」
「・・・何でもいい。」
何を言い出すかと思えば・・・
「何でも良いじゃ、作りようないだろう?」
「今日ぐらい外食でも良いのではないか?」
「外食ぅぅぅぅぅ?」
不満げなの声。
「そんなに嫌なのか?」
「嫌じゃないけど・・・」
「ならいいじゃないか。」
「・・・今日だけだからな。」
不貞腐れたようなの顔。
そんな彼女の頭を撫で、私達は手を繋いだ。
「私のオススメの店に行こうか?」
「デートで使ってる店とか、やだかんな。」
鋭い突っ込み・・・ι
「大丈夫だ。
の好きなデザートも沢山あるぞ。」
「ホント!!」
「あぁ。」
パァっと明るい表情に変わる。
「んじゃ、早く行こうぜ!!」
「だから、引っ張るな。」
に強く腕を引かれ、転びそうになった。
この時間が私にとって一番大切な物かもしれない。
――何があっても守っていきたい。
私達は・・・たった一人の兄妹だからな。――
FIN
|