私に生きる意味を与えてくれたのはロイ兄。
私はずっとお兄ちゃんの補佐をしてくよ。
でも…私には今一番好きな人がいる…
お兄ちゃんよりも、ずっと大切な人が…

7『国家錬金術師』


何時ものように東方司令部で働く
何時ものように慌しい(?)東方司令部。
その訳はこの人の何時もの日課。


「また大佐が居なくなった〜〜〜!!」


何時もの様にハボックとリザがロイを探しに行く。


「少尉…中尉…
私が大佐を探しに行く。」


何時もと違ったのは、が自らロイを探しに行くと言った事だ。


「でも…」


「暫く席を外す。
その間頼んだぞ。ホークアイ中尉。」


「…はい。」


リザの声を聞くと、は執務室を出て行った。




「やっぱり…此処に居たんですか。大佐。」


が真っ先に向かった所は司令部の屋上。
案の定、ロイは見つかりにくい場所で昼寝をしていた。


が探しにくるなんて珍しいな。」


「たまにはいいでしょう?
こうして話すのも。」


そう言ってはロイの横に腰を下ろした。
が座るのを確認すると、ロイは起き上がった。


「…お前もサボりか?」


「貴方と一緒にしないでください。」


厳しい顔つきのまま、は言った。


「今は兄妹水入らずだ。口調と顔つきを戻せ。
今は仕事じゃない。」


仕事中、大人顔負けの行動を取る
一歩司令部を出れば、年相応の行動を取る。


「此処は司令部です。それに今は仕事中…」


「私が良いと言ったら良いんだ。上司命令だ。」


「…職権乱用。でも、まいっか。」


「で、何かあったのか?」


が探しに来ると言う事はよっぽどのことがあったのだろう。
そう心配するロイ。


「いや…兄貴に話しとこうと思ってさ…
俺、エド達と旅に出る。」


「そうか…」


「兄貴が俺の事心配するのはわかるんだ。
でも…」


ロイは何も言わず立ち上がった。


「兄貴も大事だよ。もちろん。だってたった一人の家族なんだもん。
でも…今はエドの方が…」


「私も…妹離れしなくてはな…」


何時までも過保護に守っている訳には行かない。
ロイはそう感じた。


「兄貴には感謝してる。俺、国家錬金術師の資格取った事後悔してない。
だって、あの時の俺に希望を…生きる意味を教えてくれただろう?だからさ…」


「…軍の仕事はどうするつもりだ?」


「出来るなら…兄貴のサポートもしていきたい。」


「…」


の言葉に暫し黙るロイ。


…いや、マスタング少佐。」


「何?」


が立っているロイの顔を見上げた。


「君に任務を与えよう。鋼の錬金術師、エドワード・エルリック。それと弟のアルフォンス・エルリック。
両者の護衛を君に命ずる。」


「兄貴…それって…」


「お前の分の仕事はどうにかする。行って来い。」


「…ありがとうございます。マスタング大佐。」


は笑顔でロイに敬礼した。


「だが、辛くなったら帰って来い。お前の帰る場所は…」


「分かってる。兄貴の居る所が俺の帰る場所。
たまには顔見せに来るからさ!!」


「そうだな。」
 



数日後のエドとの約束。
それは守られ、は護衛という名で旅立った。




Fin