8『抱きしめていて』
「中央に移動…?」
ハボックの言葉に、一瞬固まる。
事は数時間前に起こった。
何時もの様にハボックは仕事を終え、の家に向かった。
「よ、。」
「ジャン。仕事お疲れ様。」
玄関を入ると、笑顔で迎える。
「ご飯にするでしょう?出来てるよ。」
「お、んじゃ先に飯にするか。」
そういって、二人はリビングに向かった。
「ご馳走様でした。」
食事を食べ終え、ハボックは食後の一服をした。
「あ、そうだ…」
「どうしたの?」
浮かない顔のハボック。今日、上司から言われた事をに伝えた。
「中央に移動…?」
そして現在に至る。
「ちょっと待ってよ!!
何?中央に移動になるからって私と別れるの?」
上司の言葉に腹を立てたは叫んだ。
「俺は分かれる気はない。
…でも、遠恋は…」
「だったら、私も着いて行く。」
「…」
「迷惑じゃなかったら…私も連れてって…」
真剣な目でじっとハボックを見つめる。
「迷惑じゃない。寧ろ嬉しい。」
そういってハボックは彼女を抱きしめた。
「ジャン…」
「向こうに行ったら…一緒に暮らそうな…」
「え…?」
顔を上げ、驚いた表情でハボックを見た。
「だから、同棲しようなって言ったんだよ。」
照れた顔を逸らした。
「…じゃぁ、引越しの準備しなきゃ…」
「そうだな…」
「何時移動になるの?」
「…確か再来週」
「んじゃ、明日から引越しの用意だね。」
「そうだな…」
そう言うと、ハボックは腕の力を強めた。
「悪いな…巻き込む形になっちまって…」
「気にしてないよ。だって、ジャンと一緒に居られるんだもん。
ねぇ、ジャン…」
「何だ?」
「…何時までも私と一緒に居てね?」
「勿論。」
見上げるにハボックは優しいキスを送った。
Fin
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