が機械鎧をつけてから、軍の施設で体術の習得に励んでいた。
「・・・さん?」
不意に後ろから女性の声がした。
「・・・誰?」
青の軍服。間違いなく軍人。
「私はリザ。リザ・ホークアイ。さんでしょう?マスタング中佐の妹さんの・・・」
「そうだけど。何か用?」
警戒心剥き出しの。リザは微笑みながらに近付いた。
「体術だけでいいの?覚えるの。」
「は?」
「中佐から頼まれたの。『に銃の扱いも教えてやってくれ。』って。」
「クソ兄貴・・・余計な事を・・・」
は苛立ちながら頭を掻いた。
「リザさんだっけ?あんまり俺と関わらないでくれない?俺、軍人嫌いなの。」
――兄貴を戦争に追いやって、英雄と呼ばせた軍人は皆嫌いだ。――
「でも、貴女は軍に入るんでしょう?」
はい、と手渡された一丁の拳銃。
「中佐の補佐をするなら何時でも守れるようにしなくちゃいけないんじゃない?」
の渋々拳銃を受け取った。
「じゃぁ、場所を移しましょう。ここじゃ練習できないから。」
はリザを睨みながら後をついていった。
数ヶ月間、リザの元で銃の扱いを学んだは、それなりに腕も上がっていた。そして、はリザに心を開き始めた。
「リザさん、今日のノルマ終ったよ。」
「お疲れ様。随分と上手くなったわね。」
「そう。でもリザさんにそう言ってもらうと何か嬉しい。」
は満面の笑みだった。だが、その笑みは何処か悲しげだった。
「ちゃん・・・」
「何?」
はリザを見つめながら首を傾げた。
「何で何時もそんな風に笑うの?」
「え?」
「何時も笑顔なのに、何処か悲しげなの・・・」
「・・・リザさんには解かるんだ・・・」
は苦笑気味に笑い、俯いた。
「ちゃん・・・」
「なんか・・・さ・・・リザさんって姉さんみたいだね・・・俺、兄貴しか居ないからよく解からないけど・・・」
は顔を上げ、リザを見つめた。
「リザさんがお姉ちゃんだったら嬉しいかもって、ちょっと思っちゃた。」
「いいのよ。お姉さんだと思っても。」
「本当?」
「えぇ。勿論。私もちゃんが妹だったらって思うことあるのよ?」
はリザの腰に抱き付いた。反動で倒れそうになったリザは、何とかを支えた。
「んじゃ、リザ姉って呼んでいい?」
「いいわよ。」
「んじゃ、リザ姉。今日のノルマ終ったから何か食べに行こう!!兄貴誘って!!」
リザの手を引っ張りながら訓練場のドアに向った。
「でも、中佐は仕事が・・・」
「行こ!!」
無邪気に笑う。年齢に相応しい笑顔を見たリザは、諦めたように溜め息を吐いた。
「解かったわ。行きましょう。」
「わーい!!」
は両手を上げて喜んだ。マスタング中佐、残業決定。
――リザ姉。本当にありがとう。俺を必要としてくれる人が増えて、嬉しい。
本当にありがとう。俺の大切な親友・・・いや、それ以上の存在の人・・・――
Fin
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