「ジャン…」
は少し息を切らし、病室に入った。
「…」
「怪我…大丈夫?」
先程ロイに聞いた事を悟られない様には笑顔を振りまいた。
「あ…あぁ。大佐のお陰でな。
まだ少し痛むけど…」
「よかった。」
満面の笑みを浮かべながら言う。
「…お前…」
「ん?何?」
「…無理して笑ってないか?」
自分ではちゃんと笑っていると思っていたは驚いた。
「そ…そんなことないよ?」
「お前なぁ…何年一緒にいると思ってるんだ?
お前の変化気付かない程、俺は鈍感じゃねぇぞ?」
多少の変化を見抜いてしまう程、ハボックはの事を見てきた。
「歩けないって…本当なの…?
軍に戻れないの…?」
「…あぁ。
退院したら、実家に戻るつもりなんだ。」
窓の外を見つめ、寂しい表情をするハボック。
「私は…私の事…どうするの…?」
「出来れば…一緒に連れて行きたい…
でも、お前に大佐の事頼みたい…」
「ジャン…」
「矛盾してるって分かってる。でも…」
はハボックの方へ歩み寄り、抱きしめた。
「ジャン…前に言ったよね?
『離れてても、何をしていても、俺達はずっと一緒だ。』って。」
「あぁ。」
「なら、私は大佐の元に居る。
あの人が上に行くのは私達の夢だし、准将との約束だから。」
「…それで良いのか?」
「確かに…離れるのは辛いよ。
でも、私はジャンの事好きだから。だから、私は此処に残るよ。」
微笑みながら言う。
その姿にハボックは安心した表情をした。
「、そこの引き出し開けてくれるか?」
指を差した先は病室に備え付けられている小さな引き出し。
はそっと引き出しを開けた。
「その中に小さい箱が入ってると思うんだ。それ、開けてみろ。」
は言われたとおり蓋を開けた。
「ジャン…これ…」
「お前にプレゼント。」
の持つ箱の中には指輪が入っていた。それも二つ。
「…離れてても、何時もお前と一緒に居るからな。」
「ジャン…ありがとう。」
「不甲斐ない俺だけど、これからもよろしく。
それと、大佐の事もな。」
「もちろん。ジャンの分まで頑張るよ。」
二人は抱きしめ合い、軽い口付けを交わした。
FIN
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