はハボックの病室に行く前にロイと会っていた。


「大佐…怪我は大丈夫なんですか?」


少尉…君に少し話がある…」


の言葉に返事を返すことなく、ロイは話始めた。


「ハボックの事は聞いているか?」


「作戦中に怪我をした…ですよね?」


「その事なんだが…
脊髄をやられて…下半身不随になってしまった。」


「え…?」


そこまでハボックの怪我が酷いと思っていなかったは言葉をなくした。 


「大佐…それ本当ですか…」


「この事で君に嘘はつかない…元はと言えば、私の所為なんだ…
私の考えが浅はかだったばかりに…」


ロイは自分を責めた。
その姿を見たはハボックの病室に走った。


13『嘘』


「ジャン…」


は少し息を切らし、病室に入った。


…」


「怪我…大丈夫?」


先程ロイに聞いた事を悟られない様には笑顔を振りまいた。


「あ…あぁ。大佐のお陰でな。
まだ少し痛むけど…」


「よかった。」


満面の笑みを浮かべながら言う


…お前…」


「ん?何?」


「…無理して笑ってないか?」


自分ではちゃんと笑っていると思っていたは驚いた。


「そ…そんなことないよ?」


「お前なぁ…何年一緒にいると思ってるんだ?
お前の変化気付かない程、俺は鈍感じゃねぇぞ?」


多少の変化を見抜いてしまう程、ハボックはの事を見てきた。


「歩けないって…本当なの…?
軍に戻れないの…?」


「…あぁ。
退院したら、実家に戻るつもりなんだ。」


窓の外を見つめ、寂しい表情をするハボック。


「私は…私の事…どうするの…?」


「出来れば…一緒に連れて行きたい…
でも、お前に大佐の事頼みたい…」


「ジャン…」


「矛盾してるって分かってる。でも…」


はハボックの方へ歩み寄り、抱きしめた。


「ジャン…前に言ったよね?
『離れてても、何をしていても、俺達はずっと一緒だ。』って。」


「あぁ。」


「なら、私は大佐の元に居る。
あの人が上に行くのは私達の夢だし、准将との約束だから。」


「…それで良いのか?」


「確かに…離れるのは辛いよ。
でも、私はジャンの事好きだから。だから、私は此処に残るよ。」


微笑みながら言う
その姿にハボックは安心した表情をした。


、そこの引き出し開けてくれるか?」


指を差した先は病室に備え付けられている小さな引き出し。
はそっと引き出しを開けた。


「その中に小さい箱が入ってると思うんだ。それ、開けてみろ。」


は言われたとおり蓋を開けた。


「ジャン…これ…」


「お前にプレゼント。」


の持つ箱の中には指輪が入っていた。それも二つ。


「…離れてても、何時もお前と一緒に居るからな。」


「ジャン…ありがとう。」


「不甲斐ない俺だけど、これからもよろしく。
それと、大佐の事もな。」


「もちろん。ジャンの分まで頑張るよ。」


二人は抱きしめ合い、軽い口付けを交わした。



FIN