20『煙草』

執務室。ハボックと同じように煙草を吸う、一人の女性が居た。


少佐・・・・」


「何ですか?」


椅子を少し傾け、ロイの方に顔を向けた。もちろん、彼女の口には煙草が。


「女性なのだから少しは控えたほうがいいんじゃないか?」


「男女差別。」


ボソッと囁かれた言葉に、ロイは更に言葉を重ねた。


「部屋を真っ白にするつもりか・・・?」


右手には発火布装着済み。


「私にだけ言わないで下さい。ハボック少尉だって、同じだけ吸ってるんですから。」


何を隠そうは、ハボックと1位2位を争うほどのヘビースモーカー。


「この頃ストレスが溜まってますし?ストレス溜まると吸う量が増えると言いますし・・・・」


「私がストレスの原因だと・・・そう言いたいのか?」


ロイの顔が段々と恐ろしい笑顔に変わっていった。執務室に居たホークアイ中尉以下4名は喧嘩が始まらないうちに安全区域(部屋の外)に非難した。(休みもかねて。)


「そこまでは言ってないですよ〜〜〜。あ、もしかして大佐、お心当たりがあるのですか?」


は笑顔でロイに言ったが、その目は笑っていない。


「消し炭にされたいか・・・?」


女性に対しては絶対言わない言葉。本気で怒っているらしい。


「望むところだ・・・無能大佐・・・」


は錬成した水を大佐の頭上目掛けて投げつけた。彼女の予想通り、ロイは水を頭から被った。


「さぁ、どうでますか?マスタング大佐・・・・?」


完全に彼女の優位。水を浴びてしまったロイは無能当然。しかし彼は怯む事無く、彼女に近付いた。ジリジリと壁際に追いつめられる。逃げ道は無くなってしまった。


「さぁ、どうする?」


黒い笑いを浮かべながら、ロイは彼女を見下ろした。


「参りました。」


両手を頭の位置まで上げ、降参のポーズ。それでも退こうとしないロイ。


「大佐・・・?退いてくれませんか?」


中々退こうとしないロイに痺れを切らし、は彼の目をじっと見つめた。ロイはそのまま、彼女に覆い被さるようにキスをした。


「本当に少し煙草を控えてくれ・・・キスの味が煙草というのも・・・」


「嫌です。」


唇をゴシゴシ拭きながら彼女は言い放った。


「まぁ・・・一日一箱くらいにしときますよ・・・」


「それは有り難いな。」


笑顔で見下ろすロイ。そして、再度彼女にキスを送った。




一方、執務室を出て行った5名は・・・


ハ「早く終ってくれませんかね・・・」


ホ「毎度毎度・・・・仕事が片付かないわ・・・」


他「同感。」




FIN