22『雨』

雨が降るイーストシティ。そこにある一軒の家。その家から一人の少女が傘を持たずに家から出てきた。


彼女はそのまま東方司令部に続くメインストリートを歩いた。顔に張り付いた髪を無表情のまま剥がした。
風が吹く度、少女の左腕部分の服が靡いた。それは彼女の左腕が無い事を指していた。つい先日、強盗犯と出くわし乱闘になった為、彼女の左腕の機械鎧が壊れてしまったのだった。


大通りの一角にある大きな時計台。その下で足を止め、彼女は座り込んで空を仰いだ。冬の雨は容赦無く彼女の体温を奪っていく。ふと、少女は何かの気配に気付き、前を向いた。そこには少女の兄が走って来るのが見えた。だんだんと近付く兄の姿。彼は少女の前で立ち止まりそのまま黙って傘を差し出した。


「ありがとう・・・・」


「何故傘を持っていない?朝から降ってただろう。」


呆れ顔で彼女を見下ろすロイ。その行動を見ては俯いてしまった。そんな彼女を見ていたロイは自分の着ていた黒のコートを羽織らせ、の隣りに腰を降ろした。


「今日は非番だろう?どうしたんだ?」


を安心させる為に頭を撫でたが、一向に話す気配が無い。


・・・?」


「・・・・一人で居たくなかったの・・・」


どんなに強がっていても、中身はまだ子供。震えているをそっとロイは抱き寄せた。


「お兄ちゃん・・・?」


突然の出来事に目を丸くし、ロイを見つめる


「たまには私に甘えなさい。一人で抱え込んでいる必要なんて無いんだ。」


ロイは微笑みながらに言った。


「ありがとう。お兄ちゃん。」


はそのままロイの胸に顔を沈めた。


「風邪をひくといけないから、家に帰ろう。」


「うん。」


そのまま二人は、家路に着いた。




おまけ


「そう言えば・・・お兄ちゃん仕事は?」


ロイ「仕事よりも、妹の方が心配だからな・・・」


(もしかってサボった・・・?)


翌日、ロイはホークアイ中尉に銃殺されそうになったとか・・・




FIN