――太陽に手を伸ばした。
光を掴めると思って。
太陽みたいな存在の貴方。
何時も私を照らしてくれる。
何時か私も貴方を照らしたい。
貴方の『太陽』になれるかな?――


28『手を伸ばせば』


一人、公園の野原に寝転ぶ一人の少女が居た。左手を太陽に翳して、眩しそうに目を細めている。
服の袖から見える機械鎧も、鈍く光っていた.明るかった視界が急に暗くなった.


!!こんな所に居たのかよ・・・探したぞ。」


彼女の視界には一人の少年が逆さまに映った。


「エド・・・」


は彼の名前を呼ぶと、足を上下に振り、反動で起き上がった。


「何してたんだ?」


「空見てた。」


簡潔に一言で今までの行動を言った。


「空?何で?」


「何となく、綺麗な青空だからさ。」


そう言うと、はまた空を見上げた。


「ふーん・・・」


エドは後ろに体重を掛け、そのまま野原に寝転んだ。


「エド?」


「確かに綺麗だな。でも、眩しくて昼寝もできねぇや。」


そのまま彼は右手を太陽に翳した。


「でも、太陽もいいよ。」


「眩しいのにか?」


顔をの方に向かい目を細めた。逆光でまるで、彼女が光っているみたいに見えたエド。


「眩しいけど、何時も照らしてくれるから。温かいし。」


彼を見て微笑んだの笑顔に、少し赤くなったエド。


「・・・お前も太陽だな・・・」


「え?何?」


エドの言葉が聞き取れず、首を傾げる


「何でもねぇよ。」


エドは立ち上がり、背中についた草を払う。


「何によ!教えてよ!」


彼を見上げながら少し頬を膨らます


「嫌だね。早く来ないと置いてくぞ。」


「あ、待ってよ!」


先にスタスタと歩き出すエドを慌てて追う。




――お前は俺の太陽。
手を伸ばせば掴める距離に居る。
傍に居れば、俺を暖めてくれる。
冷えた心も何もかも、和みに変えてしまう。
俺を、勇気付けてくれる『』と言う名の太陽。――




FIN