は私が守る!!」
そう言って立ち上がるロイ。
事の始まりはハボックの一言・・・


風の物語


「少佐って、軍に入りたてなのに人気高いっスねぇ〜〜〜・・・」


「そうか?」


少々眉間に皺を寄せながらロイは言った。


「男女問わずって感じですね・・・
少佐って此処じゃ最年少じゃないっすか。
だからマスコットキャラみたいな感じっスかね?」


更に眉間の皺が増えた。


「・・・悪い虫がつく。」


「へ?」


「私が手塩にかけて育てたんだ!!
どこの誰だかわからん馬の骨に、に手出しさせるか!!」


そして、この台詞。


は私が守る!!」


その台詞にハボックは呆れ気味に溜め息を吐いた。


「所では何処だ?」


「知らないっス。」


ハボックがそう言うと、ロイは仕事そっちのけでを探しにいった。


「た・・・大佐!!」


ハボックの呼び声も聞かぬふり・・・


「仕事・・・」


更に溜め息。




一方・・・はと言うと・・・


「少佐!!今晩空いていますか!?」


「え・・・空いて・・・ますけど・・・」


他人と殆ど面識の無いは突然の誘いに戸惑った。
幼い頃から錬金術にのめり込み、親しいのは兄のロイ、錬金術の師匠、ロイの部下位だ。


「なら今夜、俺と食事してくれませか?」


「えっと・・・」


なんと返答して良いのか戸惑う
一応は年下なので、階級が下の人にも敬語の


「ごめんなさい・・・私・・・男性と食事するのは・・・ちょっと・・・」


余り親しくない相手とは居たくない。それがの本音。


「本当にごめんなさい・・・」


そう言って、シュンと顔を俯ける。


「い・・・いえ!!こちらこそ、突然すみませんでした!!」


そう言って、食事を誘った男性は逃げるように去っていった。


「・・・悪い事しちゃったかな・・・?」


軍に馴染めないなぁ・・・そんな事を呟く
執務室に向う為また歩き出した・・・が。


「マスタング少佐!!」


「今度は誰・・・?」


背後から声を掛けたのは女性。


「あの・・・クッキー作ったんです。良かったらどうぞ。」


そう言って差し出す可愛い包み。


「私に・・・?」


「はい。」


笑顔で答える女性。


「マスタング大佐に届けてくれ・・・とかそんなんじゃなくて?」


「勿論です。少佐の為に作りました。」


そう言われ、少し照れながらは包みを受け取った。


「ありがとうございます。
休憩時間に食べますね。」


照れ笑いを浮べながらは言った。


「それじゃ、私は仕事がありますから・・・」


「はい。頑張ってくださいねvV」


クッキーを貰ったのが嬉しかったのか、足取り軽く執務室に向った。


「只今戻りました。
・・・あれ?大佐は?」


執務室に入ったものの、ロイの姿が見当たらず。


「ハボック少尉、大佐何処に行ったんですか?」


「少佐を探しに行ったんスけど・・・会いませんでした?」


「全然。」


「所で、少佐。その手に持っている物って・・・」


「ん?貰ったんですよ。」


そう言って手に持っている包みを見せた。


「少佐、そんな簡単に物貰っては駄目よ?」


そう言ってに話し掛けてきたのはリザ。
手には分の紅茶があった。


「でも・・・こういうプレゼントって初めてだから・・・
食事してくれって人も居たよ?男性から。」


「誘いは受けたんですか?」


ハボックは興味深く尋ねた。


「いや・・・断ったけど・・・」


「やっぱりなぁ・・・」


ちょっと残念そうに肩を下ろすハボック。


「誘い・・・受けた方が良かったかな・・・?」


「駄目よ。特に男性は。」


「そなんだ。」


何か一つ学んだ


「あ、リザ姉も食べる?クッキー。」


「いいの?」


「うん。」


可愛らしく頷く
そんな仕草にリザは頬を緩めた。


「ハボック少尉も食べましょう?」


「ごちそうさまです。
って・・・少佐。いい加減敬語止めませんか?
階級上なんですから・・・」


「でも、少尉達は年上でしょう?
年上の人に溜口なんて・・・」


「軍じゃそれぐらい普通ですよ?」


「・・・努力してみます。」


何事も経験・・・そう感じただった。


は戻っているか?!」


凄い勢いで扉を開けるロイ。


「さっき戻りました。
・・・その両手一杯の物はなんですか?」


入ってきたロイの両手には手紙やら包みやら沢山あった。
それをのディスクの上に置いた。


「・・・全部お前宛だ。」


「え・・・マジ・・・?」


「マジだ。」


一つの手紙を手にとって封を開けてみると、ラブレター的な文章が書かれていた。


「・・・凄いわね。」


「大佐をしのぐ人気・・・」


「司令部内を歩いただけでこれだ・・・」


溜め息混じりのロイ。


「・・・の人気は半端じゃないって事か?」


「そんなに人気あったんだ・・・ι」


自覚していない人一名。


「子供っぽいのが一番の理由かもしれないっスね。」


「言えてるかも・・・
ちゃん、私と初めて会った時よりも子供っぽくなってるし・・・」


「そうかなぁ・・・?」


自覚無し。


「んじゃ・・・敬語だけでも止めてみようかな・・・」




そして現在。


「マスタング少佐!!」


そう言ってを呼び止める男性。


「ん?何かね?」


爽やかな笑みで、は振り返った。


「今夜、空いていますか?」


「誘ってくれるの有り難いんだが・・・
私には恋人が居るから。」


「そうですか・・・」


「すまないね。」


「いえ!俺はこれで失礼します!!」


そう言って、男性は去っていった。



「・・・大佐を見本にしたのが間違えだったのかしら・・・?」


「そうっスね・・・
前よりも人気上がってるんじゃないっスか?」


結局『子供に見えない大人っぽさがある』と言うことでの人気は更に上がったとか・・・
そして、を誘う男性を片っ端から消し炭にしたロイが居たとか、居なかったとか。




FIN