――ずっと好きな人がいる・・・――

気付かぬ恋


何時も眼で追っている人物・・・
何時も・・・まるで子犬のように忙しなく動く彼女がとても・・・可愛い・・・ずっと見ていたら鼻血でも出そうだ・・・(爆)
東方司令部のマスコットキャラクターでもある彼女は男女共々人気が高い。狙ってる男も多いだろう・・・
今日こそは・・・今日こそは絶対思いを伝えるんだ!!




何時も眼で追っている人物がいる・・・マスタング大佐・・・
凄くカッコよくて・・・堂々としてて・・・
でも、大佐といる女性は何時も綺麗な人・・・私なんて釣り合わない・・・大佐と釣り合うのは何時も傍に居るホークアイ中尉位・・・
私も綺麗だったらなぁ・・・




――そんな二人の思いが、交差する・・・――




今日こそ思いを伝えようとロイはを探し、東方司令部を歩き回っていた。と、その時、前から探していた人物が歩いて来た。


・・・」


「お、じゃん。どうしたんだ?」


ロイの言葉はハボックによって遮られた。


「あ、ハボック少尉。」


「ジャンで良いって。んで、どうしたんだ?そんなに沢山資料抱えて・・・」


「あ、これ。今から資料室に返しに行くんだ。」


そう言いながらは笑った。


「重たそうだな・・・俺も手伝うか?」


「え、でもハボック少尉だって仕事があるんじゃ・・・」


「いいから、半分よこせ。」


そういうと、ハボックはの抱えていた資料を半分持った。


「ありがとうございます。」


満面の笑みでお礼を言う


「後で、コーヒーぐらい奢れよ?」


「解かってるって。」


そんな楽しそうに話す二人を影から恨めしそうに見るロイの姿。


「ハボックめ・・・どうせなら全部持ってやればいいだろう・・・」


そう言いながらロイはさっきのの笑顔を思い出した。


はハボックが好きなんじゃないか・・・?)


そんな不安が胸をよぎった。




「此処に置いとけば良いのか?」


資料室に着き、ハボックは近くにあった机に資料を置いた。


「うん。ありがとう。ハボック少尉。あと片付けだけだから。」


「んじゃ、頑張れよ。」


そう言いながらハボックはの頭を撫で、資料室から出て行った。


「さぁ〜〜・・・片付け、片付け。」


は抱えていた資料を机の上に半分置きファイルを探し歩いた。
数分の時間が過ぎた頃、資料室のドアが開いた。


「ハボック少尉?片付けは一人で出来るから大丈夫って・・・」


「残念だが、ハボックではないんだが・・・」


その声を聞き、は振り返った。


「大佐・・・」


振り返った先に居たのは、紛れも無くロイだった。


「ハボックの方がよかったか?」


「いえ・・・そう言う意味で言ったのでは・・・」


突然の訪問者に戸惑う


「君はハボックが好きなのか?」


「ち・・・違います!!」


ロイの眼を見て力一杯に否定する


「私には・・・好きな人が居ますし・・・」


少し照れながら、彼女は呟いた。誰も居ない資料室。彼女の小さい声でも、ロイの耳にはちゃんと届いていた。


「誰なんだ?君の好きな人は?」


「それは・・・」


顔を赤らめ、俯く


「・・・大佐が好きです・・・」


消えてしまいそうな声で、は呟いた。自分ではないと諦めいたロイの眼は驚きを表した。


「それは・・・本当か?」


「はい・・・でも、迷惑でしょう・・・私に好かれても・・・」


今にも泣き出しそうな声では言った。その姿が愛しくて、ロイは彼女を抱き締めた。


「大・・・佐・・・」


「迷惑じゃない・・・嬉しいよ・・・」


ロイの温もりを全身に感じる。力強い腕、胸板。嫌でも感じるくらいに。


・・・君が好きだ・・・付き合ってくれないか・・・?」


「え・・・?」


は顔を真っ赤にしたままロイを見つめた。


「そんなに照れないでくれ・・・私も恥ずかしいんだ・・・」


「大佐・・・」


恥ずかしさの余り、ロイは腕の力を強め、を抱き締めた。


「答えを聞かせてくれないか?」


「聞かなくても解かってるじゃないですか・・・」


ロイの胸に顔を鎮めるように身体を預けた。


「大佐・・・好きです・・・」


。私もだ。」


そのまま二人は静かな時間を過ごした。




FIN