セントラルに来たエルリック兄弟。目的は図書館ともう一つ・・・
「。頑張って仕事してるか?」
2歳年下の恋人に会いに来たのだ。
エドの恋人は、セントラルでも有名な機械鎧の整備師。・・・の弟子。
「あれ?は?」
の師匠である女将に、エドは聞いた。
「あぁ・・・作業室に居るよ。でも・・・気をつけた方が良いよ。
作業中のあの子の部屋に入ると・・・」
女将の言葉もそこそこに、エドは作業室に走って行った。
「忙しない子だね・・・」
「あはははは・・・」
女将の言葉に苦笑するしか出来ないアルだった。
「vV入るぞvV」
そう言って扉を開けたエド。
開けた瞬間、彼の顔面目掛けてスパナが飛んできた。
「のわ!!」
それを何とか紙一重で避ける。
「!!何すんだよ!!」
「それはこっちの台詞よ!!
扉に書いてある文字が読めないの!?」
エドは首を傾げながら扉を見た。
そこには大きな字で『作業中!!立入禁止!!』と書かれていた。
「別にいいだろ?久しぶりにこうして・・・」
「早く出てって!!気が散るのよ!!」
再びエド目掛けて投げられたスパナ。
それを避けながらエドは扉を閉めた。
「一体何だってんだ!!」
「前はこんな事無かったのにね・・・」
以前来た時は、扉の張り紙も無く、エドが部屋に入ると飛びついてきた。
「何かあったのか?」
一番師ってそうな女将にエドは聞いた。
「ちょっとね。
2週間前くらいだったかしら・・・が作業している時に小さい男の子が来てね。
父親の方が機械鎧で、その整備に一緒に来たんだけど・・・」
「その時に何かあったのか?」
女将の煎れてくれたお茶を啜りながらエドは言った。
「機械鎧を整備している時に男の子がにぶつかっちゃってね。
工具はバラバラになるわ、整備していた機械鎧が壊れるわで・・・
それからかしら・・・作業中は誰も入れなくなったのは・・・」
女将の話を聞いて納得したような、してないような。そんな複雑な心境のエド。
「でも、あそこまでしなくても良いんじゃねぇのか?普通・・・」
「スパナ投げてくるなんて・・・ね・・・」
エルリック兄弟は故郷の幼馴染を思い出した。
「・・・整備師は皆ウィンリィに似てるのか・・・?」
エドがそう言葉を漏らした途端、スパナが飛んできた。
勿論、突然の事で避ける暇もなかった。
「!!お前いい加減にしろ!!」
「エドがウィンリィの名前出すからいけないんでしょう!!」
ワーワーギャーギャーと騒ぎ出す二人。
「仲が良いのか悪いのか・・・」
呆れ気味にアルは言葉を発した。
「喧嘩すほど仲が良いって言うでしょう?目の前の二人が良い例よ。」
そう言って女将は二人を指差した。
「・・・そうですね。」
そんな事を言う二人を目の前にエドとの痴話喧嘩は壮大さを増してゆく。
「もう、エドなんか知らない!!」
そう言っては店を飛び出した。
「!!」
エドの声には振り返らずに、はセントラルの街中を走って行った。
「エドのバカァ・・・」
はそんな事を呟きながら街中を歩いていた。
「あれ・・・此処・・・?」
気が付いた時には薄暗い裏路地に入っていた。
目の前にはいかにもヤバそうなお兄さんが二人。
身の危険を感じたのか、は踵を返したが、時既に遅し。
「お嬢ちゃん、こんな所で何してるんだ?」
「そうそう、俺達と遊ばない?」
誰が遊ぶか!!そんな事を心の中で叫ぶ。
勿論、口には出さない。
「なぁなぁ、遊ぼうぜ〜〜〜。」
腕をつかまれ、壁際に追いやられた。
(いや・・・)
恐怖心を感じたは今にも泣きそうになった。
「エド・・・」
の口から出たのは恋人の名前。
「何か・・・呼んだか・・・」
息を切らしながら、裏路地の入り口に立つエド。
「エ・・・ド・・・?何で・・・?」
エドの方を見ながらは言った。
「あぁ・・・なんだこの野郎は。」
「手前ぇには用はねぇんだよ。下がってろよ。チビ。」
「あ・・・ι」
チビという単語にエドがぶち切れた。
「だぁれぇがぁ豆粒よりも小さい微生物どチビかぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
そのまま叫びながらエドは男に向かい突進した。
数分の後、男二人はエドの手によってぶちのめされた。
「お前・・・何で逃げるんだよ・・・」
壁際に居たの肩上にエドは手を付いた。
「だって・・・エドが・・・悪いんでしょ・・・っ!!」
さっきの恐怖と、エドが来た安心感からは涙を流した。
「エ・・・ドが・・・ウィン・・・リィの・・・名前・・・出す・・・から・・・」
嗚咽を押さえながら、は言葉を紡いだ。
「悪かったって・・・泣くなよ。。」
「だってぇ〜〜〜・・・」
エドは優しい笑みを浮べ、の頭を撫でた。
「まったく・・・お前は・・・」
呆れ気味に言葉を吐くと、を抱き締めた。
「エド・・・?」
「一回しか言わねぇからちゃんと聞いとけよ・・・」
そう言うと、の耳元に唇を当てた。
「俺が好きなのはだけなんだ。
だから・・・もっと俺の事信じてくんねぇか?」
「エド・・・私も・・・エドの事・・・大好き・・・
ううん・・・」
はそこまで言うと、躰を離した。
「エド。」
エドの首に腕を回し、はエドの耳元に唇を寄せた。
「愛してる。」
「・・・」
「私が整備師としてちゃんとやってけるようになって、エドのサポートできた時は・・・
その時は私も連れてってね・・・エド・・・」
エドの目をじっと見つめ、は言った。
「・・・何年後になる事やら・・・」
「っ!!何よ!!その言い方!!」
少しムスッとする。
「悪ぃって。
でも、その時には俺達は元の躰に戻って・・・
ずっとお前の傍に居るよ。」
の腰に腕を回し、エドはそっと口付けた。
「エド・・・約束だからね。」
「あぁ。ずっと、お前だけを愛し続ける。」
「っ///!!」
エドの言葉に真っ赤になる。
「何か///エドってたまにタラシだよね・・・///」
「なんだよ・・・それ・・・」
「だってぇ〜〜〜。」
「そんな事より、早く店に戻らなきゃな。
女将さん、心配してたぞ?」
エドの言葉で、投げ出してきた仕事を思い出した。
「あぁぁぁぁ!!!仕事すっかり忘れてたぁ!!!」
「まったく・・・」
呆れ気味に溜め息を吐くエド。
「・・・早く戻ろうぜ。」
「うん。」
エドと手を繋いで、は仕事場に戻って行った。
――離れていても、考えている事は二人同じ。
何時までも一緒に居ようね?エド。――
FIN
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