「大佐!いい加減に仕事してください!!」
「暇なのだからいいであろう…」
近頃、これといった大きな事件は無く、司令部は暇を持て余していた。が居るのは大佐専用の執務室。二人しかいないこの場に言い争いを止めるものはいない。
「暇なのは分かりますが、それでは書類が溜まる一方ですよ…」
「君はどうなんだ?マスタング中佐。」
「私の仕事はとっくに終わっています。」
呆れ顔のはついに禁句を言ってしまった。
「無能…」
ロイの眉間に皺が寄った。
「誰が無能だ?中佐。」
「貴方以外誰が居るんですか?」
ロイは立ち上がり、発火布を付けた。
「兄でもある私に無能とは…覚悟は出来ているか?。」
「望むところだ。無能兄貴。」
そして喧嘩は始まった。
「消し炭にしてくれる!!」
「甘いんだよ!!クソ兄貴!!」
ロイが指を擦ろうとした瞬間、頭上から大量の水が。
「俺の二つ名は確かに風だけど、それ以外にも水や氷が使えるの忘れてたか?」
戦い終了。の勝ち。
「ずぶ濡れではないか…」
そう言いながら軍服とYシャツを脱ぎだした。
「下は平気みたいだな…」
ため息を付きながら呟いた。
「にしても、ここまでやるか…普通…」
「兄貴が悪い。」
きっぱりと言い切り、はソファーに腰をおろした。
「……」
ロイをジーと見つめる。
「なんだ?」
軍服を干していたロイは、の視線に気付き、振り向いた。
「いや…エロいなーって…半裸が。」
「…?」
その後、は何やら考える仕草をした。何か閃いたのかロイの方を再び向いた。
「兄貴、ゲームやるか?」
「は?」
いきなり何を言いだすのかと思いつつ、ロイは椅子に腰掛けた。
「語尾に『半裸で。』を付けるだけのゲーム。」
「それだけか?」
「いや、言ってるうちに笑いが出る。」
実際にやった事があるのだろうか、は思い出し笑いをしていた。
「まぁ…いいだろう。」
いいんですか?(作者)
「よし。開始。半裸で。」
では、面白さを倍増させる為に、ナレーションも加わりましょう。半裸で。
「罰ゲームはあるのか?半裸で。」
「ん〜どうしようか?半裸で。」
あった場合、私はどうしたらいいんでしょうか?半裸で。
「んじゃ、一週間昼飯を奢るでどう?半裸で。」
「いいだろう。半裸で。」
さぁ、ついに始まりました。半裸で。
「兄貴、晩飯何がいい?半裸で。」
「そうだな・・・さっぱりしたものがいいな。半裸で。」
笑いを堪えながらは答えようとした。半裸で。
「んじゃ、買い物付き合えよ。半裸で。」
「お互い上がる時間は一緒だからな。半裸で。」
実際も上半裸なロイさん。半裸で。
「なら、上がる時間がずれないようにさっさと仕事終わらせてくれ。半裸で。」
「解かっている。半裸で。」
そう言うとロイは書類にサインを付け始めた。半裸で。
「・・・寒い・・・半裸で。」
流石に上半身裸は寒いのか、震え始めた。半裸で。
「はいよ。兄貴。半裸で。」
そう言って手渡したのは一枚の軍服。半裸で。
「すまないな・・・半裸で。」
お互い、一週間の昼食が掛かっている為か一歩も引かない。半裸で。手渡された軍服に袖を通すロイ。半裸で。
「一週間の食事と言うと、暫くは滞在するのか?半裸で。」
「ん。今エドが図書館で調べ物してるし・・・半裸で。」
想像しかけたのか、ロイは笑いそうになった。半裸で。
「結構面白いな・・・このゲームは。半裸で。」
「ある意味セクハラだけどな。半裸で。」
「妹にセクハラする奴は居ないだろう・・・半裸で。」
兄弟でそんな会話するのは貴方達だけだと思います。半裸で。
「で、何でこんなゲーム思いついたのだ?半裸で。」
「この前エドとアルとやったから。半裸で。」
紅茶を啜りながらは言った。半裸で。
「エド達とやった時は『全裸で』だった。半裸で」
「爆笑物だな・・・半裸で。」
ついに笑いを堪えられなくなったのか、ロイは笑い出した。半裸で。
「まぁ、ゲームが終っても暫くは言い続けてたな・・・半裸で。」
「私達以外が聞いたら凄い事になるぞ。半裸で。」
「だろうね。半裸で。」
道端で言わないようにしよう。半裸で。と呟くとロイ。半裸で。
呟いた後、ドアが勢いよく開かれた。半裸で。
「妹に何セクハラしてんだよ!!無能大佐!!」
ドアの外で聞いていたであろうエドがドアの前に立っていた。半裸で。
「エド、セクハラじゃないよ。半裸で。」
「負ける気はないのか??半裸で。」
エドがいても尚もやめない二人。半裸で。
「・・・もしかしてあのゲームか?」
「そうそう。今兄貴と一週間の飯を掛けてやってる。半裸で。」
「はたから見たらヤバイ兄弟だぞ・・・」
頭を抑えながらエドは呟いた。半裸で。
「ナレーションもウザいし・・・」
私にツッコミをしないで下さい。半裸で。
「で、何時まで続けてるつもりなんだ?」
「どっちかが負けるまで。半裸で。」
きっぱりと言い切った。半裸で。
「定時まで後一時間・・・どっちが勝つか・・・半裸で。」
「俺が絶対勝つ。半裸で。」
そう言ったの顔は余裕で満ちていた。半裸で。
「兎に角、鋼の。ドアを閉めてくれないか?半裸で。」
「え・・・あ・・・うん。」
ロイに言われた通りドアを閉めた。半裸で。
「そういや、ハボック少尉に新しい彼女が出来たの知ってるか?半裸で。」
「マジで!!」
「それは本当か!!!!」
そう言ってロイは立ち上がった。半裸で。
「兄貴の負け。半裸で。」
「あ・・・やってしまった・・・」
相当悔しいのか、溜め息をつきながら再び椅子に腰を掛けた。
「んじゃ、明日から一週間、昼飯宜しくなvV兄貴vV」
そう言うとは執務室を出て行った。
「大佐・・・大丈夫か?」
が去った後、財布を確認するロイの姿を見てエドは言った。
「まぁ・・・大丈夫だろう・・・」
こうして、『語尾に半裸で』ゲームは終了した。
FIN
|