波打ち際に立ち並ぶ人影・・・一人の小さい人影が海に向って走り出した。


『誰が豆粒ドちびか!!』


そこまで言ってませんって。貴方も勝手にナレーションに入ってこないで下さい。私の仕事なんだですから。


『別にいいだろう!』


やれやれ・・・では、気を取り直して行きますか。


夏だ!ワカメだ!フンドシだ!


砂浜に立っている人影。軍人+一人。右からマスタング大佐、ヒューズ中佐、アームストロング少佐、ハボック少尉、アルファンス、そして唯一の花、少佐である。さっき走り出したオチビさんは、エドワードです。(笑)大佐のお守り、ホークアイ中尉は仕事の為休みが取れず・・・
そう、この軍人さん+一人は休暇を利用して海に遊びに来ていたのだ。


「早く泳ごう!!」


も海に向かい走り出した。喜びながら海に入るエドと。ロイ以外は皆砂浜に陣取った。


「あまりはしゃぎ過ぎるなよ〜〜〜〜!」


「はーい」


ヒューズの言葉に元気良く答える。彼女とは対照的にエドはむすっとした顔をしている。


「どうしたんだ?エド?」


「何か子ども扱いされてるみたいで・・・・」


「当たり前じゃん。子供なんだから。」


「お前は何で怒らないんだよ?」


エドが言うのも確かだ。の歳は18歳。子ども扱いされたら怒る年頃なのに怒らない。


「皆、心配してくれてんだもん。怒るわけないじゃん。」


満面の笑みでは答えた。その笑みを見たら誰もが頬を染める。


「あ、お兄ちゃん!!」


はロイに向って手を振ったが、途中で化石化していまった。隣りに居るエド、そして軍人さん+一人も・・・その理由は簡単・・・


「待たせたな。」


微笑みながらそう言うロイ。周りの皆は固まったまま。そう、ロイは水着ではなくフンドシだったのだ。まぁ、普通のフンドシなら皆も固まらなかっただろう。皆さん、この題名を思い出してください。『夏だ!ワカメだ!フンドシだ!』。もうお分かりですよね?そう、ロイはワカメフンドシで皆の前に姿を現したのだ。(しかも、爽やかな笑みで。)
一番最初に立ち直ったのはだった。一目散にロイの元に走り出した。


?どうした?」


「この・・・・クソ兄貴!!」


の跳び蹴り。左足ならまだしも、右足で、しかも顔面に食らわした。周りの人たちも復活し、倒れたロイをそのまま砂浜に、まるで生首状態になるように埋めた。そして、汗をふき取り、こう一言・・・


「「「「「変態大佐、埋葬完了!」」」」」


彼らの正しい判断で世界は救われた・・・(そうか?)


「おい!こんな事してもいいと思っているのか!君達!」


「あ、そうそう。、ちょっとした案があるんだが・・・・」


ロイの言葉なんかお構いなしに、ヒューズはに耳打ちをした。


「それは、ちょっとな・・・・」


「いい案だと思ったのにな〜〜〜・・・お前が参加しないんならこれ、意味なくなるんだよな・・・」


その言葉を聞いての顔が引きつった。


「まぁ・・・・・・少しくらいなら付き合っても・・・・でも、俺も参加するからな!」


「もちろん。おーい、皆聞いてくれ。」


ヒューズの声に一斉に振り返る一同。


「今からビーチバレーやるぞ。」


ビーチボールを片手にヒューズは言った。


「はぁ?んなの面白くないじゃん。」


エドが飲み物を手に取りながらヒューズに言った。


「まぁ、聞けって。賞品もあるんだぞ。」


賞品という言葉にまたしても一同は耳を傾けた。


「賞品は・・・」


「賞品は?」


「なんと!花の18歳!からのキスだ!!」


一同の目に(大佐と少佐以外)輝きが増した。


はそれを許可したのか!?」


砂の中から叫ぶロイ。


「もちろん。参加でカタをつけた。」
横で頷く。怒るロイを気にせず、ヒューズは話を進めた。


「ルールは簡単。二人一組でビーチバレーをしてもらう。勝った者が勝者。相方は自分で決めて良いぞ。」


ちなみにヒューズは審判。他のメンバーは相方を選んだ。エドとアルのエルリック兄弟チーム。アームストロング少佐とハボック少尉の軍チーム。そして残ったは・・・


「お兄ちゃんがこんなんじゃなければ・・・・」


そう呟きながらは横に埋まっているロイを見下ろした。未だに土の中に居るロイ。


ちゃん?どうしたの?」


不意に向いていた方向と逆の方向から声を掛けられた


「リザさん!!」


救世主、リザ・ホークアイ中尉登場。(笑)はリザに抱き付いた。


「どうしたの?」


「リザさん!実は・・・」


は事の経緯をリザに話した。リザの顔が一瞬強張った。


「ヒューズ中佐・・・貴方は一体何をお考えですか?」


右手に銃を構え、安全装置を外した。


「まぁまぁ、落ち着いて。」


なだめに入るアル。そして下の方から叫び声がした。


「ホークアイ中尉!仕事はどうしたんだ!」


「ちゃんとやっときました。大佐。」


サラリと言い放つリザ。


ちゃん。私と組もうか?」


「良いんですか?」


俯いていた顔が一気に明るくなった。


「もちろん。」


「じゃぁ、お願いします!」


はリザに一礼をした。


「はい、メンバーは決まったみたいだな。まずは第一回戦!」


マイクを取り出し(何処から?)司会進行の準備万端のヒューズ。


「少佐&少尉の軍チーム対、&中尉の女性チーム!」


周りに集まった観客が(何時の間に?)ワーと声援を上げた。中には見慣れた軍人さんも。


「リザさん、絶対勝ちましょうね。」


「えぇ。もちろん。」


とリザは着ていた上着を脱ぎ捨てた。もちろん下はビキニの水着姿。更に熱くなる観客席。(ぇ?)


「ルールは簡単。先に5ポイント取ったほうの勝ち!サービスはもちろん女性チームから!」


からのサーブ。少し後ろに下がり、ダッシュしながらサーブを打った。の華奢な身体とは裏腹に、物凄い速さのサーブがハボックの足元に叩きつけられた。


「ま、このぐらい当然だな。」


余裕の表情の。ビビルハボック。第一回戦は0−5で女性チームの圧勝だった。


「此処で特別ルール!!」


突然、ヒューズの叫び声が響いた。


「観客の皆さん!二人一組のチームなら参加OKだぞ!」


観客席からは歓声と、相談する雑音が聞こえてきた。


「最後に勝った者は、エルリック兄弟チームと戦ってもらい、優勝者を決める!さぁ!勝てると思う人!名乗りをあげろ!!」


どんどん出てくる男の山。ざっと20組は居るだろう。


「はいはい、ちゃんと一列に並んで並んで。」


ヒューズは一列目の人の前に立って誘導を始めた。


「リザさん・・・体力持ちますか?」


「まぁ・・・・あれ位ならどうにかなるんじゃないかしら。」


一組目からの挑戦状。もちろん、女性チームの圧勝。
全てのチームとの決着を付けた女性チームは、かなり息が上がっていた。


「さぁ、他に挑戦するものは居ないか!?居ないなら決勝に・・・」


「ちょっと待った!!!」


突然、砂の中に埋れていたロイが叫んだ。


「今度は私が相手だ。」


そう言うとロイは砂の中から出てきた。(もちろんワカメフンドシで。)


「おいおい、ちゃんとルールは聞いてたか?」


「女性に対してのハンデだ。私一人で勝つ。」


真剣な顔のロイ。その瞳には焔が灯っていたが・・・


「お兄ちゃん。かっこ悪いからやめて。」


「そうだぞ。無能大佐。」


とどめを刺したのはエドだった。突如ロイの頭の上に無能と書かれた石が落ちてきた。


「煩い!私がやると言っているんだ!それを止めるな!!」


大佐を捕まえる女性チームに負けた方々。自慢の焔も出せないまま抵抗するロイ。


「離せ!!」


まさに無能大佐。はエドの腕を少し引っ張った。彼がの方を見ると、彼女は少し背伸びをしてエドの頬にキスをした。


「!!!」


ロイの顔が固まった。


「お兄ちゃん、俺エドと付き合ってるんだ。」


の言葉にロイは化石化した。エドはか顔を赤らめ、俯いている。



こうして、『奪え!の唇ビーチバレー』は終了した・・・・




fin