降り頻る雨の中、は傘も持たずに歩いていた。


それは、数分前に戻る。


愛のままに我侭に僕は君だけを傷つけない


雨の日の三蔵は機嫌が悪い。


けど、今日はさらに機嫌が悪くちょっとした事から喧嘩になり、は家を飛び出た。

「三蔵の馬鹿〜・・・」


力の無い声で三蔵の悪口(?)を言う。


ふと、立ち寄ったのは一軒のCDショップ。


(少しは時間つぶしになるよね・・・)


はCDショップへと入っていった。




CDショップは少し広い作りになっていて、所々に試曲コーナーがある。


試曲コーナーの一つのCDに目を止めた。


(この曲、知ってる・・・)


ヘッドホンを耳に当て、その曲の番号にあわせる。


(懐かしい・・・)


――愛のままに我侭に 僕は君だけを傷つけない


  太陽が凍りついても 僕と君だけよ消えないで――



数年前にヒットした曲。


(この頃に三蔵と出会ったんだっけ・・・)


昔のことを思い出す


今も昔も変わっていない幸せな二人。


(何で私、三蔵のことわかってあげなかったんだろう?)



――繋いだ手なら離さない 降りしきる雨の中で


埃まみれの絆も 輝きはじめる――



(三蔵・・・ゴメン・・・)


の目から涙がポロポロと流れ出す。



――愛のままに我侭に 僕は君だけを傷つけない


  太陽が凍りついても 僕と君だけよ消えないで――



ふと、は誰かに抱きしめられる感じがした。


「誰?」


「泣いてんじゃねーよ。馬鹿」


が顔を上げた所に三蔵の顔があった。


「三・・・蔵・・・ゴメンね・・・」


「別に気にしてねぇ・・・」


「本当にゴメン・・・」


三蔵はの耳に掛かってるヘッドホンを取って元の場所に戻した。


「帰るぞ・・・」


「うんw」



――今だから好きなんだから 諦めながら生きないで


  他人(誰か)の血が流れていても 一途な思いを振りかざそう――



Fin