「・・・何時もこの時間帯には来るんですけどね。」
「その内来るでしょ。」
パソコンのディスプレイを見ていたニィの耳に、ドタバタと言う足音が聞こえた。
「ホラ、来た。」
「ニィ健一!!これは何ですか!!!!」
勢いよく扉を開けて入って来たのは一人の少女。
「おはよう、。」
「おはようじゃないです!!!何で私人間になってるんですか!!」
「昨日飲んだものも覚えてないの?」
「昨日・・・?」
そう言われ、昨日ニィから渡された飲み物の事を思い出した。
「・・・っ!!私を実験体にしたんですか!?」
「そんなに怒らないの。皺増えちゃうよ?」
「私はまだ10代です!!」
研究室で繰り広げられる喧嘩に、黄は溜め息を吐いた。
「黄博士、連れて少し出かけてくるから。」
「・・・何処にですか?」
「ちょっと良いところvVさ、行こうか?」
「・・・・解かりましたι」
そう言うと二人は研究室を出て行った。
「でも、何で私を人間の姿にしたんですか?それと、薬の効力はどれぐらいなんですか?」
「街にでも行って、デートしようと思ってね。」
「は?」
それなら妖力制御装置でもいいんじゃないの?と呟く。
「研究に没頭するにご褒美を上げようと思ってね。嫌だった?」
「いや・・・嫌じゃないですけど・・・ニィ博士と一緒に出かけられるなら・・・」
赤面しながら言う。それが可愛らしく、ニィはキスをした。
「に・・・ニィ博士・・・?誰か来ますって・・・」
「そんなに可愛いと、今度は食べちゃうよ?」
「・・・っ!!は、早く街に行きましょう!!」
「はいはい。」
そんなこんなで、街に来た二人。
「たまには普通のデートもいいね。」
「そうですね・・・何時も研究所に篭りっきりですし。表に出るのもいいですね。」
横に並びながら二人は街中を歩く。
「で、薬の効力はどのくらいなんですか?」
「その姿でも不自由はしないでしょ?」
「そうですけど・・・でも、何か嫌なんですよ・・・」
そう言いながらは耳を触った。
「大丈夫、明日には元に戻る・・・かもしれないから。」
「かもしれないって・・・ι」
額に汗をかきながらは言った。
ふと露店を眺めていたが足を止め、一つの店に近付いた。
「?」
「ニィ博士、これ可愛くないですか?」
そう言って手に持っていた物をニィに見せた。
「・・・うさぎのネックレス?」
「はいvV何かうさぎを見ると博士を思い出すんですよねぇ・・・」
うさぎがトレードマークのニィ健一。
物欲しそうな目でネックレスを眺める。
「・・・欲しいの?」
「え?いや・・・そう言うつもりじゃ・・・あ、博士!!あっちにも何か有りますよ!!」
慌ててネックレスを置き、別の露店へ走っていく。ニィも彼女を追うように露店を後にした。
「今日は楽しかったです。」
「そう。良かった。」
僕は疲れたと呟きながら煙草を咥える。
「あ、そうそう。これ。」
「?何ですか?」
渡されたのは小さな紙袋。中身は最初見にた露店で売られていたうさぎのネックレス。
「は・・・博士?」
「実験台にした御礼。君で良いデータが取れそうだからね。」
「・・・一応は恋人なんですけど・・・」
「下級の妖怪に使ってもしょうがない代物でしょ。君だから使った薬なんだよ?」
ネックレスを眺めるように手に持つ。キャッチを両手で掴み、ネックレスを首に下げる。
「ありがとうございます。似合いますか?」
「ん〜〜〜・・・まぁまぁかな。」
「お世辞でも可愛いって言ってくださいよ・・・ι」
「嘘。可愛いよ。」
ニィの言葉に赤面しながらも満面の笑みで彼を見つめる。
「そんなに可愛いと・・・本当に食べちゃうよ?」
「・・・!!博士!!」
「冗談冗談♪」
「貴方が言うと冗談に聞こえないんですよ!!」
「はははは♪」
「ちょっと聞いてますか!!博士!!」
スタスタと先に歩いていくニィを追いかけるようには走った。
結局の身体が戻ったのは4日後の事だった・・・
END
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