一昨日の雨の日、妖怪に襲われたであろう、彼女を見つけた。
『同族の争いも醜いですねぇ・・・』
そう思いながら、足者に転がる少女を見下ろした。我に気付いた彼女は顔を向けた。その瞳を見た瞬間、何かに襲われる感覚がした。
『生きたいですか?』
我の問い掛けに少女は頷いた。普段ならほおって置くのに何を血迷ったか、彼女を拾うことにした。
「一色。この花綺麗だね。」
そう言って手にとったのは真っ赤に染まった一輪の華。
「そうですね・・・でも、血の色ですね。」
「でも、綺麗でしょ?一色にあげる。」
差し出された華を受け取り、我は微笑んだ。
「ありがとう。」
微笑む我を見て、満面の笑みを浮べる彼女。何故か可愛いと思い、同時に壊してしまいたいと思った。
ずっとこの手の中に納めて居たい・・・そんな気持ちが我を支配した。
何時か彼女が我の手を離れて行きそうな、そんな感じがしていた・・・
「・・・」
この時、我は初めて少女の名前を呼んだ。
「何?一色?」
微笑みながら振り向く彼女に我は爪を振り上げた。血に染まる少女。今まで見たことの無い美しさに笑みが漏れた。
「貴女を誰にも渡したくない・・・これでずっと一緒に居れますね・・・・・・」
もう、体温の無いを抱き締めながら呟いた。
我の呟きは貴女に届くのでしょうか?・・・
FIN
|