殺される夢を見た…
兄貴に…殺される夢を…



夢も現実も紙一重さ



起きたのシャツは汗で躰に張り付いていた。
時計を見てみるとまだ明け方。
は少し迷ったが、シャワーを浴びる事にした。


ザーと雨のように落ちる温水。
は何も考えずにシャワーを浴びていた。


脳裏を過ぎるのは幼き日々。


『全部・・・全部お前等が悪いんだ・・・』


――俺って居ちゃいけない存在なのか?――


『お前さえ居なければ・・・』


――俺の存在が兄貴を傷付けてたのか?――


『お前が居なければ、父さんたちはもっと俺の事を・・・』


――そうだよな・・・俺は・・・――




?」


ドアの方から名前を呼ばれ、は振り返った。


「・・・リョーマ・・・?」


リョーマだと知ったはシャワーを止めた。


「どうしたんだ?もしかして俺起こしちゃった?」


「喉渇いて降りてきただけ。」


「そっか・・・上がるから、少し退いてくれない?」


の声を聞くと、リョーマは脱衣所から出た。
リョーマが出て行った事を確認すると、は脱衣所に入った。


「お前がこんな時間に起きるなんて珍しいじゃん。」


「喉渇いただけ。
は何でこんな時間にシャワーなんて浴びてんだ?」


「・・・暑くてさ。汗かいちゃって。」


「ふ〜ん。」


リョーマは何事も無かったかのように台所に向った。
も服を着て、台所に向った。


・・・もうちょっとマシな格好出来ないの?」


リョーマが言うのは最もで、の部屋着は短パンにキャミソール。


「別にいいだろう?暑いんだから。」


「湯冷めするよ?」


リョーマが言うことに耳を傾けず、は冷蔵庫を開け、飲み物を取った。
の服の隙間から少し見える傷跡。
リョーマは思わず目を逸らした。


「・・・やっぱり気持ち悪いよな。」


目を逸らしたリョーマに気付いたのか、は苦笑しながら言った。


「そんな事・・・」


「無いって?嘘でしょう。
だって、目背けたじゃん。」


「・・・・」


リョーマは何も言わず、下を向いた。


「別にいいんだ。気にしてないし。
何時もの事だから。」


飲み物を冷蔵庫の中に戻し、は部屋に戻ろうとした。
リョーマは思わず、の腕を掴んだ。

「リョーマ?」


「・・・気持ち悪くない。
だけど・・・痛々しいから見たくなかった。」


言い終えると、腕を離しリョーマは自室の方へと歩き出した。


。」


「今度は何?」


リョーマは振り向かず、そのまま話し始めた。


「俺・・・の事好きだから。
おやすみ。」


「リョーマ!?」


急に言われた事が理解できず、はリョーマを追いかける事が出来なかった。


「・・・何か・・・先越された・・・」


微笑ながらは部屋に戻った。


――今度はいい夢が見れるといいなぁ。
リョーマと二人っきりの夢を・・・――



FIN