ダブリスに着いたは重い足取りでカーティス家に足を運んだ。
「そういや・・・急いでて軍服のままだったんだよなぁ・・・」
師匠に怒られる・・・そう思いながら呼び鈴を鳴らした。
「・・・誰だ?」
「あ・・・です・・・」
イズミの声が聞こえ、控えめに言った。
「何だ、か。どうした?」
「いや・・・エルリックの馬鹿兄弟が此処に来てると思ったんですが・・・」
「あぁ。エドの方は査定がどうとか言って南方司令部に行ったぞ。」
イズミの言葉に溜め息を吐く。
「彼奴・・・査定は忘れるなって毎回言ってるのに・・・」
「ところで。何故軍服なんだ?」
「えっと・・・急いで此処に来たもので・・・着替える暇が・・・」
額に汗をかきながらは苦笑した。
「まぁいい。早く上がれ。」
「はい。お言葉に甘えて・・・」
は一歩玄関に踏み出した。
「。」
「はい?何ですか?」
急に呼び止められ、は振り返った。
「お前の事はエドから聞いた。」
「何を・・・?」
「人体錬成の事だ。」
イズミの言葉にビクッと肩を揺らす。
「・・・エドから・・・聞いたんですか・・・?」
「あぁ。・・・お前も頑張ったな。」
そう言っての頭を優しく撫でるイズミ。
「師匠・・・」
「本当に・・・師弟揃って・・・だな。」
「やっぱり・・・師匠も・・・」
「あぁ・・・内臓をね・・・あちこち持っていかれた。」
「そう・・・ですか・・・」
顔を俯け、は何も言えず居た。
「・・・軍の狗になって良かったと思っているか?」
「え・・・?」
イズミの言葉に、は再び顔をあげた。
「どうなんだ?」
「・・・良かったと・・・思います。」
「どうしてだ?何時戦争に借り出されるかわからない・・・それでも軍の狗を続けるのか?」
「俺は!!」
そう叫んで、は下を向いた。
「俺は・・・人体錬成をした時・・・あそこで死ねば良かったって思っていました。
でも・・・禁忌を犯した俺でも・・・必要としてくれる人が居る・・・
俺を・・・助けてくれる人が居る・・・支えてくれる人が居る・・・
だから俺は・・・」
の頭の中には軍部の人達の顔が浮かんでいた。
は真っ直ぐにイズミの目を見た。
「だから俺は、その人達の為に役に立ちたいんです。
例え、俺の事を何と言う人が居ても、俺には沢山の大切な人が居る。
その人達を護りたいんです。」
そう言うと、は土下座をした。
「だから俺、もっと強くなりたいんです!!
大切な人を・・・エドとアル・・・兄貴を護れる位に強くなりたいんです!!
もう一度・・・俺を鍛えてください!!」
その目は、幼き頃見たの熱い目だった。
そんなにイズミは頭を撫でた。
「どいつもこいつも・・・似ているな。」
「え・・・?」
「エドとアルも、同じように土下座をしていたよ。
昔見た決意に溢れた目でね。」
「師匠・・・」
「さ、そんな所に座ってないで、着替えて店の手伝いしな!!
明日からみっちり修行するから、覚悟しな!!」
「は・・・はい!!」
は持っていたトランクを担ぎ、脱衣所に向った。
「師匠、ありがとうございます!!」
「礼は良いから、さっさと支度しな!!」
「はい!」
満面の笑みで、は店番をしたとか。
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