第二十章『決意〜前に進む〜』


中央に移動になって一日目、書類の整理に追われる軍部。
そんな中、は何か思い耽った表情をしている。


「マスタング中佐、どうしたのだ?」


「いえ・・・何でもありませんよ。」


止まっていた手を再び動かす。
それでも様子がおかしいにロイは眉をひそめた。


「・・・、鋼のの元に行くか?」


「え・・・?」


「その方が君も楽だろう?」


「ですが・・・」


エド達と別れてから一度も連絡を取っていない


「・・・早く帰って支度でもしろ。
彼奴等も淋しがってるんじゃないか?」


「大佐・・・ありがとうございます。」


はコートを手に取り、扉へ向った。


「・・・たまには家にも連絡を入れなさい。」


「解かりました。
行ってきます。」


そう言い残すと、は執務室を出て行った。


「やっと妹離れですか?大佐。」


お茶を持ちながらハボックは話し掛けた。


「辛そうなを見るのが嫌なだけだ。
・・・私じゃどう仕様もないからな・・・」


お茶を受け取りながらロイは悲しい顔で呟いた。


「いざとなったら大佐が護れば良いだけっスよ?」


「そうだな・・・」


走り去るの後ろ姿を執務室の窓から眺めた。


「彼奴には鋼のの隣が一番だからな。」


自分達に見せる笑顔とエドに見せる笑顔。
その違いにロイは少しだけ嫉妬を覚えた。
同時に、自分では彼女の支えにはならない劣等感も。




は自宅へ着くと、すぐに荷物を纏め家を出た。


「ロイ兄・・・ありがとな。」


そう呟き、家を後にした。




――エドに・・・早く会いたい・・・
自分はもう、待ってるだけじゃ駄目なんだ。
自分でも会いに行かなきゃ。――




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