中央に移動になって一日目、書類の整理に追われる軍部。
そんな中、は何か思い耽った表情をしている。
「マスタング中佐、どうしたのだ?」
「いえ・・・何でもありませんよ。」
止まっていた手を再び動かす。
それでも様子がおかしいにロイは眉をひそめた。
「・・・、鋼のの元に行くか?」
「え・・・?」
「その方が君も楽だろう?」
「ですが・・・」
エド達と別れてから一度も連絡を取っていない。
「・・・早く帰って支度でもしろ。
彼奴等も淋しがってるんじゃないか?」
「大佐・・・ありがとうございます。」
はコートを手に取り、扉へ向った。
「・・・たまには家にも連絡を入れなさい。」
「解かりました。
行ってきます。」
そう言い残すと、は執務室を出て行った。
「やっと妹離れですか?大佐。」
お茶を持ちながらハボックは話し掛けた。
「辛そうなを見るのが嫌なだけだ。
・・・私じゃどう仕様もないからな・・・」
お茶を受け取りながらロイは悲しい顔で呟いた。
「いざとなったら大佐が護れば良いだけっスよ?」
「そうだな・・・」
走り去るの後ろ姿を執務室の窓から眺めた。
「彼奴には鋼のの隣が一番だからな。」
自分達に見せる笑顔とエドに見せる笑顔。
その違いにロイは少しだけ嫉妬を覚えた。
同時に、自分では彼女の支えにはならない劣等感も。
は自宅へ着くと、すぐに荷物を纏め家を出た。
「ロイ兄・・・ありがとな。」
そう呟き、家を後にした。
――エドに・・・早く会いたい・・・
自分はもう、待ってるだけじゃ駄目なんだ。
自分でも会いに行かなきゃ。――
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