はロイ達と共に東方司令部へと戻った。


「中佐、君にはハボックと共に瓦礫の撤去作業をしてもらう。」


「瓦礫・・・?何かあったんですか?」


暫く中央に居た為、東方の事情がよく飲み込めていない。


「先日、地下水道で爆発が起こった。
その祭、スカーの上着が発見されたんだ。
恐らく、スカーが瓦礫の下敷きになっているものと思い、
ハボックの班に瓦礫の撤去作業をしてもらっている。」


「私達の班もそれに協力しろと?」


「あぁ。人数が多い方が作業も捗る。」


「解かりました。」


ロイに敬礼をすると、は部下を連れ瓦礫の撤去作業に参加した。


第十九章『中央へ』


現場に着いたはまずハボックに話し掛けた。


「ハボック少尉。」


「マスタング中佐・・・何時戻ってきたんスか?」

「今朝方にな。
私達の班も瓦礫の撤去作業をする事となった。
よろしく頼む。」


上着を脱ぎながらは言った。


「でも大丈夫なんスか?
一応中佐だって女性・・・」


「一応は余計だ。」


一言多いハボックの言葉に眉間に皺を寄せた。


「それに私を見縊るな。
これぐらいの作業、朝飯前だ。」


上着を脱いだの二の腕は女性とは思えない筋肉が付いていた。


「・・・少佐の小さいバージョン。
でも、スタイル良いなぁ〜〜〜・・・
中尉以上の・・・」


ボソッと思った事を呟くハボック。


「少佐の小さいバージョン・・・か・・・」


更に眉間に皺を寄せる


「あ・・・ごめんなさい・・・今のは聞かなかった事に・・・!!」


「しっかりと聞こえていたが・・・?
まぁいい。さっさと作業するぞ。ハボック少尉。」


「はい。」


とハボックは撤去作業を再開した。




こうして数日の時が過ぎた。


「スカーの死体でねぇな・・・」


「まったくだ。」


瓦礫の入った袋を積んだハボックと


「この際、面倒臭いから全て分解してしまおうか・・・」


「錬金術っスか?」


「あぁ。その方が効率も上がるだろう。」


そう言うと両手を合わせ、近くにあった瓦礫を分解し始めた。


「スカーとの戦いで得た知識だ。
分解もこういう時に役立つ。」


「そうっスね。」


どんどん分解していく


「ハボック少尉、マスタング中佐。
少しは休んでください。」


「そうですよ。下っ端の俺等より働いてるじゃないですか。」


「そうか?悪いな。」


汗を拭きながらハボックは部下たちに言った。


「中佐も少し休みましょう。
此処連日動きっぱなしですし。」


「私はいい。
・・・少しでも動いていないとやっていけないんだ・・・」


先日の事を思い出し、の表情は歪んだ。


「中佐・・・」


そんなを心配し、ハボックは彼女の首に腕を回した。


「そんなに溜め込んでると何時か壊れてしまいますよ?
少しは俺等の事も頼ってください。」


「ハボック少尉・・・
すまないな。」


笑顔になる。だが、その笑顔は昔ハボックも見た事のある悲しげなものだった。


「中佐・・・」


「私も少し休む。
ハボック少尉、煙草を一本くれるか?」


微笑んだの顔は先程とは打って変って、優しい笑みになっていた。
そんな彼女を見たハボックは安心したような顔をし、に煙草を渡した。


「未成年は吸っちゃいけないんスよ?」


「今更のはなしだな。」


少しふざけたような会話。
お互いに笑みを漏らしていた。


「マスタング中佐、ハボック少尉。
大佐からお電話です。」


その言葉を聞いたハボックの口から煙草が落ちた。


「またかよ・・・」


「今度は何だ?」


嫌そうな顔を浮べながら二人は電話の方へと足を向けた。


「大佐、何スか?
俺、撤去作業で忙しいんですけど。」


ハボックは嫌味っぽく言葉を吐いた。


『少し用事があってな。
中佐と一緒に司令部の方に戻って来い。いいな。』


用件だけ言い終えると電話が切れた。


「大佐、何だって?」


「用事があるから司令部に戻って来いって・・・
一体何の用事だよ・・・」


「まぁ、仕様がない。
戻るとするか。」


「そうっスね。
後は任せたぞ〜〜〜。」


「はい!!」


ハボックは部下たちに向かい叫んだ。
彼の言葉を聞いた部下は元気よく返事を返した。


「じゃ、行きますか。マスタング中佐。」


「あぁ。」


二人は司令部へと戻った。




車の中の会話・・・


「本当、大佐とは大違いっスね。」


「何がだ?」


「中佐の性格っスよ。
部下を労わる気持があるんスから。」


「・・・そうか?」


「そうっスよ。」


ハボックの言葉を聞いて悩む




司令部に着き、ロイの執務室へと足を向けた。


「大佐、失礼します。」


「あぁ、入れ。」


中からロイの声がし、とハボックは執務室の中へと足を踏み入れた。


「これで全員だな。
さて、ケイン・フュリー曹長。」


「はい。」


ロイに名前を呼ばれフュリーは返事をした。


「ヴァトー・ファルマン准尉。」


「はっ。」


「ハイマンス・ブレダ少尉。」


「ウス。」


「ジャン・ハボック少尉。」


「へい。」


「リザ・ホークアイ中尉。」


リザだけ何故かお辞儀。


・マスタング中佐。」


「はい。」


「以上6名。
私と共に中央へ異動となった。
文句は言わせん。
付いて来い!!」


ロイが言い終ると、一斉に敬礼をした。


「あ・・・」


何か思い出したのか、ハボックは声をあげた。


「大佐、まずいっス。問題が一つ!


「何?」


「俺最近カノジョできたばっかなんス!」


大真面目な顔でロイに言うハボック。
「別 れ ろ 。
中央で新しい女つくれ。」


キッパリと言い切るロイ。


「付き合い始めたばかりなら、まだ愛情も薄い。
よかったな。傷が浅くてすんだぞ!」


窓の方を向いて、高笑いをするロイ。
正反対に、ハボックは落ち込んでいた。


「ハボック少尉・・・頑張れ。」


落ち込むハボックに慰めの言葉を掛ける
他の人達もハボックの肩を叩いた。


「俺・・・もう嫌っスよ・・・」


それでも落ち込むハボック。


「ハボック少尉、今夜飲みにでも行くか?」


「は?」


の思いかけない言葉にハボックは驚いた。


「私と二人きりで飲みに行くのは嫌か?」


「いえ。喜んで。」


次の日、ハボックは二日酔いの状態で異動の準備をしたとか・・・




NEXT
18 20