現場に着いたはまずハボックに話し掛けた。
「ハボック少尉。」
「マスタング中佐・・・何時戻ってきたんスか?」
「今朝方にな。
私達の班も瓦礫の撤去作業をする事となった。
よろしく頼む。」
上着を脱ぎながらは言った。
「でも大丈夫なんスか?
一応中佐だって女性・・・」
「一応は余計だ。」
一言多いハボックの言葉に眉間に皺を寄せた。
「それに私を見縊るな。
これぐらいの作業、朝飯前だ。」
上着を脱いだの二の腕は女性とは思えない筋肉が付いていた。
「・・・少佐の小さいバージョン。
でも、スタイル良いなぁ〜〜〜・・・
中尉以上の・・・」
ボソッと思った事を呟くハボック。
「少佐の小さいバージョン・・・か・・・」
更に眉間に皺を寄せる。
「あ・・・ごめんなさい・・・今のは聞かなかった事に・・・!!」
「しっかりと聞こえていたが・・・?
まぁいい。さっさと作業するぞ。ハボック少尉。」
「はい。」
とハボックは撤去作業を再開した。
こうして数日の時が過ぎた。
「スカーの死体でねぇな・・・」
「まったくだ。」
瓦礫の入った袋を積んだハボックと。
「この際、面倒臭いから全て分解してしまおうか・・・」
「錬金術っスか?」
「あぁ。その方が効率も上がるだろう。」
そう言うと両手を合わせ、近くにあった瓦礫を分解し始めた。
「スカーとの戦いで得た知識だ。
分解もこういう時に役立つ。」
「そうっスね。」
どんどん分解していく。
「ハボック少尉、マスタング中佐。
少しは休んでください。」
「そうですよ。下っ端の俺等より働いてるじゃないですか。」
「そうか?悪いな。」
汗を拭きながらハボックは部下たちに言った。
「中佐も少し休みましょう。
此処連日動きっぱなしですし。」
「私はいい。
・・・少しでも動いていないとやっていけないんだ・・・」
先日の事を思い出し、の表情は歪んだ。
「中佐・・・」
そんなを心配し、ハボックは彼女の首に腕を回した。
「そんなに溜め込んでると何時か壊れてしまいますよ?
少しは俺等の事も頼ってください。」
「ハボック少尉・・・
すまないな。」
笑顔になる。だが、その笑顔は昔ハボックも見た事のある悲しげなものだった。
「中佐・・・」
「私も少し休む。
ハボック少尉、煙草を一本くれるか?」
微笑んだの顔は先程とは打って変って、優しい笑みになっていた。
そんな彼女を見たハボックは安心したような顔をし、に煙草を渡した。
「未成年は吸っちゃいけないんスよ?」
「今更のはなしだな。」
少しふざけたような会話。
お互いに笑みを漏らしていた。
「マスタング中佐、ハボック少尉。
大佐からお電話です。」
その言葉を聞いたハボックの口から煙草が落ちた。
「またかよ・・・」
「今度は何だ?」
嫌そうな顔を浮べながら二人は電話の方へと足を向けた。
「大佐、何スか?
俺、撤去作業で忙しいんですけど。」
ハボックは嫌味っぽく言葉を吐いた。
『少し用事があってな。
中佐と一緒に司令部の方に戻って来い。いいな。』
用件だけ言い終えると電話が切れた。
「大佐、何だって?」
「用事があるから司令部に戻って来いって・・・
一体何の用事だよ・・・」
「まぁ、仕様がない。
戻るとするか。」
「そうっスね。
後は任せたぞ〜〜〜。」
「はい!!」
ハボックは部下たちに向かい叫んだ。
彼の言葉を聞いた部下は元気よく返事を返した。
「じゃ、行きますか。マスタング中佐。」
「あぁ。」
二人は司令部へと戻った。
車の中の会話・・・
「本当、大佐とは大違いっスね。」
「何がだ?」
「中佐の性格っスよ。
部下を労わる気持があるんスから。」
「・・・そうか?」
「そうっスよ。」
ハボックの言葉を聞いて悩む。
司令部に着き、ロイの執務室へと足を向けた。
「大佐、失礼します。」
「あぁ、入れ。」
中からロイの声がし、とハボックは執務室の中へと足を踏み入れた。
「これで全員だな。
さて、ケイン・フュリー曹長。」
「はい。」
ロイに名前を呼ばれフュリーは返事をした。
「ヴァトー・ファルマン准尉。」
「はっ。」
「ハイマンス・ブレダ少尉。」
「ウス。」
「ジャン・ハボック少尉。」
「へい。」
「リザ・ホークアイ中尉。」
リザだけ何故かお辞儀。
「・マスタング中佐。」
「はい。」
「以上6名。
私と共に中央へ異動となった。
文句は言わせん。
付いて来い!!」
ロイが言い終ると、一斉に敬礼をした。
「あ・・・」
何か思い出したのか、ハボックは声をあげた。
「大佐、まずいっス。問題が一つ!
「何?」
「俺最近カノジョできたばっかなんス!」
大真面目な顔でロイに言うハボック。
「別 れ ろ 。
中央で新しい女つくれ。」
キッパリと言い切るロイ。
「付き合い始めたばかりなら、まだ愛情も薄い。
よかったな。傷が浅くてすんだぞ!」
窓の方を向いて、高笑いをするロイ。
正反対に、ハボックは落ち込んでいた。
「ハボック少尉・・・頑張れ。」
落ち込むハボックに慰めの言葉を掛ける。
他の人達もハボックの肩を叩いた。
「俺・・・もう嫌っスよ・・・」
それでも落ち込むハボック。
「ハボック少尉、今夜飲みにでも行くか?」
「は?」
の思いかけない言葉にハボックは驚いた。
「私と二人きりで飲みに行くのは嫌か?」
「いえ。喜んで。」
次の日、ハボックは二日酔いの状態で異動の準備をしたとか・・・
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