翌日の昼、ロイとリザは軍法会議所に来ていた。
周りの人間には目もくれず。
「!!」
「あ・・・にき・・・」
ソファーの上で蹲るようにしていたが顔をあげた。
彼女の瞳は真っ赤に充血していた。
「兄貴ぃ・・・」
ロイを見るなり、は瞳に一杯の涙を浮べ抱き付いた。
「大丈夫だ。」
「また・・・大切な人・・・失った・・・」
泣きじゃくるをそっと撫でる。
「俺・・・パパに何も言ってない・・・
ありがとうの言葉も・・・何もかも・・・
伝えてない事・・・一杯で・・・」
「・・・」
少し間を置き、ロイが口を開いた。
「これからヒューズの葬式がある。
出れるか・・・?」
この質問がにとってどれだけ酷な物かロイも知っている。
「駄目ならこのまま此処で・・・」
「・・・行く。」
消え入りそうな声を発する。
「大丈夫なのか?」
「『ごめんなさい』の一言・・・伝えたい・・・」
「ちゃん、これ貴女の服よ。」
「ありがとう。リザ姉。
着替えてくる。」
リザから荷物を受け取り、は部屋を出て行った。
「本当に大丈夫なのでしょうか・・・?」
「・・・辛い時は吐き出せばいいのにな。」
そう呟き、ロイはソファーに座った。
第十八章『永遠の別れ』
数時間後、と共にヒューズの葬式に赴いた。
「・・・エリシアの言葉・・・凄く悲しかった・・・」
ヒューズの墓石の前でロイにそっと話し掛ける。
「今日はもう、宿の方に帰りなさい。」
「・・・うん。
パパ・・・ごめんね・・・」
そう呟いて、は墓石から離れた。
「ちゃん・・・」
「リザ姉・・・ロイ兄の事頼むね・・・」
「えぇ・・・」
リザが頷くのを見ると、は宿屋の方に足を向けた。
宿屋のベッドに仰向けに寝転がり、天上を見上げる。
「俺等の所為なんだ・・・パパが死んだのは・・・俺等の・・・」
ずっと、そう呟く。
「・・・入るぞ。」
「兄貴・・・」
そっと扉が開くのを見つめる。
「ヒューズの死で何か知っている事はないか?」
「・・・ない。」
「本当か?」
「・・・・・・・・言えない。」
「。」
少し強めの口調のロイ。
彼の言葉を聞き、は立ち上がった。
「言えねぇよ!!
パパが死んだのは・・・俺等の所為なんだ・・・
兄貴に話したら・・・兄貴まで・・・」
「何か知っているんだな?
何があった。全て話せ。」
「言えねぇ・・・言っちゃいけないんだ・・・」
「上司命令だとしてもか?」
「・・・言えない。
だから・・・これ以上聞かないで・・・
お願いだから・・・」
そう言ってまたベッドの上で蹲る。
「すまなかった。。」
「兄貴の気持だってわかる。
でも、これ以上誰も巻き込みたくないんだ・・・」
の頭をそっと撫でるロイ。
「、暫く私と一緒に居ないか?」
「え?」
驚いた様に顔をあげる。
「中央への移動が決まりそうだ。
勿論、お前も連れて行く。」
「兄貴・・・」
「どうする?」
ロイの言葉に暫し黙り込む。
「・・・・・・解かった。兄貴に着いてく。
今エドに会ったら俺・・・何話すかわかんねぇから・・・」
「そうか。」
次の日、達は東方に戻った。
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