を追いかけ、エルリック兄弟が来たところは、かつての東方司令部があった場所。
かつての軍人は、守る警察官のような役割に変わっていた。


最終章『お帰り』


「兄さん、此処にが居るの?」


「多分・・・な。」


余り確信がないのか、エドは不安そうに言った。


「此処だって言ったの兄さんでしょう・・・」


「そりゃ・・・そうだけど・・・」


トランクを抱えながらエドは街中をうろついた。


「・・・変わってないな。」


「え?」


ポツリと呟いたエドの言葉にアルは驚いた。


「兄さん・・・此処に来たことあるの?」


「・・・記憶の中だけ・・・だけどな。」


「?」


エドの言葉に意味が解からないという表情をするアル。


「ま、気にすんなって。」


そう言ってアルに向って微笑んだ。


「あの、青い制服の人って・・・軍人さんなのかな?」


そう言って指差した一人の女性。
漆黒の腰まである髪を靡かせながら町の人と話している。


「そうなんですか?今日来たばっかりだからよく解からないんですよ・・・」


「そうなのかい?早く町の事覚えてくれよ。」


「勿論ですよ。」


そう微笑んで女性は振り返った。


「・・・エド・・・先輩・・・それに、アルまで・・・」


・・・やっぱり此処にいたんだな。」


に近付く二人。


「どうして・・・此処が解かったの?」


「昔・・・此処にいただろ?お前。最初に会ったのは確か、東方司令部の中・・・だろ?」


そう言って指差したのは、かつて東方司令部だった建物。


「先輩・・・」


「その呼び方ヤメロ。昔と同じでいい。」


「・・・思い出したの・・・?」


「あぁ。全部な。
ちゃんと約束守ってくれたんだな。」


そう言って微笑むエド。
「エド・・・」


「ただいま。。もう一人にしないからな。」


泣きじゃくるを抱き締めながら、エドは髪を撫でた。


「お帰り・・・エド・・・」


訳が解からないアルはボー然と立っていた。


「えっと・・・一体何があったの?」


「ははははは」


「ん。お前にも話さなきゃな。」


「取り合えず私の家に来る?グリ兄も居るけど。」


は家のある方向に歩き出した。エドとアルもの後を追う。


「ただいま。」


「今日は早かったな。今日は客人も一緒か。」


エドとアルを見つめ、グリードは微笑んだ。


「お邪魔します。」


「どうも。」


「遠慮なんてしなくていいぞ。さっさと上がれ。」


そう言って二人はリビングに足を運んだ。
エドとは一通りアルに話した。


「そう言う事があったんだ・・・」


「まぁね。長かったよ・・・何百年も探してたんだから。」


そう言って紅茶を啜る


「でも、いいだろ?また会えたんだから。」


「まぁね。」


ホノボノと二人は微笑んだ。


「・・・で、此処で提案なんだけど・・・」


「何?」


「アルの身体を元に戻そうと思うんだ。」


「は?」


の当然の話に、エドとアルは驚いた。


「このままで居るわけにもいかないでしょう?
だったら私がどうにかするよ。」


「でも・・・」


「大丈夫。リバウンドはないと思うから。」


微笑んだ。それでも心配そうな顔をする二人。


「大丈夫だって。ね。」


「アル・・・お前はどうする?」


「・・・・・・」


話を振られ、アルは悩んだ。


「・・・・・・お願い・・・します・・・」


真っ直ぐにを見つめるアル。


「それじゃ、取り敢えずは材料ね・・・」


こうしてアルの肉体を取り戻す為、は作業を始めた。




数ヵ月後・・・


「兄さん!!早く起きなよ!!」


「後5分・・・」


はとっくに出掛けちゃったよ!!」


「何〜〜〜!!!」


アルに起こされ、エドは勢いよく起き上がった。


「ならさっさと起こせよ!!」


「なかなか起きない兄さんが悪いんでしょう・・・」


呆れ気味のアル。その姿は鎧ではなく、生身の肉体。


「さっさと用意しなよ・・・」


「解かってらぁ!!」


そう言って袖を通したのは青い軍服。


「おはよう!!グリード!!」


「おせぇぞ。鋼のチビ。」


「チビ言うな!!」


リビングで言い争う二人。


「あ、おはようエド。」


「あれ・・・・・・もう仕事に行ったんじゃ・・・?」


「そう言った方が早く起きるでしょう?
時計見てみなよ。」


そう言って時計を見てみると、まだ朝の7時。


「騙された・・・」


「騙されるエドも悪い。」


「んだと!!」


「はいはい。痴話喧嘩は他でやれ。
朝飯冷めるぞ。」


手に持っていた皿をテーブルの上に置くグリード。


「いっただきまーす。」


「いただきます。」


口に押し込むように食べるエドと


「何か毎朝騒がしいよね・・・」


「全くだな。」


そんな二人を呆れ顔で見つめるアルとグリード。


「ごちそうさま。
んじゃ、私先に行くね〜。」


席を立ち、は玄関の方に向った。


「ちょ・・・!!待てよ!!!!」


「ヤダ〜〜。
いってきまーす。」


の後を追うようにエドも出て行った。


「騒がしい朝が終ったな。」


「そうですね。」


苦笑気味のアルとグリード。
こうして新たな四人の生活が始まった。




FIN