それはロイとが視察をしている時に起こった・・・


――ドシン!!!


「な、何だ!?」


突然裏通りから大きな音がし、煙が立ち昇った。


「テロか!?」


「兄貴!兎に角向おう!!」


ロイとは一目散に、現場に走り出した。


Welcome! To the world of F.A!一日目。


「いてててて・・・」


「大丈夫か?ちゃん?」


「悟浄、ありがとう。」


少女は悟浄と呼ばれた青年に守られろうような形で地面に突っ伏していた。


「ジープ、大丈夫ですか?」


「一体なんなんだ?」


煙が立ち昇る中、五人の人と一匹の龍が姿を現した。


「貴様等、一体何者だ!!」


「テロリストなら容赦無く消し炭にするぞ。」


銃を構えると、発火布を装着するロイ。そんな二人に慌てるように、茶色がかった髪の青年が言葉を発した。


「ちょっと待って下さい。僕等は怪しいものじゃ・・・」


「充分怪しい!!」


「大佐、落ち着いて。
確かに、君とそこにいる女性は怪しくはないだろう。だが、他の三人が・・・」


「俺等の何処が怪しいって言うんだ?」


「そうだそうだ!!」


声を張り上げるように深紅の髪の青年と、茶髪の少年が抗議の声を発した。


「・・・取り合えず、君たちの身柄を拘束する。大人しく着いて来い。さもなくば・・・」


「さもなくば・・・なんだ?」


不機嫌丸出しの金髪の青年が言葉を発した。


「この場で死んでもらおう。」


「だ〜〜〜!!何挑発してんだよ!!馬鹿兄貴!!
兎に角、君たちは私と一緒に司令部の方に来てもらう!!いいな!!」


ロイを殴って潰した後、一気に言い切った
その後、五人は何も言わず二人の後についていった。




「で、急に光に包まれて空から落ちてきた・・・ってことか?」


「そう言うことです・・・」


五人の自己紹介が終った後、八戒と名乗った青年から話を聞いた二人。


「非科学的だな。」


「言えてる。」


ロイとは顔を見合わせながら呟いた。


「で、ちゃんって言った?君可愛いね〜〜〜。」


悟浄はの腰に腕を回した。


「私に触るな。切り刻むぞ。」


に睨まれ、悟浄は少し後ずさりした。


「ついでに、消し炭にもするぞ。」


ロイはにこやかに発火布を装着した。


「遠慮させてください・・・」


「てか・・・さっきのセリフ・・・聞き覚えあるような・・・」


そう言うと、悟空はに視線を移した。


「私?」


「そういや、ちゃんも『切り刻むぞ』って言うもんな。」


そう言うと、今度はの肩に腕を回した。


「切り刻まれたいならその状態でいても良いけど?悟浄?」


満面の笑みで言うの後ろに黒い渦を見た悟浄。


「でも、まぁ・・・こんな事するのって観世ぐらいしかいなくない?」


が他の四人の方を見て言った。


「・・・またあのくぞババァか・・・」


頭を抱える金髪。


「どうにか元の場所に戻る方法はないのでしょうか・・・」


「私にはそんな力ないからなぁ・・・」


「大佐、がここにいるって聞いたんだけど・・・」


急に司令室のドアが開き、顔を覗かせるエド。


「なんだか、人口密度が高くなったな・・・」


エドが言うのも当然だ。何時もの軍メンバー&知らない五人組。


「しかも、部屋が白い・・・」


「少尉とそこの二人が吸ってちゃね・・・」


「ま、いいや。、今日は何時上り?」


そう言うとの腰に腕を回すエド。


「あ・・・今日は残業になりそうな予感・・・」


「マジで?
大佐、しっかり仕事しろよ。にまで迷惑かかるだろう?」


「私はいつでも真面目に仕事をしているが?」


「そう言う台詞は・・・」


「何々?そこの小さい男、ちゃんの彼氏?」


「だぇれぇがぁ顕微鏡で見なきゃ見えないミジンコゾウリムシどチビか〜〜〜〜!!!!」


悟浄に『小さい』と言われ、怒るエド。


「そこまで言ってねぇだろ?
猿と同じくらいからかいがいがあるなぁ。」


「猿って言うな!!」


わーわー、ぎゃーぎゃーと煩くなる執務室。
三蔵キレる3秒前。


「「煩い!!静かに出来ないのか?!貴様等は!!」」


三蔵の声と重なるように、が声を上げた。
両者の手には銃が握られている。


「「「ちょっと待て!!その距離は当たる!!!!」」」


悟空・悟浄・エドの声がハモった。


「・・・君とは気が合いそうだな。」


「ふん。」


は三蔵の方に手を伸ばし、握手を求めた。
三蔵も、口の端を少し上げ、彼女の手を握った。


「・・・強い・・・」


「あの三蔵様と握手してるよ・・・」


何時もの三蔵と少し違うと、怯える悟浄と悟空。


「そういえば・・・大佐。この人達司令部に泊める気ですか?」


「・・・そう言う訳にも行かないだろうな・・・」


不審者で東方司令部に身柄を拘束された5人。当然泊まる所も司令部。


「じゃぁ・・・家に連れてきますね。」


「は?」


「だから、早退させてくださいvV」


笑顔で詰め寄る
その言葉の裏には
『早く帰らせろ。昨日からずっと仕事してんだよ、こっちは。』
と言うの言葉が隠されていた。


「・・・良いだろう。」


冷や汗をかきながらロイは言った。


「じゃ、行きましょうか?皆さん。」


「本当に良いんですか?」


八戒が申し訳無さそうに口を開いた。


「うん。俺と兄貴と二人暮しだし、部屋余ってるから。
それに司令部じゃ床に寝るのがオチだぞ?
ま、それでも良いなら強制はしないけど。
あ、でも女性がこんな男共の多い所で寝るのは良くないから、さんだけは連れてくよ?」


一気に言い切る


「え、私だけ?」


「うん。他の奴が嫌って言った場合。」


「どうする?三蔵?」


の言葉を聞いて、は三蔵の方を向いた。


「・・・勝手にしろ。」


「だって。皆でお邪魔してもいい?」


「勿論。じゃ、早速案内するよ。
少尉、車の用意を。」


今まで書類を片していたハボックには声を掛けた。


「俺って足っスか?」


「そう言うな。夕食ぐらいならご馳走する。」


「・・・中佐の手作りっスか?」


「勿論だ。」


「喜んで引き受けます。」


の作る食事に釣られ、ハボックは車を用意した。


「あ、僕達はいいですよ。車ありますから。」


「・・・あの車で移動されるとこっちが困るんだ。
何せ、此処には無い種類だからな。」


八戒の肩に乗っている白龍を撫でながらは言った。


「そうですか・・・」


「中佐、車の用意できましたよ。」


「では、行こうか?
勿論エドも。」


「ん。」


そう言って、皆ぞろぞろと執務室を出て行った。




食事を終え、個々でのんびりと過ごしていた。


さん。」


「何?ちゃん」


食後のコーヒーを啜っていたは話し掛けた。


「彼奴等は何時もあんなに騒がしいんですか?」


「あぁ・・・いつもの事よ。」


悟空と悟浄(今はエドも)が騒ぎ(喧嘩)、三蔵の銃(もしくはハリセン)の餌食になる。
八戒は笑顔で見つめる。
それが三蔵一行の日常。


「へぇ・・・大変そう・・・」


「そうでもないよ。慣れると楽しいし。」


「慣れ・・・」


慣れって恐ろしい・・・と内心呟く


「あ、そうだ。」


は何か思い出したように口を開いた。


「どうしたんの?」


「風深に頼んで観世に聞いてみれば良いんだ。」


ぽん、と手を叩き先程の会話とは関係ない事を言う


「風深ってだ「「「「それを早く言え(言ってください。)」」」」


の言葉は三蔵一行によって掻き消された。


「んじゃ、さっそく・・・」


は立ち上がり、両手を広げた。


「『に仕えし風の聖霊『風深』よ。我の前に姿を現せ。』」


が言い終わると、辺り一面光に包まれた。
光が収まると、の足元に幼き少女が姿を現した。


様〜〜〜♪」


だってば・・・ι」


の腰に勢いよく抱きつく少女。


「・・・この人は?」


「風深。私に仕えてる聖霊。」


「また、非現実的な・・・」


そう言って頭を抱える


様、今日はどうされたのですか?」


「風深にお願いがあってね。
観世のクソババァに『こっちに来いvV』って伝えてくれない?」


笑顔で言うの後ろには黒い物が渦巻いていた。


「は・・・はい・・・解かりました・・・ι」


の後ろにある何かを感じ取ったのか、風深は怯えていた。


「宜しくね♪」


「承知しました。」


そう言って、風深は姿を消した。


「後は観世が来るのを待つだけ・・・なんだけど・・・」


「あのババァが簡単に来ると思うか?」


「ごめん、思えない。」


三蔵の言葉に肯定する


「観世って・・・誰?」


あまり話が飲み込めていないに聞いた。


「んっと・・・私の上司みたいな人かな?」


「へ〜〜・・・」


何処の世界も上下関係はあるのかと納得する。(ぇ
そんな中、尚もギャーギャーと騒ぐ三人。


「・・・・・・」


眉間に皺を寄せると三蔵。


「また、怒りますね。」


「あの二人、何気に強いよね。」


傍観しながらホノボノと話すと八戒。


「「煩いって言ってるだろう!!
何べんも言わすな!!!」」


三蔵のハリセンとのか風の錬成が同時に行われた。


「「「ぎゃーーー!!!」」」


三人の悲鳴が重なった。
屍と化す三人。


「ただいま・・・お前達、何をやっているんだ?」


ロイ帰宅。
帰宅そうそう、屍となった三人を見つける。


「ん?煩いから黙らせた。な。」


「あぁ。」


三蔵と、最強コンビ結成。


「まぁ、いい。
、私の食事は?」


「台所にあるから勝手に食って。」


「・・・ι」


ロイはとぼとぼと台所に足を向けた。


「観世来るかなぁ・・・」


がそう呟くと同時に、家の中に光が放たれた。


「・・・やっと来たみたいだね。」


「あ?風深が土下座してまで頼んだからな。」


現れた観世を見て、ロイは食べていた物を吹きだした。


「うわ!!兄貴、キタネー。」


「仕様がないだろ!!
あんな人を見たら誰だって・・・!!」


「まぁ・・・確かにね・・・」


は観世を見ながらしみじみと呟いた。


「この人が一応私の上司。」


「あぁ、さっき言ってた観世音菩薩な。」


の言葉には頷いた。


「で、率直に言うけど・・・
観世、私達を元の世界に戻せ。」


「いやだ。」


「何で?」


キッパリと否定した観世。
の眉間に皺が寄った。


「俺様が楽しいからだ。
ま、一週間くらいで元の世界に戻してやる。
それまで楽しめ。」


そう言い残すと観世は消えた。


「・・・ぜってぇ殺す。」


、落ち着いてください。」


「あの姉ちゃんも俺様だからなぁ・・・」


今まで屍となっていた悟浄が起き上がった。


「ごめんね・・・暫くはお世話になるみたい・・・」


「別に良いって。
煩くなければ。」


悟浄、悟空、エドを横目で見ながらは言った。


「俺は煩くしてないぞ!!
こいつ等が突っかかってくるんだ!!」


「は?何言ってるんだ?おちびさん?」


「誰が・・・!!!」


「「黙れといっているだろう!!!」


エドが言いかけた時、と三蔵は叫んだ。
両者の手には銃が握られている。


「「だ〜〜!!待て!!落ち着け!!」」


夜の街中の二人の悲鳴が響いた。


「では、暫くお願いしますね。ロイさん。」


「私の方こそ。
のあそこまで楽しげな顔を見るのは久しぶりだしな。」


何時の間にか打ち解けている八戒とロイ。
ある意味黒コンビ。


・・・俺、腹減った・・・」


「さっき食べたばっかりでしょう・・・?」


と悟空は相変わらずな会話。


!!落ち着けって!!」


「三蔵も銃下ろせよ!!」


と三蔵に怯える悟浄とエド。


「三蔵・・・お前とは本当気が合いそうだな。」


「あぁ、そうだな。」


銃を向け笑いながら会話をすると三蔵。


「「誰かこの二人を止めろ!!」」


「無理言わないで下さいよ。」


「私にはを止める術はない。」


尚も傍観する八戒とロイ。
そんな楽しい(?)一週間の始まり始まり。




NEXT。