此処は、西へ向う途中の森の中。三蔵一行は此処で今日も野宿。
「八戒、何時になったら次の街に着くんだ?」
悟空はジープの背もたれに凭れながら八戒に聞いた。
「明日には着きますよ・・・・多分・・・」
「お前ぇ・・・昨日も同じ事言ってなかった?」
悟浄は運転席と助手席の隙間から顔を出し、言った。
「そうですか?悟浄?」
そう、三蔵一行は此処三日、森の中を彷徨い続けていたのだ。
「俺、腹一杯食いたい・・・・」
「そればっかりだな、脳味噌胃袋猿は・・・・」
「猿言うな!この、赤ゴキブリエロ河童!」
何時も通りの喧嘩。毎日毎日飽きないものだ。
「!!」
急におとなしくなった悟空。
「どうした?馬鹿猿。」
「血の匂いがする・・・」
その言葉に一同は緊張が走った。
「どっちだ?」
「んーと・・・こっち!」
悟空は匂いのする方を指差した。その方向に八戒はハンドルを切った。
第一章『出逢い』
「何だよ・・・・これ・・・・」
三蔵達の目の前に広がる妖怪の屍。しかも半端な数じゃない。
「三蔵、何だと思います?」
「知るか。・・・・!」
三蔵は何かの気配に気付き、銃を握った。
「何か来ますよ・・・・」
「美人のお姉さんがいいかな?」
「面倒臭ぇ・・・・」
「俺、腹減ってんのに!」
思い思いの言葉を口にした4人。突然、周りから泣き声が聞こえた。
「女・・・だよな・・・この声・・・」
悟浄の呟きは、周りの三人には聞こえないような声で呟いた。
『誰か・・・』
今にも消えそうな女の泣き声。
「何処に居る!出て来い!」
その女の声を消すように三蔵は叫んだ。
「江・・・流・・・?」
三蔵達の前に現れた少女は、そう呟くと倒れてしまった。
「三蔵、どうしますか?」
この旅の責任者は三蔵だ。三蔵の了承がないと少女は連れて行けない。だが、このままほって行くのも八戒は納得しないだろう。
「勝手にしろ・・・」
三蔵はそれだけ言うと、ジープに戻った。
(何故あの女は俺の昔の名を・・・以前会った事があるのか?)
取り敢えず、三蔵達は少女を次の街まで連れて行く事にした。
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