「あ、おはようございます。」
此処は、森を抜けたところに有る宿屋の部屋。と八戒から説明を受けた少女。
「貴方は?」
警戒心を剥き出しにした少女の問に、八戒は苦笑しながら答えた。
「名前ですか?八戒と言います。」
「八戒さん・・・何故私を?」
少女は八戒に尋ねた。
「何故私を助けたんですか?」
「実際には、僕ではありません。」
「え・・・?」
少女の顔は疑問の色に染まった。
「三蔵ですよ。貴女は、三蔵の事を知っているみたいですし。」
「えぇ・・・確かに私は玄奘三蔵法師を知っています。でも・・・」
「でも?」
途中から何も言わなくなった少女を心配する八戒。
「言いたくなかったら良いですよ。話したくなったら・・・」
――バタン!
乱暴な音を立てて開け放たれたドア。
「三蔵。ドアはもう少し優しく・・・」
八戒の忠告を無視し、三蔵は少女の方に向った。
「おい!貴様!」
怒鳴り声にも似た三蔵の声。少女は臆する事も無く三蔵の方を向いた。
「私・・・ですか?」
「お前以外に誰が居る?」
睨み付けるように見下ろす三蔵。少女も負けじっと三蔵を睨む。
「お前、何故俺の昔の名を知っている?」
三蔵は疑問に思っていた事を率直に聞いた。
「『江流』・・・ですか・・・あんまり変わってないね。」
少女の口調が少しだけ変わった。
「お前は誰だ?」
「私の事忘れたんだね・・・・それもそうだね・・・13年も前だしね・・・」
少女は少し残念そうな顔をし、俯いた。
「ところで、貴女のお名前は・・・」
突然、八戒が会話に割り込んできた。三蔵はその間を利用し、懐から一本煙草を取り出し火を付けた。
「あ、ゴメンね。自己紹介がまだだったね。私は。年齢は18。」
「・・・!」
三蔵は持っていた煙草を床に落としてしまった。
「思い出した?」
微笑し、三蔵の方を向く少女。
「本当にお前なのか?」
「えぇ。そうよ。」
「でも・・・何故お前が・・・此処に?」
三蔵の頭が混乱した。此処には居ない人物が目の前に居るのだから。
「観世音菩薩に頼まれたの。『三蔵一行と西へ向え』って。」
「えっと・・・悟浄達も呼んで来た方がよさそうですね。」
「勝手にしろ。」
八戒は悟浄達を呼びに行くため、部屋を出た。
「っで、俺達はチャンを連れて旅をしろ。って事?」
の話が終ると、悟浄は口を開いた。
「うん。宜しくねwえーっと・・・」
「あぁ、俺は沙悟浄、悟浄って呼んでくれ。」
「俺は孫悟空って言うんだ!悟空って呼んでな!」
悟浄の自己紹介に間髪入れずに悟空が言った。
「うん。悟浄に悟空に八戒。覚えた!」
とても明るい表情で答える。八戒は真面目な顔をしてに話し掛けた。
「僕、疑問に思ったことがあるんですが・・・・」
「何?」
彼女は笑顔のまま、八戒の方を向いた。
「あの妖怪は貴女が倒したんですか?」
「妖怪?あ、あれね・・・・」
の顔は少し怒りを含まれていた。
「確かに私が殺した・・・だから何?」
「いえ。これと言って意味は無いです。」
八戒としては疑問に思っていた事が一つ解決してスッキリしたような表情を見せている。
「ってスゲー強いんだな!」
悟空は楽しそうにに話し掛けた。
「さんはどんな武器を使っているんですか?」
「うーんと・・・体術とか、剣とか銃かな?貴方達は?」
「俺は如意棒。」
悟空は実際に如意棒を出した。
「出すな!馬鹿猿!」
「うっせーよ!に見せただけだろ!」
言い争いが続く中、八戒はに話し掛けた。
「僕は気功術を使います。」
「気功術?あれって難しくない?」
「いえ。コツさえ掴めが簡単ですよw」
ほのぼのと話している八戒と。
「あのさ・・・八戒・・・あれ、止めなくていいの?」
「大丈夫ですよwほら。」
八戒は三蔵を指差した。そこには首に青筋を立てている三蔵が居た。
「煩ぇ!静かにしやがれ!」
スパーンと部屋にいい音が響いた。
「いって〜〜〜〜!何すんだよ!三蔵!」
「この!鬼畜生臭坊主!」
「死にてぇか?!手前ぇ等!」
呆気に取られる。
「賑やかだね・・・」
「何時もこんな感じですよw」
「何時も?!」
「はいw」
はこの時初めて、違う意味でこの旅の大変さを知った。
「!」
「はい!」
急に三蔵に話し掛けられた。ビクっと肩をすくめる。
「お前に話がある。」
「私に?」
「あぁ・・・」
「な〜に?三蔵様、チャンに一目惚れ?」
三蔵の肩に片腕を乗せて話す悟浄。
「死にたいか?」
ガチャリ・・・と三蔵の愛用の銃が悟浄の眉間に当たった。
「いえ・・・遠慮します・・・」
両手を上に上げ、降参のポーズ。
「ふん・・・」
悟浄のその姿を確認すると、三蔵は愛用の銃を懐にしまった。
「では、僕達は自分の部屋に戻りますね。」
八戒がそう言いだした所で、お開きとなった。
部屋に残された三蔵と。
「おい。背中のあれはどうした?」
「あぁ・・・これね・・・」
そう言うと、の背中から羽根らしき物が出てきた。
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