「そういう訳なので、この町に二日三日滞在しても良いですか?」
「あぁ。
徒歩で行くったってタカがしれてんだ。この際仕方ねぇだろ。」
「あぁ、よかった。」
三蔵の了承を得て、八戒は安心した。
「それでは早速。」
そう言ってポケットから一枚の紙切れを出した。
「悟浄、お願いしますvV」
出した紙切れを悟浄に渡す。
「・・・何コレ?」
貰った紙切れを見つめる悟浄。
「買出しのメモに決まってるじゃないですか。
僕はジープについてなきゃならないんで。」
にこやかに八戒は言った。
「おい、猿。一緒に・・・」
「あ、悟空連れてっちゃ駄目ですよ。
二人してすぐ余計な物買ってきちゃうんですから。」
悟浄の言葉を遮るように八戒は言った。
ジーと座っている三蔵を見つめる悟浄。
悟浄の視線に気付いたのか、三蔵はゴールドカードを出した。
「マルボロ赤。・・・ソフトでな。」
「・・・このクソ坊主・・・」
額に青筋を立てながら悪態をつく悟浄。
「悟浄・・・そんなに怒らないの。
私も着いていくからさ。」
そう言って、悟浄の背中を押した。
「んじゃ、八戒行って来るね〜〜〜。」
「ちょ・・・っ!!。押すなって!」
その後、静かに扉が閉まった。
「・・・たくよー。
何で俺がこんな事しなきゃなんねぇんだ!?」
「悟浄・・・落ち着いて。」
「だけどよ〜〜。
俺は雑用係じゃねぇっての。」
今だに額に青筋を立てる悟浄。
「ん?」
は何かに気付いたのか、裏路地の方を見た。
「どうした?。」
「誰か、絡まれてるみたい。」
二人の耳に、男の話し声が聞こえてきた。
「ぶつかった所為で俺の靴が汚れたつってんだよ!!
弁償しろってゆってんだよ!!」
「あ、あそこだ。」
そう言っては指を指した。
「へぇぇぇぇ。」
「悟浄・・・?」
スタスタと先に歩いていく悟浄。
「そんなこギレイな服きてんだ。サツの一枚や二枚持って・・・」
男の言葉は此処で切れた。
そう、悟浄が後ろから頭を蹴ったのだ。
「何処行ってもこーゆーバカが居るんだよな。
みっともないっしょ。お兄ちゃん達―?」
「悟浄。先に行かないでよ・・・」
悟浄の背中越しに見えたのはまだ幼い子供。
「僕?大丈夫だった?」
は悟浄を押しのけ、男の子に近付いた。
「おい!!何だ手前ぇ!!ぶっ殺すぞ!!」
「へぇ・・・
『俺は今、ソーゼツに機嫌が悪い。』
・・・先に言っとくかんな。」
「悟浄・・・ι」
は子供を巻き込まないように抱きかかえ、端に寄った。
それと同時に、ボコボコにされる男達。
「ほらよ。」
悟浄は買ってきたジュースを子供に渡した。
「ありがとう。」
「も。」
「ありがとう。」
もジュースを受け取って、木箱の上に腰を下ろした。
「飲んだらさっさと行けよ。
そんないいナリしってっとまたあーゆー輩にからまれるぞ。」
悟浄は子供の横に腰を下ろした。
「それともママとはぐれたってか?」
「ううん。父さんも母さんももう死んじゃったから。」
「君・・・一人なの?」
「弟が居るよ。双子の。仲良しなんだ。」
そう言って笑う子供の頭を悟浄は撫でた。
「そりゃ良かったな。」
屈託のない笑みを浮べる子供。
「それより、お兄ちゃん凄い強いんだね!!
一瞬で三人倒しちゃって。」
「あ・・・まぁ、一応な。
ま、一番強いのこの姉ちゃんなんだぞ?」
悟浄はを指指しながら言った。
「そりゃねぇ。サシでやったら誰にも負けないわよ?」
腕を組みながら胸を張る。
「・・・俺と旅してる奴等と比べりゃ大した事ねーけどな。」
「お兄ちゃんの友達?」
「ダチとかそんなんじゃねぇよ。
脳味噌胃袋な馬鹿猿と、エラッソーな生臭坊主と、口うるさいお袋みてぇな男。
それに、美人なのに激強いお姉さん。」
「最後って・・・私の事だよね?悟浄。」
「あ、解かった?」
笑いながら悟浄は言った。
「悟浄・・・切り刻むよ?」
「冗談だって。
ま、あいつ等と行動するようになってから女にはモテねぇは使いっパにされるわでよ。」
「トモダチじゃないの?
何でそんな嫌な人達と一緒に居るの?」
「何でっつったってなぁ・・・」
悟浄は子供の言葉の返答に困った。
「お兄ちゃん、その人達キライ?」
「あ?」
それから悟浄とは子供に色々聞かれた。
「うーわ。余計な事してたら日ぃ暮れちまったじゃねぇかよ・・・たく・・・」
「でも・・・妙な子供だったね・・・
私達の事・・・色々聞いてきて・・・」
「だな。」
そう言いながら悟浄は部屋のドアを開いた。
「おー、取り合えず、一通り買って来た・・・」
目の前に広がった光景に、悟浄は持っていた荷物を落とした。
「何・・・コレ・・・?」
も同じように驚きを表した。
目の前に広がった光景・・・
それは、荒れた部屋。倒れている三蔵、悟空、八戒の姿。
「一体・・・何が・・・?」
「三蔵!!悟空!!八戒!!」
は叫びながら三人に近付いた。
「ちょっと・・・!!目覚ましてよ!!三蔵!!悟空!!八戒!!」
「おい・・・どーなってんだよコレ・・・
冗談だろ!!」
「アナタが望んだんだよ・・・
お兄ちゃん。」
声が聞こえ振り返ると、そこには昼間の子供が居た。
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