「昨日は散々だった・・・ι」


 洗濯物を干しながらは少し苦笑した。
「っと・・・もうこんな時間か・・・」


 腕時計を見ると12時近くになっていた。


「昼飯は桜乃ちゃんに任せたから、俺は買出しにでも行って来るか・・・」


 合宿所の冷蔵庫はもう既に空っぽだった。


「彼奴等の食欲を考えたら・・・今日は大量に買い込まなきゃな・・・」


 部費と自分の財布を鞄の中にあるのを確認すると、は買出しに向った。


GAME10 夏合宿?(二日目)


「・・・重いι誰か連れてくればよかった・・・ι」


 両手一杯の荷物を抱えながらは合宿所に向う道のりを辿った。


「・・・・ん?」


 テニスボールのバウンドする音を聞き、目線をずらした。


「あれは・・・確か氷帝の・・・鳳と宍戸と・・・忍足と・・・向日・・・だっけ?
やっぱ氷帝はスゲーな・・・」


 そんな事を思いながらボーっと試合をみていると、ボールがこっちに飛んできた。


「のわ!!」


 飛んできたボールに驚き、は手に持っていた荷物を落とした。


「すみません!!」


「サーブで何でこっちに飛んで来る訳?」


 謝っていた人・・・鳳を見ながらは呟いた。


「たまに軌道がずれちゃうんですよ・・・」


「フェンスが無かったら、気絶してるやろ・・・」


 ラケットと担ぐように忍足が来た。


「怪我しなくてよかったな。」


「あ・・・まぁな・・・」


 向日に言われ、は頷きながら足元を見た。


「えっと・・・氷帝の奴等だよな?
お前等の所も合宿なのか?」


「いや、俺達は個人で。
って、何で俺等が氷帝だってわかったんだ?」


「いや、俺こう見えて青学のマネージャーだから。
一応は顔と名前、覚えてるよ。」


 少し笑いながらは言った。


「へぇ。さすがマネージャーさん。
どや、一緒に打たへんか?」


「ん〜〜・・・ダブルスは嫌だぜ?」


「ほな、誰が良いか指名してな。」


「んじゃぁな・・・」


 顎に手を当て悩んでいると、向日が一言言った。


「こんなガキっぽい奴に負ける気しないな。」


「・・・・・・・・・・・」


 向日の言葉で少し怒りを感じた


「向日で。
何か、今の発言むかついた。」


「別に良いぜ。俺、負ける気しねぇし。」


「へぇぇぇぇ。その天狗になってる鼻、圧し折ってやるよ。」


 互いの間に火花が散った。


「で、誰かラケット貸してくんねぇ?
俺買い物の途中だから持ってきてねぇんだ。」


「ほな、俺の使うか?」


「ん。Thank You。」


 そう言って、荷物を持ち、コートの中に入っていった。


「ワンセットで良いよな?」


「勿論!!」


 向日の言葉を聞き、は近くにあったボールを投げた。


「サーブはやるよ。」


「へぇ。良いのか?」


「別に。
さっさと来いよ。負かしてやる。」


 向日のサーブから始まったゲーム。


「んなボールじゃ俺には勝てねぇぜ!!」


「なめんなよ〜〜〜!!!」


 ゲームというより、罵声の飛ばしあいに発展していた。


「なぁ、宍戸、鳳。」


「何だ?忍足。」


「なんですか?」


「彼奴のプレー・・・何かおかしくないか?」


 のプレーを見ながら忍足は呟いた。


「そうか?まぁ、そこらへんの奴よりかは強いと思うけど・・・」


「そこや無い。何か違和感があるんや・・・
しかもあの余裕な表情・・・」


「確かに・・・本気だしてませんね。あれは。」


「・・・・・」


 忍足は物知れぬ違和感を感じ、のプレーを必死に観察した。


「Game Set・・・ってな☆」


「ちきしょ〜〜〜!!クソクソ!!ムカツク!!」


「俺に勝とうなんて10年早ぇんだよ。あ、もっとか。」


「クソクソ!!」


 見事にの勝ち。


「んな強いのに、何でマネージャーなんですか?」


「ん?俺こう見えて女だから。」


「「「「・・・・え?」」」」


 の思わぬ発言に固まる四人。


「俺・・・女に負けたのか・・・?」


「女・・・だったんだ・・・」


「違和感はそこやったんだ・・・」


「・・・男だと思ってました・・・」


 上から向日、宍戸、忍足、鳳の順番で言葉が発せられた。


「あ〜〜。面白かった〜〜。」


「つか、どうみても俺等より年下だよな?」


「ガキっぽいしな。」


 向日の言葉に、はキレた。


「ガキガキ言うな!!俺はこう見えてもじゅうな・・・ムグ!!」


、落ち着け。」


 口を塞がれた為、の言葉は途中で終った。


「あ、リョーマ。」


「たく・・・こんな所で何してんだよ・・・
晩飯の支度はどうしたんだよ?」


「・・・あ!!」


 ようやく思い出したのか、は荷物を持ち駆け足でその場を去った。


「リョーマも早く来いよ〜〜〜!!」


「たく・・・」


 リョーマもの後を追おうと、踵を返した。


「越前・・・やったか?」


「何?」


「彼奴・・・ほんまに中学生か?」


「一応は中3だけど。ま、ガキっぽいけどね。」


 じゃ、と言い残しリョーマもその場を去った。


「どうみても、中学生以上のプレーやと思ったんやけどな・・・」


「そうですか?あれぐらいのプレーヤーなら・・・」


「いや・・・俺や跡部すら・・・敵わなへんかもしれん、つー事や。」


「・・・・・・・」


「相当な腕前やで・・・ちょっと探りいれた方がええかもな。」


 少し深刻な表情を浮べる忍足だった。


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