執務室で旅の間に溜め込んでいた仕事をせっせと片付ける


――リリリリリ・・・


電話が鳴り、ロイがそれをとった。


「あぁ、解かった。」


「どうしました?大佐?」


仕事中は上官と部下。それを守るようには口を開いた。


「ショウ・タッカーが殺された。現場に行くぞ。少佐。」


「はい。」


は、背もたれにかけていた上着を取り、ロイの後についていった。


第一章『事件』


ついた先は、ショウ・タッカーの家。中にはビニールシートが被さった遺体と、中央から来たヒューズ中佐、アームストロング少佐が居た。


「ヒューズ中佐、アームストロング少佐、お久しぶりです。」


は彼らの前に立ち、お辞儀をした。


「いおい・・・マスタング大佐さんよぉ・・・俺ぁ、生きてるタッカー氏を引き取りに来たんだが・・・およ・・・」


ヒューズは言いながらタッカーの遺体の傍にしゃがみこんだ。


「死体を連れて帰って裁判にかけろってか?」


悪態を付くようにヒューズは言った。


「こっちの落ち度は解かっているよ。兎に角見てくれヒューズ中佐。」


頭痛がしたのか、頭を押さえながらロイは言った。


「ふん・・・自分の娘を実験に使うような奴だ。天罰がくだったんだろうよ。」


そう言いながらヒューズはシートをめくり上げた。


「うええ・・・案の定だ・・・」


も横から覗き込もうとした。


「あ、お前は見ないほうがいいぞ。。」


「あ・・・はい・・・」


少しだけ見えた、紅い血。


「マスタング大佐・・・」


「ん?なんだね?」


「少し気分が悪くなったので・・・外の空気を吸ってきます・・・」


死体を少し見ただけで気分が悪くなったは外に出ることにした。


「あ、。護衛をつけてけ。」


表に出ようとするをヒューズが止めた。


「大丈夫ですよ。中佐。」


「いや・・・今回も"奴"の仕業かもしれねぇ・・・」


「"奴"?」


聞き慣れない言葉には首を傾げた。


「あぁ、国家錬金術師ばかり狙う"傷の男(スカー)"だ・・・」


「国家錬金術師・・・」


は何を思ったのか、全力で部屋を出て行った。


「おい!!!!」


後ろからかけてくる声などお構い無しに。



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