皆で喫茶店で話し、夕方ヒューズ家に戻る四人。


「美味しかったな。エリシア。また行こうな。」


「うん。」


少し前を歩くとエリシア。その後ろをヒューズとイズミはついていった。


「さっきからどうしたんですか?難しい顔なんてして?」


が錬成した時から様子がおかしいイズミにヒューズは話し掛けた。


「いや・・・何でもありません。」


第七章『出発』


そう言いながらもイズミの顔は難しい表情のままだった。


「ただいま、グレイシアさん!!」


「お帰りなさい。皆一緒だったのね。」


飲み物を入れようとグレイシアは立ち上がった。


「あ、パパ。少し電話借りるね。エドとお兄ちゃんに連絡入れないと・・・」


「あぁ。良いぞ。沢山話せ。」


「長電話はしないからι」


そう言いながら、電話の近くに歩み寄った。
先に兄に電話を掛けようと、東方司令部の番号を押した。


『はい、東方司令部受付です。』


・マスタングだ。マスタング大佐はまだいるか?」


『はい。まだ帰られて無いようですが・・・』


「では、繋いでくれ。」


『わかりました。』


暫しの保留音の後、電話越しに聞こえた兄の声。


「あ、お兄ちゃん。」


か。どうした?』


「整備終ったからその報告。」


『随分早かったな。まぁいい。明日にはこっちに戻れるのか?』


「何で?」


東方には戻らず、エドのところに直接行こうとしていたの眉が少しだけ上がった。


『そっしで何かやらかしたみたいだな。』


「う・・・ι」


『その報告と・・・いい知らせがあるんでな』


「いい知らせ?」


『ま、着いてからのお楽しみだ。明日の朝一で戻って来い。』


「マジで・・・ι解かったよ・・・」


そう言うとは受話器を下ろした。そしてまた受話器を取り、エドから貰った紙に書いてある整備しに電話を掛けた。短いコール音の後、一人の女性が電話を取った。


『はい、技師装具のロックベルでございます。』


「あ、すみません。そちらにエルリック兄弟はいらっしゃいますか?」


少し控えめには言った。


『いえ・・・来てませんけど・・・?どちら様ですか?』


「あ、私は東方司令部の・マスタングと言うものです。」


『マスタング・・・?もしかして3年前に家に来た・・・』


「あ、それは私の兄です。」


『そうなんですか?それで、エルリック兄弟に何か用ですか?』


電話の女性の声色が少し変わった。


「いえ・・・大した用じゃ無いので伝言をお願いできますか?もうそろそろそちらに伺う筈なので・・・」


『いいですよ。』


「ありがとうございます。こちらの整備は終って、東方に少し寄らなきゃいけなくなった。そちらと合流するのは三日くらい掛かるっと伝えて置いてくれますか?」


『解かりました。ちゃんと伝えておきますね。』


「ありがとうございます。それではこれで失礼します。」


そう言うとは静かに受話器を下ろした。


、どうした?そんな顔して。」


俯き顔でソファーに腰をかけるにヒューズは聞いた。


「いや・・・兄貴に呼び出された・・・」


「それじゃまた東方に戻るのか?」


「まぁね・・・朝一で帰って来い。だってさ・・・」


言い終わるとグレイシアが入れた紅茶を啜った。


「大変だな・・・お前も・・・」


「早くエドと合流したいのに・・・エドもまだ着いてないみたいだし・・・」


「ま、そんな気落ちするな。」


「ん・・・」


尚も落ち込み顔で紅茶を啜る


「そんな落ち込むなって・・・んで、何時出発するんだ?」


「今日の最終に乗る。だから・・・10時位かな?」


「お姉ちゃん、もう帰っちゃうの?」


ジュースを飲んでいたエリシアがのほうを向いた。


「今日は居るから。」


「晩飯もしっかり食べていけよ。」


「勿論。」


。」


今まで話を聞いていたイズミが口を開いた。


「何ですか?師匠?」


「久しぶりに組み手をするぞ。」


「マジですか・・・ι」


「早くしろ。先に表に出ている。」


さっさと表に向ってしまうイズミを追うようにも表に出た。


「師匠・・・体調大丈夫なんですか?」


「今日はいい方だ。いくぞ。」


「はい。お願いします。」


イズミとの組み手が始まった。防戦一方に見えたも段々と責め始めた。


「腕を上げたな。。」


「毎日エルリック兄弟と兄貴と組み手やってますので。それなりには。」


話しながらでも何処か余裕の無い


「せい!!!」


右拳で攻撃を仕掛けただが、逆につかまれ投げ飛ばされてしまった。


「痛って〜〜〜・・・」


「まだまだだな。」


「やっぱり師匠には勝てませんよ・・・」


仰向けに寝転んでしまった身体を上半身だけ起こした。


「これから先も軍の狗を続けるつもりか?」


「・・・はい。お兄ちゃんが上に行くため、俺は精一杯のサポートをしていきます。」


「前と変わらないな。お前は。」


の傍にしゃがみ、彼女の頭を撫でた。


「師匠?」


「もう遅い。グレイシアさんと食事の用意を手伝うぞ。」


「はい!」


立ち上がり、服についた草を払い、家の中に入っていった。
食後、エリシアを寝かせる為に部屋に居た。エリシアが寝たのを確認すると、はリビングに向った。


「エリシアやっと寝てくれた・・・」


「お疲れ。って、もう行くのか?」


降りて来たと思ったら直ぐに出かける準備をする


「まぁね・・・兄貴の事だから食事もろくにしないで軍服のまま寝てそうだし・・・今晩中には向おうと思ってね。」


荷物を手に持ち、玄関へ向った。


「じゃ、パパ・・・ママ・・・また来るからその時は宜しく。」


「気を付けて行って来いよ?」


「師匠も、お体には気を付けてくださいね。」


「あぁ。解かっている。」


「じゃ、行ってきます。」


そう言い残すと、は全力で駅に走って行った。


「嵐のような奴になったな。」


「何時ものことですよ。ちゃんは。」


そんな会話を残し、ヒューズ達も家の中に入っていった。




セントラルから2時間。イーストシティの駅に着いた


「さてと・・・東方に顔出すか・・・」


時計は10時を回ろうとしているが、取り合えずは東方司令部に向った。


「あ、マスタング少佐。」


「今帰った。大佐はまだいるか?」


「はい。まだ執務室の方に・・・」


「ありがとう。」


そのままの足取りで、はロイの元に向った。


「失礼します。」


か?明日で言いといっただろう・・・」


「こっちも急ぎの用がありますので。で、用件はなんでしょうか?」


「あぁ・・・中央の事件を聞いてね。君の昇格が決まった。」


机に置いてあった資料をに手渡すロイ。


「おめでとう。これで君は中佐になった。」


「ありがとうございます。」


ロイに一礼をした。


「それで、今日はどうするのだ?」


「決まってるじゃん。家に帰るよ。」


いきなり溜口になった


「まだ私はプライベートではないのだが・・・」


「俺はプライベート。用事済んだし、敬語使わなくて良いだろう?」


「ま、いいか・・・さ、帰るとするか・・・」


ロイはコートを羽織り、執務室を出て行った。その後に続くようにも後を追った。


「んで、飯は?」


「あぁ・・・何か作ってくれるのか?」


「軽いものでいい?俺、パパの所で食べてきたから。」


「あぁ。」


そんな会話を交わしながら家路を辿った。




夕食後、はロックベルへ電話を掛けた。


『はい、技師装具のロックベルでございます。』


昼間と違う女性が出た。


「夜分遅くにすみません。私は・マスタングと言うものですか、エドワード・エルリック氏はそちらにいらっしゃいますか?」


『はい。少々お待ちいただけますか?』


「はい。」


暫く電話の向こうの会話を聞く。エドが豆と言われ叫んでいるのが電話越しでもはっきりと聞こえた。


か?』


「あ、エド。そっちの整備はどうなった?」


『あぁ・・・三日掛かるってさ・・・の方は終ったんだってな。ウィンリィに聞いた。』


「さっさと終って今、東方に居る。中佐に昇格だってさ。」


『そうか。おめでとう。。』


エドの声を聞き、少し顔を赤らめる


「そう言えば・・・あのメモの最後・・・なんだよあれ・・・」


『お、ちゃんとよんだか。』


「当たり前だろう・・・しかも何気に暗号化されてて解くのに数分掛かった。」


『ちゃんと読めただろう?』


「読みました。全く・・・何でメモに書くんだよ・・・あんなこと・・・」


思い出しただけで赤面してしまう


『じゃ、今言ってやろうか?』


「ヤメロ。寝付けなくなる。」


『腐腐腐・・・』


「怖いって・・・ι」


エドの不適な笑みに少し身体が強張る。


「・・・明日にはこっちを発つ。昼までにはそっちにつけると思う。」


『あぁ。解かった。少佐と一緒に迎えに行くからな。』


「うん。じゃ、また明日な。エド。」


『・・・・・』


急に無言になるエド。


「エド?」


『愛してるからな♪おやすみ♪』


「馬鹿豆!!!」


勢いよく電話を切る


、電話はもう少し静かに切りなさい。」


「・・・おやすみ・・・・」


そのまま自室に上り、ベットに身を投げ出した。


「馬鹿豆・・・///」


そう言いつつ、段々と睡魔に襲われたは目を閉じ、夢の世界へ入っていった。



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