第九章『焔と風と師匠と・・・』


セントラルについたマスタング兄弟。そのまま直行でヒューズの家へ向った。


「・・・来ちゃったよ・・・しかも軍服で・・・」


「どうした?。入るぞ。」


門の前に佇むを余所に、ロイは先に家の中へと入っていった。


ちゃん、こんにちは。」


「こんにちは・・・師匠はまだ居るんですか?」


「居てはいけないのか?。」


グレイシアの後ろから姿を現したのはイズミだった。


「いえ!!滅相もございません!!」


イズミを見るなり、土下座をする


、何をしている。早く入りなさい。」


「はい・・・」


ロイに言われ、やっと家の中に入る


「あれ?パパは?」


部屋を見渡したが、ヒューズの姿が見えず、グレイシアに聞いた。


「仕事ですよ。」


「そっか・・・後で寄ってみよう。」


そう言うとソファーに腰を掛けた。


「どうも、始めまして。兄のロイ・マスタングです。」


「イズミだ。こちらこそよろしく。」


互いに握手を交わす二人。


から話は聞いております。妹がお世話になって・・・」


「いえ。こちらこそ不肖の弟子が何時も世話になって・・・」


なんだか長話が始まりそうなので、は隙を見つけて家の外に出ようとした。


・・・」


出て行こうとしたとき、イズミに止められた。


「何でしょうか?師匠?」


「何処へ行くつもりだ?」


「いえ・・・ちょっと散歩に・・・」


「逃げんなw組み手するぞw」


笑顔で言われ、逃げられなくなった


「・・・はい」


そう返事するのがやっとだった。


「お兄さんもやりますか?組み手。」


「では、お手合わせお願いします。」


そんなこんなで始まったイズミとの組み手。結果はマスタング兄弟の敗北。


「こんなんが大佐なのか?」


イズミにズタボロに去れたロイ。


「兄貴・・・大丈夫?」


「これくらい・・・平気だ・・・」


そう言いながらロイは少しふらつきながら立ち上がった。


「本当にお強いですね。是非軍に入れたいくらいですよ。」


「軍に入るつもりはない。」


イズミとロイの後ろに黒い渦を見たはそこから立ち去ろうとした。


♪中央へ顔を出しなさい♪」


笑顔で言うロイ。その顔には恐怖を覚えた。


「は、はい!!!」


何時もの癖か、はロイに敬礼をし、その場を去った。


「では、イズミさん。もう一度手合わせお願いできませんか?」


「勿論、良いですよ?」


そんなこんなで恐怖の組み手がまた始まった。




一方軍へ足を運んだは何故か大総統にあっていた。


「えっと・・・閣下・・・私に何か御用で・・・?」


額に汗をかきながらは言った。


「18で中佐の地位になった君と話をしたくてね。」


「そんな・・・私なんてまだまだですよ・・・」


照れながら言うに満面の微笑で大総統は紅茶を差し出した。


「さ、飲みなさい。君の好きなレモンティーだぞ?」


「何故、私の好きな物が・・・?」


「ヒューズ中佐から聞いた。君の事に一番詳しいのは彼だからね。」


「はぁ・・・」


取り敢えずは差し出された紅茶を飲む事にした。


「美味しい・・・」


「それは良かった。」


「何処で買われたのですか?この紅茶。」


「中央で有名な喫茶店だ。君も行ってみるか?」


「はい、是非に。」


そこから数分、世間話をしたと大総統。


「と・・・忘れておった・・・」


「?何をですか?」


「これじゃ。」


目の前に出されたのは星の形をした物。


「私が直々に付けてあげようと思ってね。」


「これは、階級の・・・?」


「普通は君の上司であるマスタング君がつけるのだが・・・私がつけるのでは嫌かね?」


「いえ、滅相もございません。寧ろ勿体無いくらいで・・・」


ありがとうございます、とは大総統に向かい敬礼をした。


「君もこの国の為に頑張ってくれ。」


「勿論でございます。その為に私は軍を志願いたしましたから。」


微笑む大総統は不意に掛け時計を見た。


「もうこんな時間になってしまった・・・悪いがこの後軍会議が入っていてね・・・」


「いえ、お忙しい中私の為に本当にありがとうございます。」


は立ち上がり、深々とお辞儀をした。


君、くれぐれも無茶をしないように。わかったね。」


そう言いながら大総統はの頭を撫でた。


「はい。では、私はこれで失礼します。」


「また機会があったら紅茶でも飲みに行こう。」


「その時はまたお誘いください。」


満面の笑みで言葉を返し、は部屋を出て行った。そして部屋から離れた壁際に寄りかかった。


「き・・・緊張したぁ〜〜〜・・・ι」


ずるずると座り込むようにしゃがむ。


「あ・・・あの大総統閣下からお誘いを受けるなんて・・・」


今頃緊張の震えが全身に来た


「どうしたんだ?マスタング中佐♪」


「のわ!!!」


後ろから声を掛けられ、ビックリする


「ひゅ・・・ヒューズ中佐!!驚かさないで下さい!!」


「そこまで驚くとは思わなくてな・・・んで、どうだった?大総統とのお話は♪」


「楽しんでませんか・・・?」


少し睨むようにヒューズを見る。


「ま、そう怒るなって。それに、階級は一緒になった事だし、敬語もやめねぇか?」


「無理言わないで下さい・・・私から敬語を取ったらどうなるか貴方もお分かりでしょう?」


溜め息を吐くを楽しそうに見つめるヒューズ。


「別に良いだろう?たかが『仕事中の口調がロイに似てる』なんて。今更な話だぞ?」


「そりゃそうですけど・・・ι」


冷や汗をかくに対し、始終楽しいそうに笑うヒューズ。


「・・・中佐がそう言うのであれば・・・」


「そうそう。別に良いだろ?気にすんなって。」


そう言いながらの肩に腕を回した。


「ちゅ・・・中佐?」


「さ、今から軍法会議所に行くか?」


「何で?」


「仕事が溜まってるんだ。手伝え♪」


「私に拒否権はあるのか?」


「ない。」


きっぱり言い切ったヒューズに溜め息を吐く。


「早く終らせよう・・・マスタング大佐が待っているからな・・・」


「元気つけるためにこれを見せてやろうか?」


そう言ってポケットから写真を取り出した。


「そ・・・それは・・・」


「エリシアちゃんの最新写真vVどうだ?元気でたか?」


は写真を手に取り、わなわなと震えだした。


「え・・・エリシア〜〜〜vV昨日会ったばっかりなのに、すっげー可愛いvVも〜めちゃラヴvV」


周りにハートを飛ばしながらは写真を抱き締めた。


「だろだろ?さ、エリシアちゃんに会いたかったらさっさと仕事終わらせるぞ。」


「もち!!!」


何時の間にか口調はプライベートの物へと変貌。
数時間後、二人は山のような仕事を終え、帰宅した。




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