第十章『合流。』



ヒューズの山のような仕事を終わらせ、家へ帰宅するヒューズと


「ただいま〜・・・」


「疲れた・・・パパ仕事溜め過ぎだよ・・・」


「あ、パパ。お姉ちゃん。お帰りなさい。」


二人の前に来るのは、癒しの天使エリシア。(笑)ヒューズより先にエリシアを抱きかかえる


「エリシア〜〜〜会いたかったよぉ〜〜〜vV」


・・・何をしているんだ?」


家の奥から現れたのは、ロイだった。彼は呆れた顔でを見た。


「だってエリシア可愛いじゃん!!」


「・・・ι」


力説するにこれ以上ついて行けなくなったのか、ロイは荷物を持ち玄関へ向った。


「お兄ちゃん?」


「明日仕事が入っていてね、帰らなければならないんだ。」


「俺はどうすれば良い?一緒にイーストに帰る?」


「鋼のが明々後日にセントラルに来るのだろう?その間ヒューズのサポートでもしていろ。お前の荷物は誰かに持ってこさせる。」


「でも、東方にはスカーが居るかも知れねぇし・・・護衛として俺もついてったほうが・・・」


の問いにロイは笑顔で言った。


「私を見縊らないで貰いたい。今度会ったら全力で潰す。」


「だろうね。俺が心配する程でもなかったね。んじゃ、気を付けて帰れよ?兄貴。」


「あぁ。ヒューズ、を頼んだぞ。」


「解かってる。俺の可愛い娘だからな。」


ロイはヒューズの言葉に安心したような表情を浮べ、家を出て行った。


「んじゃ、食事にしますか。」


「ママの飯〜〜〜vV今日は何〜〜?」


ちゃんの好きなパスタよ。」


「わ〜いvV」


こうして、エドが来るまでの数日間をヒューズ家で過ごしたのだった。




数日後の軍法会議所・・・


「あの人は仕事をサボって何処に行ったんだ!!全く!!」


書類の山の前では叫んでいた。


「マスタング中佐、ヒューズ中佐からお電話です。」


「・・・繋いでくれ・・・」


vV頑張ってるか?』


「貴様は仕事をサボって何処に居るんだ!!今すぐ戻って来い!!」


『まぁまぁ、そんなに怒るなよvVいい知らせがあるんだからよ。』


「良い知らせ?」


は片方の眉を上げながらヒューズの言葉を聞いた。


『エドが中央に来るみたいだぞ。少佐の部下がお前の所まで向いに行くらしいから、用意しとけ。』


「・・・仕事はどうするのだ?」


『後は俺がやっとくから。さっさとエドの所に向え。』


「・・・・悪いな。」


『いいって。じゃぁな。』


電話を切ったと同時に、部屋をノックする音が聞こえた。


「誰だ?」


「マリア・ロスと言います。」


「あぁ、ヒューズ中佐の言っていたアームストロング少佐の部下か・・・」


「はい。お向かいに上がりました。マスタング中佐。」


「わかった。」


はコートを手に取り、ドアの方に歩きだした。


「でわ、行こうか?ロス少尉。」


「はい。」


部屋の外で待っていたブロッシュ軍曹とセントラルの駅へ向った。




「アームストロング少佐、お迎えに上がりました。」


ロスとブロッシュはアームストロングに敬礼をした。


「うむ、ごくろう。ロス少尉、ブロッシュ軍曹。」


「お、こちらが鋼の錬金術師殿でありますか?」


ブロッシュがそう言うと、ロスと共に鎧のほうへ向った。


「マリア・ロスです。お会いできて光栄です!」


「デニー・ブロッシュです。いやぁ二つ名通りの出で立ち!貫禄ですな!!」


アルは慣れたように、エドを指差した。


「え?」


「あっちのちっこいの?」


アームストロングもエドを指差す。


「こっ・・・これは失礼いたしました!!」


「ちっこいだなどど・・・いえ、その・・・」


怒るエドはアームストロングにより確保されていた。


「私を置いて、話を進めないで貰いたいな・・・」


この頃、やられキャラに昇格したちゃんやっと登場。(笑)


「あ、マスタング中佐。」


「申し訳ございません。」


ロスとブロッシュはに向け敬礼をした。


「アームストロング少佐、ご苦労であったな。」


「いえ、では我輩はこのまま中央司令部に報告に赴くゆえ・・・」


「え?何?此処でお別れ?お疲れさん。残念だったなぁ。バイバイ!!」


嬉しそうに言うエドを横目で見つめる。次の瞬間エドは、エームストロングに抱き締められ再起不能になった。


「少佐も全然変わってないな・・・」


はそんな言葉を呟いた。


「後は任せた!」


「はっ!」


「エド、久しぶりだな。」


再起不能になりかけたエドには近付いた。


・・・言葉使いが・・・」


「しょうがないだろう?仕事中なのだ。なに、大佐が女装したとでも思ってくれ。」


「無理だから・・・」


そんな言葉を呟きながら、エドはを抱き締めた。


「久しぶりのの匂いvV」


「エド・・・人前で抱きつくのはよさないか?」


「じゃ、もその言葉使いやめろvV」


「・・・解かったよぉ・・・」


「よし。」


が呟くとエドは彼女を解放した。


「んじゃ、早速図書館へ向いますか!」


「その話なんだけど・・・まぁ、車の中で話すよ。少尉、車の用意を。」


「はっ!」


車で移動をし、第一分館へ向った。




「んだよ・・・これ・・・」


「つい先日不審火によって中の蔵書ごと全焼してしまいました。」


ロスが申し訳無さそうにエド達に言った。


は・・・知ってたのか?」


「俺が知ったのはついさっきだ。同じく少尉から聞かされた。」


冷静には言った。


「取り合えず本館へ行ってみよう。」


落ち込んだエドの肩を叩き、本館へ向った。


「ティム・マルコーの賢者の石に関する研究資料・・・此処に無いって事はそんな資料は存在しないか、あっても先日の火災で焼失したって事でしょう。」


目録を見ていた受付の女性がそう言った途端、エドは脱力した。


「って・・・もしもし?」


「どうもお世話になりました・・・」


「ちょっと大丈夫?」


「大丈夫じゃないよ・・・」


魂が抜けたようにフラフラと図書館を後にしようとしたエドとアル。


「あ、シェスカなら知ってるかも。ほら、この前まで第一分館にいた・・・」


「あぁ!シェスカの住所なら調べればすぐわかるわ。あってみる?」


「誰?分館の蔵書に詳しい人?」


「詳しいって言うか・・・あれは文字通り『本の虫』ね。」


エド達は取り合えず図書館で教えられた女性に会おうと、渡されたメモの住所へ向った。




移動中の車の中・・・


・・・そういや、何で軍服なんだ?」


「パパの手伝いしてたから。着替えるのも面倒だし、この後また戻らなきゃいけないからこのままで来たんだけど・・・嫌だった?」


「いや・・・髪を下ろしたも可愛いなぁってな♪」


「エド!!」


「だって本当の事だろう?」


いちゃつく二人に付いて行けない三人がその状況をただ眺めていた。




「此処がシェスカさんの家・・・?」


ブロッシュがノックをしてみるが、中からの応答は無い。


「留守ですかね?」


「明かりがついてるから居ると思うけど。」


エドが窓の方を眺めながら言った。


「失礼します・・・」


ブロッシュは控えめに言いながらドアを開いた。皆の目の前に広がった風景は本の山。


「うわ!!何だこの本の山!!!」


「本当に人が住んでるんですか!ここ!?」


エドとブロッシュが叫び、取り合えず中に入ろうと結論が出た。(不法侵入ですよ?)


「シェスカさーん!いらっしゃいませんかー?」


「おーい!!」


「出てきてくれないか〜〜〜?」


軍人's三人は家の中を彷徨いながら叫んだ。


「とても人が住んでる環境には見えないけど・・・」


アルが呟いた瞬間、何処からか女性の声がした。


「兄さん!人っ!!人が埋まってる!!」


「掘れ掘れ!!!」


全員一斉に声のする所を掘った。


「ああああ、すみません、すみません!!うっかり本の山を崩してしまって・・・このまま死ぬかと思いました。ありがとうございます〜〜〜!!」


「どーいたしまして・・・・」


本を掘った後、崩れないように整理をし床に座った。


「貴女がシェスカさんですか?」


「はい。私がシェスカです。」


取り合えず本題へ入ろうとエドが口を開いた。


「ちょっと聞きたいんだけどさ、ティム・マルコー名義の研究所に心当たりあるかな?」


「ティム・マルコーですか?あぁ!はい、覚えてますよ。活版印刷ばかりの中で珍しく手書きで、しかもジャンル外の書架に乱暴に突っ込んであったのでよく覚えてます。」


「本当に分館にあったんだ・・・」


「って事は、丸焼けになっているな。」


がそう言うと、エドとアルは脱力したように床に突っ伏した。


「『振り出しに戻る』だ・・・」


「どうもお邪魔しました・・・」


「元気出せ。エド、アル。」


二人を元気付けようと、は二人の肩を叩いた。


「あ・・・あの、その研究所読みたかったんですか?」


「そうだけど、今となっては知る術も無しだ・・・」


家を出ようと、三人は玄関に向けて歩き出した。


「私、中身全部覚えてますけど・・・」


「「「は?」」」


シェスカの一言により、再び彼女の元へ戻った。


「いえ、だから・・・一度読んだ本の内容は全部おぼえてます。一字一句間違えずに。時間掛かりますけど複写しましょうか?」


「ありがとう!!本の虫!!」


エドはシェスカの手を取り、礼を言った。


「虫ですか・・・ι」


額に少し汗をかきながらシェスカが呟いた。


「それではお願いできるかね?」


「はい。もちろんです。」


の申し出にシェ巣かは笑顔で答えた。


「では、複写が出来次第、此処へ連絡を居れて欲しい。・マスタングと言えば私に繋いでくれる。」


「解かりました。」


は研究手帳に軍法会議所の電話番号を書き写し、シェスカに渡した。


「それでは、お願いします。」


「はい。」


その後、シェスカの家を後にした五人は宿屋へ向った。


「ロス少尉、ブロッシュ軍曹。君達は軍部へ戻ってもいい。」


はロス達に向って言った。


「いえ、私達は護衛の為に此処に居る故・・・」


「私一人でも十分だ。それと、ヒューズ中佐の家に私の荷物があるのだが、持ってきてくれないか?私が出歩いたら護衛の意味もなくなるしな。」


「解かりました。私はドアの外に居ますので、何か有りましたらお声を掛けてください。」


「だから、私一人で十分だと・・・」


「いえ、上官からの命令ですから。」


ロスにそう言われ、は渋々頷いた。


「ヒューズ中佐の家の住所は此処だ。頼んだぞ。」


「はい。」


ブロッシュにメモを渡し、二人は部屋から出て行った。


「軍服、脱いでくれば良かった・・・」


そう言いながらは軍服の上着を脱いだ。


「いや・・・お前も此処で泊まる気か?」


「駄目?」


「駄目。」


の言葉に間髪要れず、エドが言った。


「だって面倒じゃん。別の部屋取るの。」


「良いから別の部屋取れ。」


「・・・・解かった。」


は脱いだ軍服を羽織り、部屋から出て行った。


「マスタング中佐、どちらへ?」


「もう一部屋取る・・・エドに追い出された・・・」


「もしかして一緒の部屋に泊まる気だったのですか?」


「悪いか?」


「いえ・・・」


は落ち込みながらロビーへ行き、新しい部屋を取った。


「私の部屋はこのまま奥へ行った所にある。」


「解かりました。荷物が届いたらお知らせします。」


「あぁ。」


一言ロスにそう告げるとは部屋に入った。


「追い出さなくてもいいじゃん・・・馬鹿豆・・・」


ベッドへ寝転び、天所を眺めた。次第に睡魔に襲われ、は転寝を始めた。


『中佐、お荷物お持ちしました。』


部屋の外からブロッシュの声がした。


「鍵は開いている。入ってくれ。」


が答えると、控えめにドアが開いた。


「どちらに置きましょか?」


「そこらへんに置いといてくれ。」


「はい。・・・・」


荷物を置いたが一向に動かないブロッシュ。


「どうした?」


「流石に・・・部屋のドアはお閉めになった方が・・・女性ですし。」


ブロッシュは控えめにに言った。


「あぁ・・・大丈夫だ。誰か入ってくれば気配でわかる。」


「そうですか・・・」


「まだ何か言いたそうな顔だな?」


「そ、そんな事無いですよ!!」


大慌てで否定するブロッシュ。そんな行動を見ていたが急に笑い出した。


「ちゅ・・・中佐?」


「あぁ、悪い。面白くてね。荷物ありがとう。ブロッシュ軍曹。」


少し笑いを堪え、笑顔でブロッシュに言った。


「い、いえ!!またご用のある時はお申し付けください!!」


顔を赤くしながらブロッシュは部屋を出て行った。


「軍曹?どうしたの顔が赤いわよ?」


「マスタング中佐って・・・可愛いですね・・・」


耳まで真っ赤にしブロッシュは言った。


に手ぇ出すんじゃねぇぞ!!コラ!!」


急に部屋のドアが開かれ、ビックリする二人。


「はははははははいぃぃぃぃぃ!!!!」


エドの行動に怯えながらブロッシュは答えた。


「アル!!俺の部屋に行って来る!!」


「変な事しちゃ駄目だよ〜〜〜。」


「解かってらぁ!!!」


怒り気味での部屋へ入るエド。その後ろ姿を怯えながら見送ったロスとブロッシュだった。




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