「凄い量だな・・・」
「そうか、だからこれを持って逃亡しなかったんだね。マルコーさん。」
研究書の山を見つめながらアルは言った。
「これ本当にマルコー氏の?」
が目の前の研究書をマジマジと見つめながら言った。
「はい、間違いなく。ティム・マルコー著の料理研究書、『今日の献立1000種』です。」
シェスカの言葉に五人の動きが止まった。ロスは研究書の一束に手を伸ばし読んでみた。
「本当に今日の献立1000種だわ・・・」
「君!これの何処が重要書類なんだね!!」
「そんな!私は読んだまま、覚えたまま写しただけですよ!?」
も一束手に取り読み始めた。
「これ本当にティム・マルコー氏が書いたもの一字一句間違えないのだな?」
はシェスカに向っていった。
「はい!間違えありません。」
「だとさ。エド」
研究書から目を離し、エドを見る。
「あんたすげーよ。ありがとな。」
そう言うと、研究書の山の一つをエドは抱えた。
「よし、、アル。これもって中央図書館に戻ろう!」
「うん。あそこなら辞書が揃ってるしね。」
「ブロッシュ軍曹。君も手伝ってくれ。」
「は、はい!!」
「っと・・・お礼お礼。」
そう言いながらエドは研究手帳を取り出し、何か書き始めた。
「ロス少尉!これ俺の登録コードと署名と身分証明の銀時計!」
ロスに銀時計とメモを渡した。
「大総統府の国家錬金術師機関に行って、俺の年間研究費からそこに書いてある金額引き出してシェスカに渡してあげて。」
「はぁ・・・」
「シェスカ、本当にありがとな!」
そう言うとエドはシェスカの家を出て行った。エドが出て行った後、ロスはメモを見た。
「ふぅん、研究費用から・・・」
メモに書かれていた金額を見て、ロスとシェスカは悲鳴をあげた。
「何ですか、この金額!!!」
「こんな金ポンと出すなんて!!!何なのあの子!!」
「ふぅん・・・」
メモに書かれた金額を見ても冷静な。
「マスタング中佐・・・何故そんなに冷静なのですか?」
「こういう金額には慣れているからな。ロス少尉。私の登録コードと署名と銀時計だ。」
ポケットから銀時計を取り出しロスに渡した。
「エドと同じ金額をシェスカさんに渡してくれ。」
「な・・・こんなに貰えません!!」
「遠慮するな。エドに希望を与えてくれた。だから私もお礼がしたくてね。受け取ってくれるだろう?」
「・・・はい・・・」
シェスカが頷くのを見ると、はエドの後を追うように家を出て行った。
が図書館に着く頃には研究所の解読が始まっていた。
「やっているな。エド。」
「せめて俺の前では言葉使いを・・・」
「やだ。」
は近くにあった椅子に腰をかけた。
「ま、さっさと解読するのが先決・・・だろ?」
「解かってるって。」
満面の笑みで答えるエド。も研究書に手を伸ばし、解読を始めた。
解読を始めてから一週間、一向に進む気配の無い解読。
「大丈夫か?お前等・・・」
机に突っ伏している二人を見て、は言った。
「・・・何なんだよ・・・このクソ難解な暗号は・・・」
「兄さん・・・これマルコーさんに直接聞いたほうがいいんじゃ・・・」
「いや!これは『これしきの物が解けない者に賢者の石の真実を知る資格は無し』というマルコーさんの挑戦とみた!」
「いや・・・違うだろ、普通に。」
白紙の用紙に落書きをしながら怒るエドにツッコミを入れる。
「兎に角、なんとしても自力で解く!!」
「あの・・・・」
控えめにドアの方から言葉が発せられた。
「シェスカ・・・」
「お三方とも此処にいらっしゃると聞いたもので・・・」
お辞儀をしたシェスカ。
「エドワードさんとさんのお陰で母を立派な病院に移すことができました!本当になんてお礼を言ってよいのか・・・」
尚もお辞儀をし続けるシェスカ。
「あぁ、いいっていいって。」
「そうそう。俺の方は受け取ってくれただけでもありがたいし。」
苦笑気味にはシェスカに言った。
「ああっ、それにしてもあんなに沢山頂いてよかったのかしら・・・?」
「気にしないでいいよ。この資料の価値を考えたらあれでも安いし。」
エドは一通りシェスカに研究書の説明をした。
「あの料理研究書にはそういう意味があったんですか・・・で、解読のほうは進みましたか?」
シェスカの何気ない質問に三人の顔が強張る。
「そ、そう言えば、シェスカさんは仕事見つかったのか?」
の質問に今度はシェスカが落ち込んだ。
「じゃぁ、私そろそろ・・・本当にありがとうございました。」
「あぁ、金のことはもういいって。」
「いえ、お金の事もそうなんですけど・・・本にのめり込む事しか出来ない駄目人間な私が人の役に立てたのが嬉しかったんです。ありがとう。」
少しだけ苦笑気味にシェスカは礼を述べた。
「駄目人間じゃないよ?」
アルがフォローを入れるように言った。
「そうそう。何かに一生懸命になれることはそれ自体が才能だと思う。」
「それに、凄い記憶力あるし、自身もっていいよ。」
とアルはシェスカを元気付けるように言った。
「ありがとう。」
その言葉にシェスカは微笑んだ。
「やっぱり、女性は笑って居たほうがいいな。」
「・・・性格まで大佐に似たか?」
「クソ兄貴と一緒にすんな。」
エドの言葉に少しだけ怒りを覚えただった。
「よ♪」
ドアの方から急に声がし、四人は振り向いた。
「ヒューズ中佐!」
「パパ・・・また仕事サボって来たの・・・?」
「そんなに怖い顔すんなって。マスタング中佐。お前も俺のサポート、サボってるだろう?」
揚げ足を取られ、は黙り込んでしまった。
「ま、すぐに持ち場に戻るけどな。」
そう言って、ヒューズは近くにあった椅子に腰をかけた。
「まったく・・・ただでさえ忙しいところに第一分館も丸焼けになっちまって、やってらんねぇよ・・・」
「だよね・・・あそこは軍法会議所に近いから書庫に過去の事件記録とか名簿とか保管してたからね。」
ヒューづに続くようには溜め息を付きながら言った。
「業務に差し支えて大変だよ・・・」
第一分館と聞き、エドとアルはシェスカを見た。
「確かに軍の刑事記録も読んで覚えてますけど・・・」
「どうだろ中佐、この人働き口探してるんだけど。」
「え?この譲ちゃんそんなに凄い特技もってんのかよ!?そりゃ助かる!!よっしゃ、今すぐ手続きだ!!うちは給料いいぞぉ!!」
「ええ!?そんな!あの・・・本当に!!」
ヒューズは一人で盛り上がり、シェスカを連れ去ろうとした。
「あ・・・あの、お三方!!ありがとう!自身を持って頑張ってみます!!本当にありがとう!!」
「も持ち場に戻るぞ!!この譲ちゃんの手続きの手伝いよろしく!!」
「ちょ!!パパ!!」
の首もとの服を掴み、ズルズルと引き摺るヒューズ。
「ひーとーさーらーいー!!!!!!!!」
の叫び声は静かな図書館に木霊した。
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