「さん、ご迷惑をおかけします・・・」
「気にしなくて良いよ。一応上司の命令だし・・・」
軍法会議所に到着したとシェスカ。二人は受付で書類を貰っていた。
「はい、こちらです。」
「すまないな。」
「いえ、マスタング中佐の頼みとあればvV」
ハートを飛ばして話し掛けてくる受付穣。それを笑顔で答える。
「中佐、今晩空いていますか?」
「空いているが・・・?」
「今晩一緒に食事でも。」
「・・・私は女だぞ?」
「はい。解かっていますよvV」
「・・・・今晩七時に此処へ来よう。」
「はいvV解かりましたvV」
女にモテる、・マスタング中佐。華の18歳。
そんなこんなで、書類を書く為執務室に向う。
「あの・・・さんって・・・レズですか?」
「君は・・・物凄い事を聞くな・・・ι言っておくが、私はレズでもなければバイでもない。彼氏も居るしな・・・」
「じゃぁ何で誘いを断らなかったんですか?」
「女性からの誘いを断るのは失礼だからな。」
『女性に優しく、野郎どもには容赦無く。』それがの生き方。
やはり、兄と何処となく似ている。
「では、この書類にサインと・・・」
此処からシェスカの書類との戦いが始まった。
第十二章『真実』
研究書の解読を始めてから10日が過ぎた。
一向に解ける気配を見せない。
「もうそろそろ閉館の時間だな・・・」
銀時計をみつめながらが口を開いた。
「そうですね。お二人とも閉館の時間ですよ。」
ブロッシュが部屋のドアを開け、エドとアルに呼びかけた。
「ふ・・・ざけんな!!!!!」
中から聞こえてきたのはエドの苛立ちを含めた叫び声だった。
「な、何事ですか?!」
「どうしたんだ?エド、アル。」
心配そうに二人を見つめつ。
「兄弟喧嘩ですか?まずは落ち着いて・・・」
「違いますよ。」
ブロッシュの言葉を遮るようにアルが言った。
「では、暗号が解けなくて苛ついてでも・・・?」
「解けたんですよ・・・暗号、解いてしまったんですよ・・・」
「本当ですか?良かったじゃないですか!!」
「良い事あるか!!畜生!!」
そう言うとエドは頭を抱えるように座り込んだ。
「『悪魔の研究』とはよく言ったもんだな・・・恨むぜ・・・マルコーさんよ・・・!!」
「一体・・・研究書には何が書かれていたんだ?エド・・・?」
「・・・賢者の石の材料は・・・生きた人間だ!!」
「なっ!!」
の顔が強張った。
「確かに知らない方が幸せだったかもしれないな・・・」
エドを横目に、は解読した資料に目を通した。
「まさか・・・そんな・・・っ!!こんな事が許されていい物なのか!!」
「そのまさかかもしれねぇな・・・資料が正しければ賢者の石の材料は生きた人間・・・」
「しかも・・・一個精製するのに・・・複数の犠牲が必要・・・。」
がエドの後に続き、言葉を発した。
「そんな!!非人道的な事が軍の機関で行われているなんて・・・!!」
「許される事じゃないでしょう!!」
「・・・ロス少尉・・・ブロッシュ軍曹・・・この事は誰にも言わないでくれるか・・・?」
消え入りそうな声でエドが言った。
「しかし・・・」
「上官命令だ。この事は他言無用で頼む。」
上官命令と言う単語に顔をしかめるロスとブロッシュ。
「・・・わかりました。」
渋々であるが、二人は首を縦に振った。
「では、宿に戻ろう。エド、アル。」
「うん。」
「・・・あぁ。」
宿屋に着き、エドは自室に篭った。
「悪いけど・・・今は一人にしてくれねぇか?」
「わかった。アルは俺の部屋においで。」
「う・・・うん・・・」
の部屋へ行き、アルはソファーに腰を降ろした。
彼女は軍服の上を脱ぎ、ベットに向って無造作に投げた。
「何か・・・あれだよな・・・」
「見ちゃいけない物を見たって感じだよね・・・」
「エドの落ち込み様も凄いし・・・こんな時こそ傍に居てあげたいのに・・・」
彼女は俯きベットに腰をかける。
「何か・・・役に立ってないよね・・・」
「そんな事ないよ。」
泣きそうな顔のを見つめる。
「兄さんはが居るから強くなろうと思ったんだよ?賢者の石を探すのは確かに自分の為だけど・・・
の身体も元に戻してあげたいって兄さん言ってたよ。」
落ち込み気味のを励まそうとアルは彼女の隣に腰をかけた。
「だから、も落ち込んじゃ駄目だよ。が落ち込んでると僕も兄さんも暗い気分になっちゃうから。」
「アル・・・ありがとう・・・よし、んじゃ、エド連れて飯でも食いに行って来るか。」
「僕は部屋に戻って留守番してるね。」
「宜しく。」
二人は部屋を出て、エドの部屋へ向った。
彼女の顔は落ち込んだ表情では無く、笑顔に変わっていた。
「エド!!飯食いに行くぞ!!」
勢いよく叫びながらエドに話し掛ける。
「んな気分じゃねぇよ・・・」
「いいから!!ホラ早く!!」
「や、やめろよ!!!!やめろ〜〜〜!!」
エドの腕を引っ張り、人攫いの如く食堂へ引き摺っていった。
「ヒューズ中佐に似てる・・・」
アルの言葉はには届かなかった。
「ホラ、食えエド。」
「・・・・・・・・・」
「何時までも落ち込むなって。お前らしくないぞ。」
「あぁ・・・」
少しずつ食事を口に運ぶエド。
「そういや・・・さっきはありがとな。」
「さっき?」
「ロス少尉とブロッシュ軍曹に口止めしてくれて・・・」
「あぁ、あれね。私用で上官命令を出すのは嫌なんだけど・・・ま、仕方なかったし。」
パスタを撒きつけるようにクルクルと回しながらは言った。
「でも・・・助かった。嫌な思いさせて悪かったな。」
「気にしないって。んな小さい事。」
「小さい言うな。」
「エドも反応すんなよι」
少しだけ何時ものエドに戻ったと呟きながら微笑する。
でも、エドは思い詰めたような顔をしていた。
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