次の日、部屋でのんびりとしていた


――ドンドン!!メキョ。


「・・・・?エドの部屋か?」


『聞いたぞ!!エドワード・エルリック!!』


「・・・少佐・・・」


取り合えず、はエド達の部屋に向った。


「・・・何があったんだ・・・?」


「あ、。」


「聞いてくれよ。ロス少尉とブロッシュ軍曹が、少佐に賢者の石の事話したんだよ。」


「ほほ〜う・・・上官命令と言って置いたのを忘れたのか?貴様等。」


「ごごごごめんなさい・・・」


「あんな暑苦しい人に詰め寄られたら喋らざるをえなくて・・・」


落ち込みながら謝るロスとブロッシュ。


「ま、しょうがないか・・・」


「あれ、エドワードさん右手義手だったんですね。それにマスタング中佐も・・・」


「あぁ・・・えーと東部の内乱の時にちょっとね・・・」


「そそ、それで元の身体に戻るのに賢者の石が必要でして・・・」


エドとアルは焦りながら言い訳をした。


「そうですか・・・それがあんな事になってしまって残念ですね・・・」


「真実とは時として残酷なものよ。」


アームストロングは号泣しながら頷き、言った。


「真実・・・?」


アームストロングの言葉に反応を示すエド。


「どうしたの?兄さん?」


「マルコーさんの言葉覚えてるか?」


「え?」


「ほら、駅で言ってただろう?」


「『真実の奥の更なる真実』・・・」


エドは何かを考えるように顎に手を当てた。


「そうか・・・まだ何かあるんだ・・・何か・・・」


第十三章『内緒』


アームストロングは、セントラルの地図を広げた。


「軍の下にある錬金術研究所は、中央市内に現在4ヶ所。そのうち、ドクター・マルコーが所属していたのは第三研究所。ここが一番怪しいな。」


「うーん・・・市内の研究所は俺が資格とってすぐに全部回ってみたけど、ここはそんのに大した研究はしてなかったような・・・」


「俺も見てみたけど、確かに、ここはそんなに怪しくないよ。」


エドに続き、も言葉を発した。


「これ・・・この建物はなんだろう?」


そう言って、エドは地図を指差した。


「以前は第五研究所と呼ばれていた建物ですが、現在は使用されていない、ただの廃屋です。崩壊の危険性があるので、立入禁止になっていたはずですが。」


ロスは手に持っていた資料を見ながら言った。


「これだ」


「え?何の確証があって?」


「隣に刑務所がある。」


エドは指を滑らせ、刑務所を指差した。


「えっと・・・」


「賢者の石を作るために生きた人間が材料として必要って事は、材料調達の場が居るって事だ。」


「そう言えば・・・確か死刑囚って処刑後も遺族に遺体は返さないな・・・」


は自分の顎に手を当て、呟いた。


「そう。表向きには刑務所内の処刑台で死んだ事にしておいて、生きたままこっそり研究所に移動させるのも可能って事。んで、そこで賢者の石の実験に使われる。すると、刑務所に一番近い施設が怪しいって考えられないか?」


「・・・囚人が材料・・・」


ロスの顔が青くなった。


「嫌な顔しないでくれよ。説明してるこっちも嫌なんだからさ。」


「刑務所がらみって事は、やはり政府も一枚かんでるって事ですかね?」


「一枚かんでるのが、刑務所の所長レベルか、政府レベルかは分からないけどね。」


「・・・・なんだかとんでもない事に首を突っ込んでしまった気が・・・」


ロスとブロッシュの顔が真っ青になった。


「だから聞かなかった事にしろって言ったでしょう。」


ため息をつきながらアルは言った。


「だが、現時点ではあくまでも推測だからなぁ・・・」


「国は関係無く、この研究機関が単独でやっていた事かもしれんしな。」


「そうそう。」


アームストロングの言葉には頷く。


「この研究機関の責任者は?」


「名目上は『鉄血の錬金術師』バスク・グラン准将という事になっているぞ。」


「そのグラン准将にカマかけてみるとか・・・」


「無駄だね。先日スカーに殺されたし。」


は暗い顔をしながら言った。


「スカーには軍上層部に所属する国家錬金術師を何人か殺された。その殺された中に真実を知る者が居たかもしれん。しかし、本当にこの研究にグラン准将以上の軍上層部が関わっている事になると、ややこしい事になるのは必至。そちらは、我輩が探りも入れてみよう。」


「あ、俺も暫くはこっちに居るから手伝うよ。少佐。」


「有難い。それと、それまでは少尉と軍曹はこの事は他言無用!エルリック兄弟は大人しくしているのだぞ!!」


「「ええ!?」」


エドとアルは同時に批判の声をあげた。
暫くの沈黙の後、アームストロングが地図を指差しながら言った。


「さてはお前達!この建物に忍び込んで中を調べようとか思っておったな!!
ならんぞ!元の身体に戻る方法がそこにあるかもしれんとは言え、子供がそのような危険な事をしてはならん!!」


「わかった、わかった!!そんな危ない事はしないよ。」


「僕たち、少佐の報告を大人しく待ちます。」


「エド・・・アル・・・」


心配そうな顔で、は話し掛けた。


「本当に危険な事はしないよな?」


「勿論だって。だから安心してくれよ。。」


「・・・その言葉、信じるからな。」


そう言うと、はドアの方に足を向けた。


「俺は部屋に戻って寝るから、何かあったら部屋に来な。」


「ああ。分かった。」


そう言うとは自分の部屋に戻って行った。


「彼奴等・・・本当に何もしないよな・・・?」


少し不安そうな顔をし、ベットに横たわった。




数時間後・・・


「マスタング中佐!!大変です!!」


ドアの外からロスの声がした。


「少尉・・・?一体何があったんだ?」


ドアを開け、は顔を覗かせた。


「あの子達、窓の外から逃げ出したんですよ!!」


「・・・彼奴等・・・」


怒り顔の。急いでコートを取り、部屋を出た。


「さっさと第五研究所に行くぞ!!」


「はい!!」


三人は街中を走り、研究所に向った。




「入り口に門番が居ない・・・」


「おかしいですね・・・」


「・・・!!なにかあっちで音が聞こえます!!」


「行くぞ!!」


銃弾を確認しながらは叫んだ。
門の中へ入ると、そこには鎧を来た者に攻撃をされているアルをみつけた。


「アル!!」


は、鎧目掛けて銃弾を発砲した。それと同時に、ロスも銃弾を発砲した。


「動くな!!」


「次は頭を狙う。大人しく鎧の人をこちらへ渡せ。」


・・・ロス少尉・・・」


「何だおめぇら。」


「そいつの護衛だ。いいからさっさと渡してもらおうか?」


睨み付けるような目で鎧を見る


「護衛ふぜいがいい所で邪魔しやがってよ!!門番の野郎なにやって・・・ああ、俺がぶった斬っちまったんだっけかぁ。失敗失敗。」


怯む様子も無く、鎧は言った。


「面倒なことになっちまったな。」


建物の方を見る、鎧。ズズズと建物の方から音がなっていた。


「・・・?何の音だ?」


ブロッシュは建物を見上げながら呟いた。
突如、ズドン!という音が当たりに響き渡った。


「な・・・なんだぁ!?」


「爆発!?」


「中佐、軍曹!非難しましょう!!!」


「アル、何しているんだ!!早く逃げるぞ!!」


「兄さんが!!」


「エドが!!中に居るのか!?」


建物の方に走ろうとするアルと


「ちょっと、何処へ行くの!!」


慌ててロスとブロッシュは二人を捕まえた。


「兄さんがまだ中に居るんだ!!離してよ!!」


「軍曹!離せ!!」


「馬鹿な事言わないでください!巻き込まれます!!」


もがくを必死で抑えるブロッシュ。


「・・・こりゃあアレだな。素直にとんずら!!」


そういうと、鎧は逃げた。


「あ・・・待て!!」


「おめーらも早く逃げねぇと巻き込まれるぜ!!」


そして鎧は去って行った。


「兄さんが!!」


「今は貴方が逃げる事を考えなさい!!」


ロスはアルに説得を続けた。


「ちわーっス。お荷物をお届けにあがりました。」


崩れかけている建物の中から一人の黒髪の少年が出てきた。


「兄さん!?」


「エド!!」


少年が抱えていたのはエドだった。


「命に別状は無いけど、出血が酷いから早く病院に入れてやってね。本当にもう、あんまり無茶しないようにあんた達しっかり見張ってよね。貴重な人材なんだからさ。」


ため息を吐きながら少年は言った。


「ロス少尉!!何してるんですか!!早く!!」


「軍曹!手を貸して!!」


「どうしたんです、この怪我は!!」


「話は後よ!!あなたも早く逃げて・・・」


少年に向ってロスは叫んだ。


「あれ・・・居ない?」


「皆さん、何してるんですか!!」


「え・・・ええ・・・」


「早く逃げるぞ!!」


の声を合図に、四人は走り出した。




病院に入院する事になったエドは、ムスッとしていた。


「エドワードさん、起き上がれるようになりましたね。」


「ここは?」


エドはロスとブロッシュに尋ねた。


「ロス少尉の知人の病院です。軍の病院だと色々聞かれた時にまずだろうと判断しまして。ここなら静かに養生できますよ。」


話を聞いたエドは左横っ腹を抑えた。


「あークソ・・・痛ぇ・・・もう少しで真実とやらがつかめそうだったのに・・・入院なんてしてる場合じゃないよなぁ・・・」


「鋼の錬金術師殿!先に無礼を・・・」


ロスとブロッシュが言った途端、病室のドアが開いた。


「マスタング中佐・・・」


「どうしたんですか?」


二人の声を無視して、はエドの横に立った。


・・・」


「エドの・・・馬鹿野郎!!!!」


エドの頬に思いっきり平手打ちをかました。


「あれほど、俺たちが勝手な行動をするなって言ったのにお前達と来たら!!今回の件はお前等に危険だと判断したから宿で大人しくしてろって言ったんだぞ!!それなのにお前達は少佐の好意を無視した上、下手したら死んでたかもしれないんだぞ!!しかも俺との約束破りやがって!!」


凄い形相でエドを怒鳴る


「心配・・・したんだからな・・・」


涙目になりながらはエドに抱き付いた。


「・・・ごめんな・・・・・・」


「馬鹿豆・・・これ以上何かしてみろよ・・・次は切り刻むからな・・・」


「わかったって。」


エドはの頭を優しく撫でた。


「兎に角、何でもかんでも自分達だけでやろうとしないで、周りを頼りなさい・・・もっと大人を信用してくれてもいいんじゃない?」


ロスはエドに言った。


「とまぁ・・・説教しようとしたけど、中佐に取られてしまいましたね・・・」


「本気でムカついてたから殴っただけ。」


「でも、僕はホッとしてますよ。ビンタのお咎めがなくなったんで・・・」


ブロッシュはホッとしたような顔でに言った。


「でも、なんでそんなに気ぃ使うんだよ。」


エドは呆れ顔で二人に言った。


「一般人でないとわ言え、国家錬金術師は少佐相当官の地位を持っていますからね。貴方の一言で我々の首が飛ぶ事もあるんですよ。」


「そんなにピリピリすること無いよ。俺は軍の地位が欲しくて国家資格を取ったわけじゃないし。それに敬語も使う事もないじゃん。こんな子供にさ。」


「あら、そう?」


「いやー実は年下に敬語使うのえらくしんどくてさー!!」


(順応早っ!!)


エドは心の中で叫んだ。


「ほーう・・・年下に敬語使うのがしんどいのか・・・?ブロッシュ軍曹?」


は腕を組みながら、ブロッシュを見つめた。


「いや、マスタング中佐は上司ですので・・・その・・・勿論敬語で話しますよ!!」


「冗談だ。しんどいようならば私に敬語を使わなくてもいいぞ。」


「は・・・はぁ・・・」


「そう言えば、アルは?」


部屋を見渡し、アルがいないことを思い出したエド。


「アルフォンス君はさっき俺がゲンコツかまして同じように説教した!おかげで手がこの様だけどね・・・」


そう言いながらブロッシュは腫れた右手を見せた。


「彼奴はかてーだろ。ははははは。」


笑って腹が痛くなったのか、エドは腹部を抑えた。


「あででで・・・」


笑っている途中で、エドはなにかを思い出したのか、真っ青な顔をしながら頭を抑えた。


「エド、どうした?」


「・・・もう一回壮大に怒鳴られるイベントが残ってた・・・」


「は?」


「実は・・・さ・・・機械鎧・・・壊したんだよな・・・」


強張った顔のままエドはに言った。




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