次の日、は肉の仕込を手伝っていた。


「シグさん、仕込み終わったよ!」


「じゃ、開店するからアルの事呼んできてくれるか?」


「は〜い。」


は店の前で掃除をしているアルを呼びに行くため、扉を開けた。


「アル!もうそろそろ開店するって・・・
あれ?」


そこに居る筈のアルが居なくて、はキョロキョロと周りを見渡す。


「アル〜〜?何処に行ったんだ〜〜〜?」


散歩でもしてるのかな?と思い、は店の中へ戻った。


第二二章『アル、誘拐事件』


夜・・・未だにアルは戻ってこない。


「あれ〜〜〜?アルフォンスくんまだ帰って来てないんですか?」


従業員のメイスンが不安げに言った。


「何やってんだろうね!あの子は!」


「朝から居ないんですよ?」


朝から居ない事を告げる


「どうしたんだろう・・・アル・・・」


「ちょっと心配ですね。
・・・・・・誘拐されたりして」


「まっさかぁ〜〜〜。」


「そうですよねぇ。」


軽い笑い声が店内を覆い尽くした。


「アル・・・本当に何処言ったんだろう・・・」


一人、はアルの事を心配していた。




次の日の朝、メイスンがアルの事を色々と調べてくれていたらしく、居場所を突き止めた。


「イズミさん、解かりましたよ。
昨日昼間に西の工場跡地にアルフォンス君が入って行くのを見た人がいます。」


「その後は?」


「ダビルズネストって酒場に出入りしてる奴等がでかい鎧を地下に運んでたらしいんですよ。」


そう言いながらメイスンはデビルズネストのマッチをイズミに投げた。
それを受け取るイズミ。


「ダビルズネストね・・・
ちょっと挨拶に行こうか。」


「師匠。俺も行きます。」


「駄目だ。お前は此処で留守番してろ。」


「嫌です。」


イズミの言葉にはキッパリと拒否をした。


「俺、一応はエルリック兄弟の護衛として着いているんです。
だから、俺も連れてってください。」


の言葉にイズミは折れた。


「解かった。連れて行く。」


「ありがとうございます。」


「でも。」


一回の身なりを見た。


「でも、その前に着替えて着なさい。
いかにも未成年って格好じゃ・・・
でも、軍服は駄目だからね。」


「はい。解かりました。」


そう言って、は部屋に行き着替えを始めた。




「師匠。用意出来ました。」


「じゃ、行くよ。」


「はい。」


こうして二人はデビルズネストへ向った。




デビルズネストについた二人。
そこには4人の男が居た。


「あんた、うちの店の事嗅ぎまわってるって?」


「いけねぇな。一般人が余計な事に首突っ込んじゃ。」


「いいわぁ、あんたら。わかり易くて。」


「言えてますね。」


「わかったらとっとと帰んな・・・」


「責任者どこ?」


イズミは男の言葉を無視し、先に進んだ。
その行動が男達の怒りをかった。


「待たんか、コラァ!!」


「シカトこいてんじゃねぇ!!」


襲い掛かってきた男を軽く投げ飛ばすイズミ。


「流石師匠。」


一歩後ろの方で、は拍手をしていた。


「やるじゃねぇか。この・・・おばはん!」


――ブチ


「あ・・・ι」


イズミにとっての禁句を言ってしまった男。
は被害を受けないように更に下がった。
次の瞬間、イズミは壁に手を当て、大きな手を錬成した。
男達はそれに潰された。


「あんた等三下じゃ話にならないって言ってんの。」


「て・・・手品師!?」


何か違う方向に考えている男一名。


「バカ!!錬金術師だ!!」


「おい!飛び道具持ってこい!!」


「んだぁ〜おめ〜ら。
ネズミ一匹まだ始末できねぇのかよ。」


入り口から出てきたのはでかい男。


「ウルチさん!!」


「んん〜〜?」


ウルチと呼ばれた男はイズミを見るなり目の色が変わった。


「女!女だ!!女大好き!!」


「そこまでだ、女ぁ!!ウルチさんはそこらの奴とはちょっと違うぜ!!」


先程の事もあるのか、男は『おばさん』ではなく『女』と呼び方を変えた。


「何てったってワニの血が入っちゃってるからなぁ!!
野獣だぜ!野獣!!」


「おねぇさんよ・・・ここいらは俺みたいに物騒なのが多いからよぅ・・・
痛い目にあっても知らないよーvV」


そう言いながらウルチはイズミに襲い掛かろうとしたが・・・


「痛い!!」


イズミの後ろからシグが現れ、逆にやられた。


「あさ、あんた来てたの?」


「俺の女に色目使ってんじゃねぇ!この野郎!!」


「やだあんた。そんな大きな声で俺の女だなんてvV」


ラヴラヴな二人にいい加減付いていけなくなった。一人傍観。


「で?誰に聞けば教えてくれるの?」


「ななななナメんなよ〜〜〜!!」


「こちとら口の堅いので有名でい!!」


「やっちまえ〜〜〜!!」


半泣き状態で残りの男達が襲い掛かってきた。


「俺も手伝いましょうか?」


「その方が早く片付くね。」


参戦。


「やっと暴れられる〜〜vV」


言うなり、は一人の男の顔面を蹴った。
数分の後、屍と化す男。


「さて・・・」


戦い終えたイズミは手の埃を払い、一人の男の胸倉を掴んだ。


「鎧の子をどこにやった?!
ちゃっちゃと吐かないと・・・」


「吐かないとどうなるって・・・?」


「吐くわよ。」


「ぎゃぁぁぁぁ!!」


吐く前に吐いたイズミ。
大量の血が口から滝のように流れている。


「師匠・・・ι」


それを見て苦笑するしか出来ない




店の中へ入り、中を探索するとイズミ。


「確かここら辺・・・ですよね?」


イズミの手には一人の男が捕まっていた。


「面倒だ。錬成で扉を作る。」


この発想がエドに似ているなと思う
扉を錬成し、開けた先にはアルが捕まっていた。


「はい、ちょっと失礼するよ。」


男を引き摺りながらイズミは入った。


「おっ・・・おい。」


「なんだ、てめ・・・」


イズミを止めようとした二人の男を余所に、イズミは手に持っていた男を持ち上げた。
そしてそのままアルに向って投げつけた。


「こンのバカたれが!!!!
なに人攫いにあっとんだ!!!」


「ごごごごごごめんなさいぃぃぃ」


震えるアル。


「アル〜〜〜・・・」


更にイズミの後ろから黒い笑みを浮べた登場。


〜〜〜。」


更に怯えるアル。


「後でどうなるか・・・解かってるよな♪」


「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」


もまた、アルの怖いもの。


「コラァ!!俺達を無視してんじゃねぇ!!」


「てめー等何者だ!!」


「主婦だ!!」


自分を指差しながら大声で叫ぶイズミ。


「いや・・・それって何か違うような・・・」


そんなイズミに少し呆れ気味の
その後はお約束の大暴れタイムだった。



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