夜の歌番組。丁度その時、エドはテレビをつけていた。
『今日のゲストはティアさんです。』
『こんばんは、皆さん。』
「こいつ・・・昨日の・・・」
を見て、エドは昨日の少女を思い出した。
『では早速歌っていただきましょう。ティアのデビュー曲、『君を見つける為に』』
は中央に立ち、イントロが流れた。
『君が私を見つけた時から
私の命が生まれた
君が私を見つけてくれなかったら
私は今 ここには居ない
今私は君の為に歌を歌う
誰の為でもない 君の為に
君が私を思い出してくれるように
私は歌を歌う
君を見つけるために旅に出た
私は今も君を探している
ずっとこの先も 君を探し続けるだろう
君を見つけるまでは・・
私は君を見つけるために歌を歌う
誰の為でもない 君の為に
私が君を忘れないように
今も歌いつづける
君に出逢って初めて気付いた
生きる意味を 生きる喜びを
この気持ちを教えてくれた君に今
私は何ができるだろう?
君が見つけてくれたこの命を
大切にする事が 私にできる事
今私は君の為に歌を歌う
誰の為でもない 君の為に
君が私を思い出し
私が君を見つける為に
今日も歌い続ける
声が枯れるまで 私は歌い続けるよ』
エドは物知れる懐かしさを思い出した。昨日会ったばかりの彼女を何処かで会ったような、昔から知っているような感覚。
『ティアは何でこの曲を書いたの?』
『歌詞の通りですね。ずっと探している人が居るんですよ。』
苦笑気味に答える。画面に釘付けになるように見入るエド。
『恋人とか?』
『えっと・・・恋人じゃないんですけど・・・大切な人には変わりないですね。』
その後、数分のトークをした後、は舞台袖に戻った。
「・・・・」
「兄さん?どうしたの?」
何時もと違う兄の様子にアルは話し掛けた。
「いや・・・何か変な感じがして・・・」
「変な感じ?」
「アルはティアってアーティスト知ってるか?」
「さっきテレビで出てた人でしょう?今有名だもん。もしかして兄さん、知らなかったの?」
お茶をエドに出しながらアルは言った。
「・・・・いや、いいや。俺寝る。」
「うん。お休み。兄さん。」
エドはそう言うと自室に戻った。ベットへ入り込み、すぐに夢の中へ落ちていった。
『へ〜〜・・・君が噂の『鋼の錬金術師』か・・・小さい。』
『誰がチビだ!!』
『私よりも小さいじゃん。成長期は終ったの?』
――こいつ・・・中将に似てる・・・――
夢の中の場面が変わった。そこは宿屋の一室ぽい所。
『ごめん・・・今は一緒に居られない・・・』
――さっきと違う女?こいつは・・・――
『何言ってるんだよ!!はだろう!!』
――?昨日の奴?――
『私はであってじゃない・・・人ならざる人・・・ホムンクルスなんだよ?』
『何であろうとだ。俺はお前が・・・』
そこで夢は終った。
「俺は・・・なんて言おうとしてたんだ?いや・・・あれは俺なのか?」
自分と同じ金髪の少年。エドは訳が解からず、登校した。
昼休みになり、彼は何時も通り屋上へ向った。ドアを開けると、黒髪を風に靡かせ立っていたが居た。
「・・・?」
「あ、エド先輩。今日も来たんだ。」
彼女は振り返りエドに微笑みかけた。この前とは違う表情の。
「昨日のテレビ見た。お前芸能人なんだな。」
「今更気付いたの・・・?」
「あぁ。」
「ま、いいや。エド先輩。お昼食べよ。」
言い終わると彼女は座った。
「そんな所に立ってないで早く食べようよ。」
の言葉に施されるようにエドも彼女の近くに座った。と他愛のない会話をし、昼休みが終った。
「明日も此処に来るの?」
「何時もここに来るからな。」
「じゃ、また明日ね。先輩。」
「ちょっと!!」
出て行こうとするをエドは引き止めた。
「何?」
「・・・いや・・・今日の放課後・・・暇か?」
「暇だけど。何か用事でもあるの?」
「帰り・・・正門で待ってる・・・」
それだけ言うと、エドは給水タンクへ登っていった。もそれ以上何も言わず教室へ戻って行った。
ぼーっと空を見上げるエド。
「知ってる・・・俺は確かに彼奴の事知ってる・・・でも、何処で会ったんだ?」
そんな事を考えながらエドは午後の授業をサボっていた。
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