放課後、ホームルームが早めに終わり、正門前で待っていた。不意に何かを思い出したのか、ブレザーポケットから携帯を取り出した。携帯を開き、電話帳で目的の人を探し、電話をかけた。
『もしもし?』
「あ、グリ兄?」
『ティアか?どうした?』
が電話を掛けた人はグリードだった。
「今日、帰るの何時もより遅くなるかも。」
『・・・何でだ?収録も何もないだろ。今日は。』
「ちょっと・・・エドから誘い受けてね。」
『・・・は?』
電話越しでもわかる、意味が解からないと言う声。
「エドからデートの誘い受けたの♪」
『マジか?』
「嘘♪でも、エドと出かけるのは本当だから・・・ま、帰る時はまた連絡入れるから。」
『あぁ、解かったよ・・・』
そう言うと、グリードは早々と電話を切った。
「じゃぁねの一言もないのかよ・・・ι」
そんな事を言いながら携帯をポケットにしまった。ぼーっと待っていると、前から走ってくる金髪が目に入った。
第三章『思い出してくれた?』
「悪ぃ、ホームルーム長引いちゃって・・・」
「別に気にしてないよ?それで、何か用事があって待たせたんですよね?」
「あぁ・・・ちょっと俺の家に来てもらいたくて・・・」
「へ?」
呆気にとられたの顔。そんな彼女を目の前に、エドは慌てて弁解しようと口を開いた。
「いや、弟にもあって欲しくて。この前、お前に弟の事話しただろう?」
「あぁ・・・そう言うことですか。」
アルと会える。そんな気持ちがの中に広がった。
「じゃぁ、早く行きましょう?エド先輩。」
「あぁ。」
エドが先に歩き出し、その後についていくようにも歩き出した。
歩いて10分程度でエド達が住んでいる家に着いた。
「結構大きいですね。」
「まぁな。」
が目にしたのは自分の家と同じくらいの大きさの家。といっても、一般よりも少しで大きい。
「どうぞ。」
「お邪魔します。」
エドに施されるまま、は家に足を伸ばした。
「あれ?兄さん、珍しいね。お客さん連れてくるなんて。」
「鎧・・・」
今も昔も変わらず、鎧姿のアルに溜め息を吐く。
「あ・・・もしかして・・・ティアさん・・・?」
「こんにちは。でも、それ芸名だから・・・私は・。でいいわよ。アルフォンス・エルリック君。」
「何で僕の名前を?」
「俺も言った覚えねぇけど・・・」
とんだ所で墓穴を掘った。言い訳を考え、そして浮かんだ言葉は、
「私の情報網を甘く見ないで。」
だった。(笑)
「芸能人ってある意味凄いんだね・・・」
「いえてる。」
妙に納得するエルリック兄弟。
リビングに通され、お茶を啜るとエド。
「もうそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「何を?」
一息ついた時にが口を開いた。
「惚けないでよ・・・何か用事があって私を呼んだんでしょう?」
「まぁ・・・それなりに・・・」
エドの言葉には首を傾げた。
「ちょっと、こっちに来てくれるか?」
そう言ってエドは席を立ち、リビングから出る扉へ向った。
「何処にいくの?」
「部屋。」
そうとしか言わないエドの後を付いていった。部屋の扉を開けると、沢山の本が並んでいた。
「結構沢山集めたのね。」
「あぁ。」
そう言うと、エドは近くにあった椅子に腰をかけた。
「あ、面白いの発見。」
そう言うとは一つの本を手に取り、読み始めた。
「なぁ、。」
「何?」
「ホムンクルスって・・・実在するのか?」
その言葉を聞き、今まで本を見ていたの視線がエドへ移された。
「何で私にそんな事聞くの?」
「今朝・・・変な夢見てな・・・お前に似た奴が自分の事を『ホムンクルスだ』って言ってたから。」
「私に似た人か・・・」
「何かしらねぇけど、昔からお前の事知ってる気がして。この前会ったばっかりなのに変だよな?」
そう言ってくるエドに何も言葉を返せない。
「先輩は・・・ホムンクルスが居ると思う?」
「いや、でも無いとも言い切れないと思う。」
「どうして?」
「何となく・・・」
そう言うと、エドは何処と無く悲しげな表情を浮べた。
「・・・記憶は自分で探さなきゃ意味無いよ・・・」
「え?」
ボソッと呟いたの言葉に反応するようにエドは顔を上げた。
「何でも無いから気にしないで。あ、もうこんな時間ですね。ご飯何時もどうしてるの?」
「何時も、アルが作ってくれる。もうそろそろ・・・」
エドの言葉は扉の開く音と共に、遮られた。
「さん、晩御飯食べていきません?」
「え?いいの?」
「どうせ食べるの兄さんだけだし。僕も錬金術について話したいから。いいよね、兄さん?」
「別に俺は構わないけど。」
少し考える素振りを見せる。
「じゃぁ・・・お言葉に甘えて。私もしたく手伝うわ。」
「ありがとうございます。」
そう言って、エドを取り残し二人はキッチンへ向った。
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