ある日突然少女が降って来た。(ぇ
俺だって訳分かんねぇよ。
ただ一つ言える事は



俺と同じ



深紅の髪と瞳を



持っている事だけ・・・



第二章『新しい仲間?』


今日は平和で良い日だなぁ・・・
何て柄にもなく思ったり。


ジープに凭れながら空を見上げていると
小さな黒い点が見えた。


「・・・悟空。あれ何だと思う?」


「へ?どれ?」


上空の黒い点を悟空と一緒に見た。


「ぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」


段々と形が見えてくる。
・・・男か?
そんな事を考える間も無く、黒い点がはっきりとした人に見えた。


「のわぁぁぁぁぁぁぁ!!
あぶねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


「八戒!!止めろ!!」


何故か知らないけど、俺は咄嗟にジープを止めるよう頼んだ。
0.5秒。急ブレーキ。


俺は上空から落ちてきた人を受け止めた。


「いって〜〜〜・・・」


・・・野郎を助けたのか?俺は・・・
ホント、柄じゃなぇな。

次の瞬間、俺は絶句した。
こいつが開けた瞳が




血のような



紅イロだったから。




「一体何なんや・・・」


「どうでもいいけど、退いてくれるか?」


下に居た俺に気付いたのか、野郎はすぐに俺の上から退いた。


「堪忍な。ちょっとしたアクシデントなんや。」


訛りのある言葉使い。
・・・違う国から来たのか?


「・・・おい、貴様・・・」


急ブレーキを踏まれた事により、頭をぶつけた三蔵様が凄い形相で野郎に銃を突きつけた。


「のわ!!んな物騒な物は出さんといてぇな。兄さん。」


「黙れ。何故貴様は空から降ってきたんだ。」


返答しろと言わんばかりの三蔵の顔。
その表情に、野郎は苦笑した。


「ん〜〜・・・何かな『観世音』とか言う神様につれてこられたんや。」


観世音・・・
あの姉ちゃんか・・・


頭痛がしたのか、三蔵はこめかみを押さえた。


「あのクソババァ・・・」


「何?お宅知り合いなんか?」


野郎がそう言った時、目の前が光に包まれた。
光が収まった時には、そこにはあの神様の姿があった。


「よお。元気にしてたか?生臭坊主。」


「煩るせぇ。何の用だ。クソババァ。」


不機嫌な三蔵と対照的に、観世音菩薩は不適な笑みを浮べていた。


「用件は一つ。
そいつを旅に同行させろ。」


「断る。」


そりゃ、どう見ても普通の人間・・・でもないけど
この旅には連れて行けそうにない人って事は確かだな。


「連れてけ。」


「断る。」


「連れてけ。」


「断る。」


こりゃ、どうし様もねぇな・・・


「ちょいまち。」


押し問答している二人の間に入ったのはさっきの野郎。


「俺の意見は無視ですか?」


「んじゃ聞くが、お前はあの世界に帰りたいか?」



観世音菩薩に言われ、野郎は黙り込んだ。


「・・・こっちに居れば飽きへんか?」


「それは保証するぜ。」


「でも、俺には何のメリットもないしなぁ・・・」


「メリットか・・・じゃぁ、これはどうだ?
お前のその髪と目の色、ここに居れば意味が解かる。」


「・・・どうでもえぇ事なんやけど、
俺、この格好のまま旅すんのか?」


よくよく見てみると、何か制服っぽいものを着ている。


「仕様がねぇな・・・
俺様名義のゴールドカードを貸してやる。
それでどうにかしろ。」


「よっしゃ!!」


「と言う訳だ。
もう一度言う。連れてけ。」


「断る。
何故、俺等がこんな一般人みたいなガキを連れて行かなきゃならねぇんだよ。
足手纏いだ。」


「足手纏いじゃなけりゃ連れてくのか?」


そう言って観世音菩薩は一つの長剣を野郎に渡した。
1mはあるかと思う長剣。


「これがお前の武器だ。
大切に扱えよ?」


「剣なんてつこうたことないわ・・・」


「時期になれる。」


「・・・勝手に話を纏めるな。
何であろう、こいつは連れていかねぇ。」


「玄奘三蔵。」


急に観世音菩薩の声色が変わった。


「観世音菩薩直々の命令だ。
こいつを旅に同行させろ。」


「・・・っち。」


三蔵の舌打ちはある意味肯定。
って事は男だらけになるって事か?


「じゃ、頼んだぜ。玄奘三蔵。




・・・しっかり見てやれよ。」


そう言って観世音菩薩は消えていった。


「あの姉さんも強引やな・・・」


お前は物に釣られて此処に居るんだろ!!
っとツッコみたい気持は押さえた。


「取り合えず自己紹介な。
俺は 
一応華の17歳や。」


・・・今、華って言ったよな?


「・・・女?」


「せやけど?」


今まで男だと思ってた・・・ι
てか、この格好見れば誰だって男だって思うだろ。
制服は制服だけど、下ズボンだし、
髪はショートカットだし。


「そちらさんの名前は?」


そう言って俺を方を向いた。
女って見れば結構可愛いかもな・・・


「俺は沙悟浄。」


「俺孫悟空!!」


「僕は猪八戒です。」


「玄奘三蔵だ。
・・・と言ったな。」


「せやけど?何?」


「その髪と瞳の色は生まれつきか?」


「三蔵!!」


思わず声をあげた。
俺と同じ深紅の髪と瞳を持つ者。
生い立ちだってまともじゃない。


「生まれつきやで?何か問題でもあるんか?」

そう言って睨みつける少女の顔が




目が



とても冷静で



とても冷酷で



見てられなかった。



「それに、そこに兄さんかて、俺と同じじゃないか?」


下から見上げられた視線に

俺は目を背けた。


「俺が此処に居れば
この血のイロみたいな髪と瞳の意味が解かるんやろ?
自分等何か知ってるんか?」


「その前に、貴女は何処から来たんですか?」


「千葉。」


聞き慣れない国名に八戒が苦笑するのがわかった。


「えっと・・・それは何処でしょうか?」


「は?日本の首都に近い所や。
・・・知らんか?」


「なぁ?日本って何だ?
美味いのか?」


全然違う方向に考える馬鹿猿。
取り合えず放っておこう。


「・・・桃源郷では聞いた事ないですね。」


「トウゲンキョウ?」


解からないのか、は頭を抱えた。


「そう言うと・・・此処は・・・異世界?」


呟くと顔をあげる。


「って、そう言う事は始めに伝えとけ〜〜〜!!!
エセ神〜〜〜!!!」


空に向って大声で叫ぶ


「・・・兎に角、こっちの事詳しく知りたいんやけど。
誰か説明してくれるか?
俺の置かれてる状況も含めて。」


さっきとは打って変って落ち込んだ表情をする
・・・百面相?(マテ


「そうですね・・・何から話せば・・・」


「此処がどういう世界なのか、自分等が何で旅してるのか。
それだけ充分や。」


「そうですか・・・
先程も言ったように桃源郷です。
此処には妖怪と言う人種が存在するんですよ。」


八戒の言うことを一生懸命理解しようと相槌を打った。
・・・此処から説明してちゃきり無いような・・・


「昔は妖怪と人間が共存する平和な世界だったんですけど・・・」


八戒が言葉を切ったと同時にの後ろから妖怪が襲い掛かってきた。


「危ない・・・!!!」


襲われそうなを助けようと、八戒は身構えた。
勿論俺等も。


「はぁ!!!!」


一瞬の行動で俺は目を疑った。
こいつ・・・あんなに長い剣を簡単に抜きやがった・・・
一体何者なんだ・・・?


「ふ〜〜・・・危ない危ない。
何となく分かったわ。
今俺に襲い掛かってきたのが妖怪やろ?」


「・・・よく分かりましたね・・・」


「何となく、雰囲気が違かったからな。
んで、要するにこう言うことやな。
昔は人間と妖怪が共存する平和な世界やった。
だけど今、妖怪は人間に襲い掛かる。
せやろ?」


「えぇ・・・そうです。
妖怪が凶暴化した原因は牛魔王の蘇生実験から発せられる負の波動。
それを阻止する為に僕等は西にある天竺に向ってます。」


「へ〜〜〜。」


剣についた血を振り払いながらは言った。


「では、移動しましょうか・・・
此処で長話もあれでしょう。」


八戒がそう言った時にはもうすでに、三蔵と悟空はジープに乗っていた。


「八戒!悟浄!!早く!早く!!」


ジープの上で俺たちを呼ぶ悟空。


「煩るせぇよ。馬鹿猿。」


「馬鹿って言うな!エロ河童!!」


毎度おなじみの喧嘩の始まり始まり。


「騒がしいな・・・」


「あはは、何時ものことですよ?」


「マジで?」


「はい。」


「堪忍してぇな・・・」


は俺と悟空の間に座り、溜め息を吐いた。


「さっさと出発するぞ。
出せ、八戒。」


「はい。」


ジープは新しい仲間を連れて、走り出した。


「ほんま、退屈しなくてえぇかもな。」



NEXT