次の街に俺等は、早々に宿を取った。


「一人部屋が一つと、二人部屋が二つ取れました。
さんは一人部屋でいいですよね。」


そう言って八戒はに部屋の鍵を渡した。

「いや・・・俺は悟浄と一緒の部屋がえぇんやけど・・・」


はい?
今何と言いました?


「ですが・・・」


「悟浄と話したい事があるんよ。
駄目か?」


俺に話したい事。
大方予想はついた。


「でも、流石に男女一緒の部屋は・・・」


「八戒。」


俺は八戒の手から二人部屋の鍵を取り、歩き出した。


「ほら、。行くぞ。」


「あ、まってぇな。」


先に歩き出した俺の後に続くようにも歩き出した。

第三章『同じ』


俺等は部屋に入った。
シングルのベットが二つと、風呂・シャワーつき。
俺は荷物を置くと、備え付けられてる椅子に腰をかけ、煙草を咥えた。
そんな俺の行動を見ると、も鞄から煙草を取り出した。・・・って


「お前、未成年だろ?」


「煙草なんて誰だって吸うもんやろ?」


・・・の一言には確かに一理あった。(ぇ
俺だって小せぇ時から吸ってるし。


「で、俺に聞きたい事って何だ?」


解かってって、敢えて言う。
こいつの口から聞かなきゃ無意味だからな。


「・・・あんさんは何故に深紅の髪と瞳を持っているんや?」


やっぱりな。
俺は心の中で苦笑した。


「さっき八戒から聞いただろう?
此処は妖怪と人間が居るって。」


「あぁ。」


「俺はな・・・妖怪と人間の間に生まれたハーフ・・・
言わば禁忌の子だ。」


の顔が僅かに引きつった。


「この紅い髪と瞳がその証拠だ。」


俺は真剣な眼つきでを見た。
ハーフだなんて、女には言わねぇしな。


「悟浄の事は・・・よぉ解かったわ・・・
でも・・・俺は・・・?」


そう言っては顔を俯けた。


「俺の居た世界には妖怪は居ない・・・
じゃぁ・・・俺は・・・?」


今にも泣きそうなの声色。
泣かれるのが嫌で、俺はの頭を撫でた。


「観世の姉ちゃんが言ってただろう?
『此処に居れば解かる』って。
そんなに焦って探す事もねぇんじゃねぇのか?」


俺の言葉に、は少しだけ笑顔になった。


「だな・・・いずれは・・・解かるかも知れへんしな・・・」


その時が、直ぐなのか、それともずっと後なのか・・・
それは誰にも解からない。


「あ、そういや。」


「何や?」


「お前・・・標準語って喋れない訳?
俺までその喋り方になりそう・・・ι」


急に話題転換した為か、は笑い出した。


「あぁ、これな。
まぁ、意識すれば治るんやけど・・・
標準語の方がえぇ?」


「出来れば・・・な。」


「努力します。」


そう言ったの顔が可愛く見え、俺は柄にもなくときめいた。


「あ、悟浄。明日暇?」


取り敢えずは標準語を意識しているのだろうか、普通の言葉では言ってきた。


「あぁ。ま、する事ねぇし・・・」


「んじゃ、俺に付き合ってくれないか?」


「何で?」


「服買いたいけどさぁ・・・一人じゃどんな服選ぶか・・・」


そう言う事か・・・


「付き合ってやるよ。
その代わり、お駄賃よこせvV」


「無茶言わんといて・・・ι」


あ、言葉が戻った。


「冗談。
明日行くならさっさと寝とけ。
朝飯食ったら行くからな。」


「解かった。」


そう言って、はベットの中に入った。


「んじゃ、おやすみ。悟浄。」


「ん。おやすみ。」


数分も経たない内には寝息を立てた。


「寝るの早ぇな・・・」


自分のベッドに腰を掛けながらの寝顔を眺めた。




突然降って来た少女。


どう見ても男にしか見えない外見。


さっき、一瞬でも可愛いと思ったのは何故なんだ?


こいつが、俺と似ているからか?


どういう人生を送ってきたかしらねぇけど、


まともな人生じゃない。




三蔵を睨みつけた鋭く、冷たい瞳。


一瞬で妖怪を切る腕。


一体・・・こいつは何者なんだ・・・


ただの人間じゃない・・・


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