「・・・まだ居たのかよ。」
俺は嫌そうにそう言った。
「お前が眠ってから1分も経ってねぇよ。」
俺敵には何時間も向こうに(夢の中?)に居たような気が・・・
「・・・全て思い出したか?」
「あぁ・・・が話してくれた。」
俺の前世・・・この髪と瞳がお前の所為なんて俺は思ってねぇから・・・
「っと・・・観世音、から伝言。」
「あ?何だ?」
「『約束、守ってくれてありがとう』だとよ。」
ちょっと着色。
俺の言葉との言葉を合わしただけだけど・・・
「そうか・・・」
哀しそうな観世音の顔。
・・・こいつの悲しい顔も嫌だ。
俺は直感的にそう思った。
「観世音・・・いや、観世。
俺、これからどうすれば良いんだ?」
何となく観世と呼んでみたくなった。
俺がそう呼んだら、驚いた様に目を見開いた。
・・・気分悪!!
「俺が元の世界に戻れない事は解かった。
どう足掻いたって、もう戻れねぇんだろ?」
観世の行為が見つかったら、絶対罰せられる。
それだけは嫌だ。
「戻りてぇなら、今すぐにでも送るぞ。」
「別に、あの世界に未練は無い。」
此処で死んだって別に良いし。
「これ以上、他世界行き来して、それが上にバレたらお前が大変だろ。」
その発言にまた観世は目を丸くした。
「そこまで知ってたのか・・・」
「全部聞いた。
何で俺が此処に居るのかも、この髪と目の意味も。」
全て知った。
俺は人間であって人間じゃない。
「んで、お前はどうするんだ?」
「兎に角、神の力取り戻す。
それが先決だろ?」
そう言って俺は観世から貰った剣に・・・水萍に手を伸ばした。
「水萍、目覚ましてくれるか?」
俺がそう言うと、剣の姿だった水萍が、人形になった。って・・・
「何で軍服な訳?」
「私の勝手だ。」
うわ〜〜・・・元上司に対する第一声がそれですか?(元だけどな。)
「私の事も、思い出したのか?」
「じゃなきゃ、お前の名前呼ばねぇぞ?」
そう言って、俺は水萍に微笑みかけた。
「本当に後悔はしないな。」
「しない。
俺は此処に居たい。彼奴等四人が好きだから。
それに・・・観世も好きだから。」
さっきまでは好きくなかったけど・・・
約束を守ってくれた奴まで嫌うほど、俺の心は狭くない。
「・・・解かった。」
そう言って、水萍は俺の額に手を当てた。観世と同じように。
そう、観世を同じように俺の中に何かが入り込んできた。
それはさっきとは違い、温かい光だった。
「・・・水萍。ありがとな。ずっと傍に居てくれて。
俺に神の力を戻してくれて。」
俺は微笑みながらそう言った。
「これが私の使命だ。」
「そっけねぇな。」
水萍を見ながらケラケラ笑う俺。
「ちょっと良いか?」
「あ?何だよ観世?」
観世は俺の左耳を掴んで、何かを刺した。
刺したって・・・
「いってぇ!!」
「神通力の制御装置だ。」
神通力の制御装置?って、ピアスじゃん。
「今まであけてなかった綺麗な耳が・・・」
耳を擦っていると、観世に顎を掴まれた。
「こ・・・今度は何だよ?」
じっと見つめてくる観世の瞳。
てか、顔近すぎ・・・ι
「お前・・・目が・・・」
「目?」
俺は自分のバッグから手鏡を取り出した。
「・・・なんだよ・・・これ・・・」
鏡に映った俺の瞳は・・・
右目が金晴眼・・・左眼が・・・紅。
これも、神の血の所為なのか・・・?
「髪の色が変わってねぇから全然気が付かなかった・・・」
観世は溜め息混じりにそう言った。
ちょっとマテ。
「このピアス取ったら俺の髪色何になんだよ?」
「・・・碧。」
マジですか?
ま、の生まれ変わりだから当たり前っちゃあたり前?
「・・・金晴眼だけ残ったか。」
こればっかりは防ぎようがないのか、なんなのか・・・
俺はこれからこの目と向きあって行くんだな。
「別にいい。この色気に入ってるし。
紅も今じゃ俺のお気に入りだから。」
血の色だろうが何だろうが、これは俺の物なんだ。
金晴眼も。太陽を思わせる温かい色。
どっちも大切かも。
「取り敢えず・・・彼奴等に説明しなきゃな・・・」
面倒な事が一つ増えた気がした。
ま、話して受け入れてくれるかわかんねぇけど。
「俺は帰るぞ。」
「観世、帰るのか?」
「何時までも此処に居たって仕様がねぇだろ?」
確かに・・・
「生きろよ・・・。」
そう言って観世は帰って行った。
「・・・水萍。お前はずっと人形保てるのか?」
「無理だ。」
だろうな。
「私は剣に魂を吹き込まれただけの物。
使命を果たせば、また剣に戻る。」
「もう、俺とは話せないのか?」
それは何か嫌だ。
「・・・今、私は必要ない。
お前には、仲間が居るのだろう?」
「水萍・・・」
「例え姿形が変わろうと、ずっと傍に居る。
私はそう約束したからな。」
「さんきゅ、水萍。」
俺がそう言うと、微笑を浮べて水萍は剣の姿に戻った。
「・・・傍に居てくれてありがとう。水萍。」
剣を抱き締めながら俺は呟いた。
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