討伐から戻ってきたは、悟空に会おうと急いで金蝉の部屋に向った。


「金蝉、悟空。ただいま!!」


部屋中に入ったが、誰の気配もしない。


「金蝉・・・?悟空・・・?」


第八章『別れ』


・・・帰って来たのか・・・」


声のするほうに身体を向けると、そこに立って居たのは観世音だった。


「観世・・・金蝉は?悟空は?」


「あいつらはもう居ない。」


「え・・・?」


の思考回路が一時停止した。


「居ないって・・・どういう事・・・?」


「金蝉と悟空だけじゃない。捲簾と天蓬もだ。」


「どう言う・・・・事だ・・・?」


何故か嫌な予感がしていた。


「あいつ等は・・・死んだ・・・悟空は、五行山に封印した。」


「訳わかんねぇよ・・・」


は観世音の胸倉を掴んだ。


「解かるように説明しろよ!!観世!!」


「そのままの意味だ・・・」


観世音の表情はとても悲しげで、もそれ以上言えなかった。


「お前にも・・・封印の命令が出た・・・」


「どいう・・・」


「俺にも解からない・・・だが・・・上からの命令だ・・・」


は胸倉を掴んでいた手を下ろした。そして、床に座り込んだ。


「上・・・あいつ等・・・」


「逆らう事は許されない・・・俺に出来る事があれば何でも言ってくれ・・・」


「観世・・・」


観世音の最後の優しさと思ったのだろうか、は口を開いた。


「あいつ等・・・金蝉は転生するんだよな・・・」


「あぁ・・・」


「なら・・・彼奴と同じ時期に俺の魂も転生してくれないか?」


下から見上げる形では観世音を見た。


「何故、金蝉なんだ?」


「俺は・・・彼奴が好きだった・・・討伐が終ったら言おうと思った・・・」


「・・・解かった・・・」


「それと・・・・」


は身に纏っていた羽衣を観世音に渡した。


「これを下界に封印してくれ。」


「これは・・・?」


「神の力を全てこの中に封印してたんだ・・・討伐の時にしか使わない様に・・・下界に置いとけば転生した時取りに行けるだろう?」


「わかった。」


観世音はから羽衣を受け取った。
数日後、の封印が実行された。




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