――薄暗い牢屋の中、訳も解からず私はそこに居た。
只一つわかった事は、私は下賎の者。汚れた子供だって事。
ある日、牢屋の扉が開いた。
『天帝がお呼びだ。』
一人の兵士が私にそう言った。
枷を外さず、私はその人に着いていった。
着いた部屋はとても広くて、目の前に天帝と思われるじいさんが座っていた。
その隣に嫌な笑顔を浮べた爺と、小さい子供。
『今日からそなたに闘神となるべく、訓練をしてもらう。』
そうか・・・私も人形になるんだ・・・そう思った。
私は戦う為に生まれて来た人形。――
「これが前世の話。解かった?」
「解かりましたが・・・」
八戒の顔が困惑の色に変わった。
「別に気にしてないよ?んな昔の事。」
「何故前世の記憶がお前にはあるんだ?」
三蔵はを見つめながら言った。
「勿論、そうなるように転生したから。私はジジィ達の思惑に付き合う道理無いから。自分で転生した。」
きっぱりと言い切る。
「・・・・・・来ちゃったか・・・」
がそう言った瞬間、部屋の中央が光りだした。
「観世、早すぎるんじゃない?」
「仕様がねぇだろ・・・。」
目の前に現れたのは自称、自愛と慈悲の象徴の天下の観世音菩薩。
「上に見つかりそうだぞ・・・」
「わかてっるって・・・全く・・・面倒なジジィどもだよ・・・」
頭を抱え、溜め息を吐く。
「これを付けろ。」
「何?これ?」
「俺様が作ってやった、神力制御装置。これで手前ぇの居場所もわからねぇだろ。」
そう言って観世音が差し出したのは一つのブレスレット。
「えぇ〜〜〜、折角元の姿に戻れたのに・・・また金髪?」
「我慢しろ・・・姿が違けりゃ彼奴等もわからねぇだろ・・・」
「わかったよぉ・・・観世がそう言うなら・・・」
渋々ではあるが、は素直に受け取り、右腕にブレスレットをはめた。瞬間、の姿が変わった。
「あれ?金髪じゃない・・・?」
短くなっていない自分の髪を持ち、は呟いた。
「しかも赤いし・・・どう言う事?観世?」
「神の力は封じたが、妖怪の血は流れてるからな。赤い髪と瞳になるんだ・・・」
ま、そうなるようにしたのは俺だけどな。と呟く観世。
「・・・悟浄とおそろい・・・」
半分涙混じりの声を発する。
「俺とおそろじゃ不満な訳?チャン?」
「メッチャ不満。」
「酷い・・・ι」
大げさに落ち込む悟浄を横目には観世音を見た。
「ま、とりあえず、さんきゅ。観世。」
「俺に出来ることはこれぐらいだからな・・・」
一瞬、悲しげな表情を見せる観世音だが、次の瞬間、真剣な表情になった。
「、気をつけろよ。」
「観世・・・?」
「玄奘三蔵。を頼んだ。」
「は?何で俺が・・・」
三蔵が言った時には既に観世音の姿はなかった。
「観世・・・」
「あの神様は何考えてるんだかさっぱりわかりませんねぇ・・・」
溜め息混じりに発せられた八戒の言葉。
「昔からだし。ちっとも変わってないや。はいはい、今日はこの辺でお開きにしよう。私疲れたし。」
両手を叩きながらは言った。
「そうですね・・・そうしますか。」
「三蔵、次の出発何時?」
「・・・明日だ。しっかり起きろよ?。手前ぇは昔から寝起きが・・・」
「解かってるって。じゃぁね。皆。」
そう言い残し、は部屋を出て行った。
「三蔵・・・さん寝起きが悪いんですか?僕、起こしに行きましたけど何とも・・・」
「・・・知らない方が身の為だ・・・ι」
過去に何をされたのか、三蔵は冷や汗をかきながら言った。
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