「今日からこのクラスに入ります、といいます。宜しくお願いします。」
「〜〜〜!!」
一礼をして顔を上げると、窓際に菊丸と不二がにこやかにこっちをみていた。
「菊丸、不二。何だ同じクラスだったのか。」
の席は菊丸の隣だったので、彼女は椅子に座りながら彼等と話す事にした。
「そうだにゃvVまさかが3年生とは・・・」
「思いもし無かったよ。」
微笑を浮べながら不二は言った。
「まぁね・・・(歳ごまかしてるけど・・・)」
ボソッと、彼等には聞こえないようには呟いた。
「あ、ねぇねぇ。。」
「ん?どうした?」
菊丸の方に身体を向け、話を聞いた。
「何でってマネージャーなんだ?お前ほどの腕なら、レギュラーになれんじゃん。」
「あ〜〜・・・俺、これでも女だから・・・」
一瞬、クラスの中が凍りついた。
「ん?どうした?」
『女〜〜〜〜!!!』
クラス中(先生以外)の悲鳴が響いた。
「あれ?知らなかったのか?」
「だって学ラン・・・」
「あぁ、校長にお願いしたらOKくれたから。」
「どうして・・・?」
どう説明しようかは悩んだ。
「えっと・・・編入試験満点で通って・・・校長に呼び出し喰らって、『君みたいな逸材を他の学校にやりたくない!!』みたいな事言われて・・・学費免除になったし・・・俺、スカート駄目だからって言ったら、『学ランでも構わない』って言ってくれたから・・・」
「満点で通過・・・・」
「すごいにゃ・・・」
ある意味、女版手塚だと思い、二人は顔を見合わせていた。
「あ、そう言えば今日部活あるのか?」
「え・・・あぁ・・・今日はないよ。」
「なら早く帰って部屋の掃除でもしよう。」
がそう言うと同時に終了のチャイムが鳴った。
「あ、俺帰るな。また明日な。」
「うん、また明日。」
そう言うと早々とクラスを出て行った。
「ある意味、凄い娘だにゃ・・・」
「言えてるね・・・」
が去った後も、席に座ったまま溜め息を吐いた。
「さぁ、掃除掃除。」
こっちの世界に来てから一週間。その間全然掃除をしなかった。
越前家に帰ってきたはまず、落ちてきた家具の整理をした。
「あ、真っ白な本が・・・28冊もあるよ・・・何だよ。これ・・・」
本をパラパラと捲るが、何も書かれていなかった。
「一体なんだろう?まぁ、いいや。」
そう言うと、持っていた本を棚に戻した。
「あ、通帳発見。ん?青春台銀行?」
通帳の中を見ると、以前まで預金していた額がそのまま入っていた。
「・・・・?訳わかんねぇ・・・・」
何かが変わっている事はわかったが、それが何なのかさっぱり解からない。
はまだ気づいていなかったが、この時既に元居た世界の記憶が曖昧になって来ていたのだった。
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