「リョーマどう言う事?」
てっきりリョーマと二人でテニスをすると思い込んでいた。
「何時も俺とテニスしてるだろ?桃先輩もとテニスしたがってたから。丁度良いんじゃない?」
そう言ってテニスバックからラケットを取り出す。
「んじゃ、やりますか。」
「三人で?」
そこで何かに気付いたのか、の言葉に二人は立ち止まった。
「・・・シングルスでやるんだよな・・・越前。」
「桃先輩が決めてください。」
軽い会話の筈が、仕舞いには言い争いにまで発展してしまった。
「・・・はぁ。」
そんな二人を見て、は溜め息を吐いた。
「それなら俺が二人まとめて相手すっから。それで良いだろう?」
そう言うと、そそくさとコートに入っていった。
「二人って・・・マジで言ってるんすか?」
「マジ。お前等のダブルス・・・俺に見せてみろよ。」
挑戦状を叩きつけるかの如く、はラケットヘッドを二人に向けた。
「やりましょうよ。桃先輩。」
「あんな言い方されたら引けねーな、引けねーよ。」
二人がコートに入ったのを確認すると、はボールを手に持った。
「サービスはからでいいから。」
「あっそ。んじゃ、やりますか。」
ボールを何回かバウンドさせ、サーブを打つ。
「うら!!」
の放ったサーブは綺麗な甲を描き、コートへ入った。
「こんなんじゃ甘いよ!!」
軽々とリターンを返すリョーマ。
「んじゃ、次!桃!!」
コートの隅に打たれたボールを拾いながら、軌道を桃城の方に向けた。
「手加減なんて、いりませんよ!!」
が打った打球をそれ以上の力を加え、に返した。
「俺より強くなった言いな!!」
強く返された打球を、ロブに変えネットの前方へと返した。
「やばっ!」
前へと打たれたボールに追いついたが、逆ににチャンスボールを与えてしまった。
「はぁ!!」
リョーマと桃城の間をすり抜けるようにスマッシュを打った。
「まだまだだね・・・てね☆」
「これからこれから!!」
「、早く打ってよ。」
「口の減らない後輩だなぁ・・・」
呆れながらもはサーブを打った。
1セット終了。
「俺から1ゲーム取れるなんて、成長したなぁ。お前等。」
「二対一で1ゲームしか取れない・・・」
「先輩・・・強い・・・」
落胆気味の二人に対し、終始笑顔の。
「どうした〜〜〜?もう終わりか〜〜〜?」
「休憩、休憩。」
そう言うと桃城は近くのベンチに腰を下ろした。
「リョーマ、お前は体力残ってるよなvV」
「ムリ。」
リョーマも同じようにベンチに腰を降ろした。
「んだよ〜〜〜・・・つまんねぇなぁ・・・」
膨れっ面になりながらはラケットを担いだ。
「でも、ま・・・いい気分転換にはなったよ。
Thank You。リョーマ、桃。」
ラケットをバッグにしまいながらは言った。
「?帰るのか?」
「ん。少し買い物しようかなぁ〜〜〜って思って。」
「だって昨日買い物してたじゃん。」
昨日の帰りに『買い物して帰る』と言った。
「今日は別の目的。
つー訳で、俺は先に帰るな〜〜。」
バッグを肩にかけ、早々にコートを後にする。
「桃先輩、俺に付いていくんで。」
「ん?そうか。
んじゃ、また部活でな。」
「はい。」
桃城にそう言うと、リョーマはの後を追った。
「!!」
「リョーマ。何で?」
「俺も買い物したかっただけ。
別に良いだろう?」
「良いけど。奢らないぞ。」
「ちぇ。」
軽く舌打ちをするリョーマ。
「・・・飯ぐらいなら奢ってやるよ。」
「やった!」
無邪気に喜ぶリョーマを見ながらは微笑んだ。
「俺の買い物に付き合ってから。だけどな。」
「・・・荷物持ちのみだよ?」
「それだけで十分。
さっさと行くぞ。」
に手を引かれ、入った先は制服の専門店。
「・・・?何買うの?」
「見ての通り、制服。
もうそろそろ夏服の時期だろ?」
カウンターへ行き、は店員と一言二言話した。
間も無く、が注文してたであろう制服の入った箱が二つ置かれた。
「1個持って。」
「はいはい・・・
でも、何で二つ?」
「内緒。」
軽い方をリョーマに持たせ、二人は近くのファミレスに行った。
色々と注文をし、テーブルに並べられる料理の数々。
「いっただきま〜す☆」
ナイフとフォークを持ち、自分が頼んだハンバークセットを平らげていく。
「そういや、。」
「何?」
食べている手を止め、リョーマを見た。
「何で昨日英語話してたんだ?」
「あ〜〜〜・・・俺元々、アメリカの方に居たからさ。」
「帰国子女?」
「そ。お前と同じ。」
持っていたナイフとフォークを置き、は話し始めた。
「両親が殺された事は前にも言ったよな?」
「うん。」
「俺、親戚が居なかったんだ。
唯一俺を引き取ってくれるって言った人が親父の親友で。
俺も小さい時から世話になってた人でさ。その人の所に引き取られたんだ。
その人、スゲーテニス好きで。俺に色々教えてくれたんだけど・・・」
「だけど?」
はそこで言葉を濁した。
「・・・?」
「あ・・・何でもない。
ほら、さっさと食べよう。冷めちまう。」
話をはぐらかされたが、リョーマはそれ以上何も聞かなかった。
が辛そうな表情をしていたから。
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