マネージャーの仕事に慣れてきた夏の初め。
地区大会に向けて、個々の練習もハードさをましてきた。


GAME8 敵は多かれど・・・


!!」


彼女の名前を呼び、後ろから抱きつく菊丸。


「英二、いきなり抱きつくなって毎回言ってるだろう?」


「んじゃ、許可取ればいいの?」


「それもいやだなぁ・・・」


そんな事を思う


、今後の練習メニューなんだが・・・」


バインダーを持ちながら乾が寄って来た。


「ん?何々?」


「此処なんだが・・・」


そう言って指しているのはの練習メニュー。


「俺も練習するのか・・・?」


「竜崎先生からはもう、許可は得てる。」


「・・・(汗)」


許可した竜崎先生を恨む


「一応は女性だからどういう風に組めばいいのか迷っていてね・・・」


「一応つけるな。
俺は立派な女だ。」


そう言っても、見た目は只の男の子。


「取りあえずはお前の意見も参考にしたくてね。」


「ちょいっと貸して。」


そう言っては乾からバインダーとペンを取った。


「此処はこうして・・・
こっちは・・・」


そうぶつぶつと呟きながら、書き込んでいく。


「はいよ。
あ、ついでに牛乳二本も追加しといて。」


そう言っては自分の書き込んだ練習メニューをこなしに行った。


「どれどれ・・・」


渡されたバインダーを見る乾。


「あいつ、きっと楽にしてるにゃ♪」


そう言いながら乾の肩越しに菊丸もバインダーを覗き込んだ。
が・・・両者の顔が青ざめた。


「マジで!?」


「『片手腕立て500回、計1000回。
腹筋500回。
背筋500回。
スクワット500回。
ランニング10Km
ラリー100回etc.』・・・」


「これ・・・一日の練習量・・・?」


見ただけでも気が遠くなる量に菊丸は絶句した。


「本当に女なのか・・・?あいつは・・・?」


まだまだデータが足りないな・・・そう呟く乾。
そんな二人とは裏腹には書き込んだ練習メニューを黙々とこなしている。


「495・・・496・・・497・・・498・・・499・・・500!
片手腕立て終了!!」


底なしの体力を誇る
おそらく最強少女。(ぇ


、今日はどうするんだ?」


「何が?」


腹筋を始めていたにリョーマが話しかけてきた。


「晩飯。
親父達、町内会の集まりとか言ってただろう?」


「あ〜〜・・・
リョーマ何食いたい?」


腹筋をやめずに、は言った。


「俺は和食がいい。」


「って、リョーマ何時も聞くと『和食』って言うよね・・・(汗)


「んじゃ・・・白身魚に漬物に真っ白いご飯に・・・」


「わかったわかった。それ以上言うな。
きりがない。」


そう言ってリョーマの言葉を切る。


「適当に用意しときますよ。」


「よろしく。」


そう言ってリョーマは去ったが・・・


「いくつまでやったか忘れた!!」


途中で話しかけてきたリョーマによって、腹筋の回数を忘れた


「ま・・・いいや・・・」


そう呟くとマネージャーの仕事に戻っていった。




「越前!!」


そう言ってリョーマの肩に腕を回す桃城。


「何スか・・・」


「前から気になってたんだけど・・・
お前、先輩の事好きなのか?」


「は?」


不機嫌極まりない表情で桃城を見据える。


「だってさぁ・・・お前らずいぶんと仲いいじゃん?」


「んな事ないっスよ。」


そう言って桃城から目線をそらす。


「何か怪しいな〜。」


「へぇ・・・越前はの事が好きなんだ。」


何処から現れたのか不二周助。
神出鬼没の大魔神。(ぇ


「不二先輩・・・いつからそこに居たんスか・・・?」


「桃が越前に抱きついたあたりから・・・かな?」


はじめからじゃん・・・と心の中で呟く。


「敵は多いなぁ・・・」


「不二先輩もですか?」


「『も』って事は・・・桃もの事?」


「いや・・・あの・・・え〜と・・・」


言葉に詰まる桃城。


「結構、あいつ人気なんですね。」


「多分、レギュラーは全員気に入ってると思うよ。
あの手塚さえも表情に出すからね。」


「へぇ・・・」


リョーマの目線の先には手塚と
確かに心なしか微笑んでいるようにも見える。


には甘いからね。手塚。」


「確かに・・・そうっスね。」


不二の言葉に納得する桃城。
そんな二人を横目に、リョーマは笑った。


「・・・俺の方が一歩リードしてますから。」


その言葉に不二は開眼した。


「へぇ・・・そうなの?」


「えぇ。言って置きますけど、の事に関しては誰にも負けませんよ?」


微笑みながら睨み合う両者。
周りに冷たい風が吹き荒れた。


「・・・・・・」


その空気に耐えられなくなったのか桃城は一目散に逃げ出した。


「桃?どうした?そんな怯えた顔して?」


先輩・・・」


心なしか、大型犬がしょんぼりしているように見える。
は微笑みながら桃城の頭を撫でた。


「大丈夫か?少し休むか?」


「いえ・・・大丈夫です・・・」


頭を撫でられ、少し赤面する桃城。


「顔赤いぞ?熱でもあるのか?」


桃城の頭を引き寄せ、はおでこをくっつけた。


「・・・!!」


「ん〜〜・・・熱は無いみたいだな。
あんまり無理すんなよ?」


「は・・・はい!!」


「素直でよろしい♪」


そう言っては桃城の頬にキスをした。
周りのレギュラー人固まる。


先輩!?」


「ん?あ、悪ぃ。
向こうじゃこれぐらい普通だったからさ。」


半分、帰国子女という事を忘れていた桃城。


「嫌だったか・・・?」


少ししょんぼりする


「い・・・いえ・・・嫌じゃ・・・ないっス・・・」


「よかった♪
これからは気をつけるようにするからな♪」


そう言って桃城の背中を叩くと、は走り去った。


「桃・・・美味しい所もって行くね・・・」


「桃先輩・・・に手ぇ出したら只じゃおかないっスよ・・・」


背後から来る黒いものに、桃城はさっきの余韻など忘れ悲鳴を上げた。


「リョーマ!!不二!!
二人して桃の事苛めてんじゃねぇよ!!」


桃城の悲鳴を聞きつけ、戻ってきたは、二人に渇を入れた。


「桃も大変だなぁ・・・」


そう言ってまた頭を撫でる。
更に黒くなる二人。


。」


「ん?どうした、リョーマ。」


振り向いたの頬に、リョーマはキスをした。


「リョーマ・・・今は部活中だぞ?
甘えるなら家でやれ。」


「だって、桃先輩の相手ばっかりしてるじゃん・・・」


少し悲しげな表情のリョーマ。
これも彼の作戦の内。


「あ〜〜!!わかったから。
んな目で俺を見るな!!」


敗退。心の中でガッツポーズを取るリョーマ。


「でも、テニスで俺に勝ってからだ。」


にんまりと笑顔を浮かべる
流石年上。


「・・・絶対勝つ。」


「お〜、言うねぇ・・・
かかって来な、リョーマ。
負かしてやるから。」


部活中にも関わらず、二人は熱い試合を繰り広げた。が・・・


「越前!!!!何をやっている!!」


あっさりと手塚に止められた。


「越前、グラウンド10週!!は5週だ!!」


流石のも、手塚に敵う訳が無く・・・
泣く泣くグラウンドを走ったとか・・・


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